空き家調査の費用対効果をどう見るか|比較の軸と効果の測り方

空き家調査の費用対効果をどう見るか|比較の軸と効果の測り方

調査を発注するには、多くの場合社内の合意が必要です

「これにいくらかけて、何が返ってくるのか」。この問いに答えられなければ、話は進みません。ところが調査は、成果が出るまでに工程がいくつかあります

この記事では、何と比較すべきか、効果をどう測るかを整理します。発注前の検討材料としてお使いください。

この記事の結論

  • 比較の対象は自社実施・他の集客手段・何もしない場合
  • 費用は面積で決まるため、発注前に確定する
  • 効果は有効件数率・一巡率・初動の速さで測る
  • 成約数だけを見るとどこに問題があるか分からない
  • まず1〜2地区で実績を作る

何と比較するか

調査の費用を単独で見ても、高いか安いかは判断できません。比較の対象を決める必要があります

比較の対象 見るもの
自社実施 人件費、移動、データ化、機会損失
他の集客手段 1件あたりの獲得コスト
何もしない場合 現状の課題が続くこと

自社実施との比較

調査は外注しなければできない作業ではありません。範囲が限られていれば、自社実施のほうが早い場面もあります

ただし工数を見積もるとき、現地を歩く時間だけを計算しがちです。実際には次が加わります。

加わる工数 内容
移動時間 事務所から現地への往復、エリア間の移動
データ化 手書きメモの整理、地図への転記、一覧表の作成
地番の割り出し 件数に比例する。数百件なら別作業になる
機会損失 その社員が本来の業務をできない

数十件・1回きり・近隣だけなら、自社実施で十分成立します。継続的に、複数エリアを、同じ基準で調べる段階になったとき、外注の検討に入ります。

他の集客手段との比較

広告、ポータルサイト、紹介。いずれも1件あたりの獲得コストで比較できます

ただし性質が違います。広告は反応を待つ手段、調査は自分から当たる手段です。

手段 特徴
広告・ポータル 動いている所有者が対象。競合も見ている
現地調査 動いていない所有者にも当たれる

空き家バンクの掲載件数は、アットホーム版で1万1,117件。放置型385万6,000戸と比べると桁が3つ違います。所有者が申し込まなければ載らないためです。

費用は発注前に確定する

調査費用は面積に対する従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)。何件見つかっても変わりません

これは予算の管理という点で扱いやすい形です。範囲を決めた時点で、基本料金は確定します

一方、登記情報の取得(750円/件)とDMの発送(180円/通)は件数に比例します。この部分は調査の結果によって変わります。

まず調査を実施し、件数を確認してから後工程を判断するという進め方も可能です。社内で段階的に承認を得る場合、この形が使えます。

効果をどう測るか

成約数だけを見ても、どこに問題があるか分かりません。工程ごとに指標を分けてください。

指標 測るもの 何が分かるか
有効件数率 納品件数のうち、実際に接触できた割合 リストの精度
一巡率 期間内に何%に接触できたか 接触の量
初動日数 納品から最初の接触までの日数 初動の速さ
反応率 接触した件数のうち反応があった割合 文面や条件の適否
成約数 最終的な成果 全体の結果

この5つを分けて記録すれば、どこで詰まっているかが見えます

3つの原因を切り分ける

症状 考えられる原因
有効件数率が低い リストの精度。条件の設定を見直す
一巡率が低い 接触の量。件数が処理能力を超えている
初動日数が長い 受け取った後の運用。担当が決まっていない
反応率が低い 文面や条件。ただし1回で判断しない

調査で解決できるのは、最初の1つだけです。精度が低いまま件数を増やしても、無駄な作業が増えるだけになります。

1回の反応率で判断しない

直近1年間で、使用目的のない空き家の14.8%が空き家でなくなりました。理由の1位は除却22.7%、2位は貸した15.5%と所有者や親族が居住した15.5%です。

1年で15%が動くということは、接触のタイミングが合えば話が進む層が一定数いるということです。1回の反応率が低くても、打ち切らないほうが実務に合います。

まず1地区で、実績を作ってください。

件数も反応も、実際に試してみなければ分かりません。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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小さく始めて実績を作る

社内で通すには、実績があるほうが確実です

そして実際、いきなり広い範囲を発注するのは推奨できません。件数と中身が想定と違ったときに調整できないためです。

1回目で分かること 2回目への反映
実際の件数 次の範囲の規模を決められる
統計の目安とのずれ 同じ市の他の地区にも当てはめられる
条件の適否 共同住宅の扱い、築年数の想定を調整できる
記録の粒度 細かすぎ・粗すぎを調整できる
反応率 次の規模を判断する材料になる

1回目の結果があれば、2回目以降は統計の推計値ではなく自社の実測値を基準にできます。社内での説明も、実績にもとづくものになります。

費用も小さく抑えられる

費用は面積に対する従量制です。範囲を絞れば、そのぶん費用も下がります

1平方キロメートル(1,000,000㎡)であれば、基本料金は100,000円(税別)という計算になります。まず試すという規模であれば、この水準から始められます

受け取る前に決めておくこと

効果を測るには、受け取る前の準備が必要です

決めること 決まっていないと
担当 誰も手をつけない
週あたりの処理件数 一巡にかかる時間が読めない
期限 後回しになり続ける
記録の方法 効果が測れない

この4つが決まっていれば、必要なリストの規模も決まります。週20件で3か月かけて一巡させるなら、およそ240件が目安です。

使い切れる規模を選ぶ

1,000件のリストを作っても、月に20件しか処理できなければ一巡に4年かかります。最後の1件に当たる頃には、最初に調べた情報は使えなくなっています

件数が多いほど費用対効果が上がるわけではありません。使い切れる規模を選んでください。

目的によって、測る指標が変わる

立場 主に測る指標 比較の対象
不動産会社 有効件数率、成約数 広告、ポータル、紹介
リフォーム・外壁塗装会社 反応率、施工実績 チラシ、ポスティング
解体会社 問い合わせ件数 紹介、広告
自治体 把握できた件数、網羅性 職員による実施

自治体は予算の執行管理で見る

自治体の場合、費用が確定することが重要になります。件数連動だと支払額が変動し、公費の執行管理に向きません。

面積に対する従量制であれば、予算額から調査可能な面積を逆算できます。基本料金が10,000㎡あたり1,000円(税別)であれば、予算100万円で約10平方キロメートルが目安です。

また実態把握は国の補助事業の対象となる場合があります。空き家対策総合支援事業では、空家等対策計画の策定等に必要な空き家の実態把握が補助対象に含まれています。補助率や要件は年度によって変わるため、国土交通省の資料および都道府県の担当部署でご確認ください

リフォームは反応率で見る

リフォームや外壁塗装の場合、対象は人が住んでいる築古住宅です。ポスティングや訪問で接触できるため、地番の割り出しと登記情報の取得が不要になります。

工程が少ないぶん、費用対効果は分かりやすくなります。配布した件数と反応数を記録すれば、そのまま指標になります。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

基本料金は面積、登記情報とDMは件数で決まります。段階的にご判断いただくことも可能です。

調査項目を複数指定する場合、追加は1項目につき200円(税別)です。同じ範囲を1回歩くため、後から追加するより費用は抑えられます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか、処理できる件数はどれくらいかを確認します。面積に応じた見積りをご提示するため、社内での検討材料としてもお使いいただけます。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。件数を確認してからご判断いただくことも可能です。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

検討するときの注意点

よくあるつまずき

  • 成約数だけで判断する/どの工程で詰まっているか分かりません
  • 件数が多いほど得だと考える/使い切れなければ情報が古くなります
  • 1回の反応率で打ち切る/1年で14.8%が動いています
  • 受け取る前の準備をしない/担当も期限も決まっていなければ、効果は測れません
  • いきなり広い範囲で発注する/1回目の結果を見て調整できる余地を残してください

よくあるご質問

費用は発注前に確定しますか?

基本料金は確定します。調査面積に応じた従量制のため、範囲を決めた時点で金額が決まります。ただし登記情報の取得とDMの発送は件数に比例するため、この部分は調査の結果によって変わります。

まず小さい範囲で試せますか?

できます。1〜2地区で実施し、件数と中身を確認してから広げる進め方をおすすめしています。1平方キロメートルであれば、基本料金は100,000円(税別)という計算になります。

調査だけ先に依頼して、後から判断できますか?

できます。まず調査を実施して件数を確認し、登記情報の取得やDMの発送を後からご判断いただく形も可能です。社内で段階的に承認を得る場合にもご利用いただけます。

効果測定の指標について相談できますか?

ご相談ください。何を記録しておくとよいか、目的に合わせてご提案します。有効件数率、一巡率、初動日数といった指標を分けて記録すると、どこで詰まっているかが見えます。

自治体でも予算内で実施できますか?

できます。面積に対する従量制のため、予算額から調査可能な面積を逆算できます。単年度で難しい場合、年度ごとに範囲を分ける進め方にも対応します。

まとめ

調査の費用を単独で見ても、判断はできません。自社実施・他の集客手段・何もしない場合と比較してください。

費用については、基本料金が面積で決まるため発注前に確定します。件数によって変わりません。一方、登記情報の取得とDMの発送は件数に比例するため、段階的に判断することもできます。

効果は、有効件数率・一巡率・初動日数・反応率・成約数に分けて測ってください。成約数だけを見ても、どこで詰まっているか分かりません。調査で解決できるのは、リストの精度だけです

そしてまず1〜2地区で実績を作ってください。件数も反応も、実際に試してみなければ分かりません。1回目の結果があれば、2回目以降は自社の実測値を基準に説明できます。

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