空き家調査の委託先を選ぶときの確認項目|見積りで見るべき点

空き家調査の委託先を選ぶときの確認項目|見積りで見るべき点

空き家調査を外部に依頼するとき、見積りだけを並べても比較になりません

料金の単位が違えば金額を並べられませんし、含まれる範囲が違えば同じ条件になりません。そもそも調査の方法が違うこともあります

この記事では、依頼先を検討する際に確認しておくとよい項目を整理します。自社の条件に合うかどうかを判断するための材料としてお使いください。

この記事の結論

  • 確認すべきは調査方法・料金の単位・含まれる範囲の3つ
  • 料金の単位が面積か件数かで、見積りの意味が変わる
  • 地番の割り出しや登記情報の取得が含まれるかを確認する
  • 条件の指定と納品形式が選べるか
  • 継続する場合は同じ基準で再現できるか

①調査の方法

最初に確認すべき点です。調査員が現地を歩くのか、データの整理だけなのか

方法 分かること
現地を歩く 使用状況、建物の状態、接道、現存の有無
データの整理のみ 統計や地図から分かる範囲

統計や地図データだけでは、どの建物が空き家かは分かりません。町丁目単位の空き家数は公表されておらず、航空写真でも上から見えるものしか判断できません。

「何をもって空き家と判定したのか」を確認すれば、方法は分かります。

敷地に立ち入るかどうか

あわせて確認しておきたい点です。所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできません

弊社では公道から確認できる範囲での調査としており、郵便受けの中を見る、窓から中をのぞくといった行為も行いません

料金の単位を確認する

見積りを比較するとき、最初に見るべきは単位です。

  • 面積あたりの料金/範囲を決めた時点で費用が確定する
  • 件数あたりの料金/何件見つかるかによって最終的な金額が変わる

弊社は面積に対する従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)。空き家が1軒も見つからない範囲でも、歩いた分の工数は発生するためです。

この仕組みでは、発注前に費用が確定します。予算の管理という点では扱いやすい形になります。

どちらが優れているという話ではなく、単位が違えば見積りの意味も違うということです。並べて比較する前に、この点を揃えてください。

②含まれる範囲

調査といっても、どこまでを指すかは会社によって違います。

工程 確認すること
範囲の設定 相談に応じてもらえるか
現地調査 何を記録するか
地番の割り出し 含まれるか、別料金か
登記情報の取得 対応しているか
DMの発送 対応しているか

地番の割り出しは負担が大きい

登記情報を請求するには地番が必要で、普段使っている住所(住居表示)では取得できません。

そして両者に対応表はなく、ブルーマップや公図で1件ずつ変換する作業になります。数百件になると、この作業だけで数日から数週間かかります。

この工程が含まれるかどうかで、受け取った後の負担が大きく変わります。弊社では地番の割り出しまで行い、納品されるリストに含めています。

費用の内訳

参考までに、弊社の料金体系をお示しします。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

基本料金は面積、登記情報とDMは件数に比例します。まず調査を実施し、件数を確認してから後工程を判断していただくことも可能です。

③条件を指定できるか

同じ「空き家調査」でも、目的によって拾うべきものが変わります。

目的 対象
仕入れ・買取 人が住んでいない戸建て
施工の提案 人が住んでいる築古の戸建て
一棟買取・管理受託 共同住宅(棟単位)
用地の確保 空き地、駐車場、倉庫・工場

リフォームや外壁塗装の提案先は、空き家ではありません。人が住んでいる築古住宅です。この条件を指定できなければ、使えないリストになります。

範囲の細かさ

費用が面積で決まる以上、範囲をどこまで細かく指定できるかは金額に直結します

市の面積は自治体によって大きく違います。高山市は約2,178㎢で、香川県全体の約1,877㎢より広い。市全域で発注すれば、山林を含む面積がそのまま費用に乗ります

弊社では町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

記録項目の指定

「空き家か否か」の2区分だけでは、受け取った後に優先順位がつけられません。

建物の状態を記録できるか、どの粒度で分類できるかを確認してください。状態が分かれば、そのまま流通に乗せられる物件と解体を前提に話をする物件を分けられます。

条件も範囲も、目的に合わせて設計します。

何のためのリストかをお聞かせいただければ、指定すべき条件をご提案します。
まずは目的とエリアをお聞かせください。

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④納品形式

受け取る形によって、使い方が変わります。

形式 向いている用途
地図への転記 現場を回る、担当エリアを割り振る、分布を見る
住所・地番リスト 登記情報の取得、DM発送
件数集計 エリアの比較、社内報告

用途が違うため、1つに絞ると困ることがあります。地図とリストの両方を受け取り、地図で全体を把握しながらリストで個別に当たっていく使い方が一般的です。

弊社では、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

⑤継続できるか

1回きりであれば問題は起きにくいのですが、継続するなら別の確認が必要になります

確認すること なぜ必要か
判定基準を共有できるか 次回も同じ基準で実施するため
記録として残るか 担当者が変わっても再現できるため
集計形式を揃えられるか 前回と並べて比較するため
調査時期を合わせられるか 季節の影響を排除するため

基準が変われば、件数が増減しても実態が変わったのか基準が変わったのか区別できません。継続を前提とするなら、最初の1回目から設計しておいてください。

対応エリア

複数の地域で営業している場合、同じ会社に依頼できるかどうかで比較可能性が変わります

エリアごとに別の会社に依頼すれば、判定基準も記録項目も揃いません。件数を並べても、意味のある比較になりません

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

目的によって、重視する項目が変わる

立場 とくに確認すべき項目
不動産会社 地番の割り出しと登記情報の取得が含まれるか
リフォーム・外壁塗装会社 「居住中」を条件に指定できるか
解体会社 建物の状態と接道を記録できるか
自治体 判定基準を共有でき、継続実施に対応できるか
複数拠点の企業 対応エリアと、同一基準での実施

自治体は仕様書との整合を見る

自治体の場合、仕様書で定めた内容に対応できるかが判断基準になります

範囲・対象・判定基準・記録項目・納品形式の5項目。とくに判定基準については、次回調査でも再現できる形で共有できるかを確認してください

委託先が変わっても再現できる仕様であることが望ましい形です。

見積りを読むときの確認

見積りを受け取ったら、次の点を確認してください。

確認 内容
何に対する料金か 面積か件数か
どこまで含まれるか 地番、登記情報、発送の有無
納品形式は何か 地図・リスト・集計のどれか、複数か
追加料金の条件 調査項目の追加、納品形式の追加
期間 調査から納品までの見込み

金額だけを比べても判断できません。含まれる範囲が違えば、後から自社で作業する分が発生します。

期間も確認する

調査には一定の期間がかかります。営業に動ける時期から逆算して依頼するほうが、リストの鮮度を活かせます

また積雪のある地域では、雪に覆われると屋根も敷地も確認できません。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています

まず小さく試す

どれだけ確認しても、実際に受け取ってみなければ分からない部分があります

件数が想定と違う、記録の粒度が合わない、条件を見直したい。これらは1回目の結果を見て初めて分かります

1回目で分かること 2回目への反映
実際の件数 次の範囲の規模を決められる
条件の適否 共同住宅の扱い、築年数の想定を調整できる
記録の粒度 細かすぎ・粗すぎを調整できる
納品形式 必要な形が分かる

まず1〜2地区で実施し、中身を確認してから広げてください。追加分は改めてお見積りします。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、納品形式を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、公道から確認できる範囲で状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

検討するときの注意点

よくあるつまずき

  • 金額だけで比較する/料金の単位も含まれる範囲も違えば、比較になりません
  • 調査の方法を確認しない/統計や地図の整理だけでは、どの建物が空き家かは分かりません
  • 地番の割り出しを見落とす/含まれていなければ、受け取った後に自社で行うことになります
  • 目的を伝えずに依頼する/施工提案が目的なら、対象は空き家ではありません
  • 最初から広い範囲で発注する/1回目の結果を見て調整できる余地を残してください

よくあるご質問

料金は何に対してかかりますか?

調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)。件数によって変わることはありません。ただし登記情報の取得とDMの発送は件数に比例します。

地番の割り出しは含まれますか?

住所・地番リストをご選択いただいた場合、地番が含まれます。登記情報の請求には地番が必要なため、そのまま取得に進めます。

調査員は現地を歩きますか?

歩きます。対象エリアを調査員が回り、外観から一件ずつ確認・記録します。ただし所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできないため、公道から確認できる範囲での調査となります。

複数のエリアを同じ基準で調査できますか?

できます。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

まず小さく試すことはできますか?

できます。1〜2地区で実施し、件数と中身を確認してから広げる進め方をおすすめしています。追加分は改めてお見積りします。

まとめ

委託先を検討するとき、確認しておくとよいのは5つです。

①調査の方法/現地を歩くのか、データの整理だけなのか。統計や地図だけでは、どの建物が空き家かは分かりません。

②料金の単位と含まれる範囲/面積か件数かで見積りの意味が変わります。地番の割り出しや登記情報の取得が含まれるかも確認してください。

③条件を指定できるか/目的によって拾うべきものが変わります。範囲をどこまで細かく指定できるかは、金額に直結します。

④納品形式/地図・リスト・集計で用途が違います。1つに絞ると困ることがあります。

⑤継続できるか/基準を共有でき、次回も同じ形で実施できるか。継続を前提とするなら、最初の1回目から設計してください。

そのうえで、まず1〜2地区で試してください。どれだけ確認しても、実際に受け取ってみなければ分からない部分があります。

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