空き家を住宅以外に活用する方法|用途変更で必要になる確認

空き家を住宅以外に活用する方法|用途変更で必要になる確認

空き家の出口は、売却・賃貸・解体だけではありません。住宅以外の用途に使うという選択肢もあります

店舗、事務所、地域の交流施設、宿泊施設。住宅としての需要が薄い地域でも、別の用途なら成立する場合があります

ただし、住宅を別の用途に使うには手続きが必要になることがあります。建築基準法上の制限、用途地域の制限、そして規模による確認申請。この記事では、押さえておくべき点を整理します。

この記事の結論

  • 用途を変えるには用途地域の制限を確認する必要がある
  • 一定規模を超える用途変更には確認申請が必要になる場合がある
  • 空家等活用促進区域では用途規制が合理化される可能性がある
  • 対象は状態の良い空き家。傷みが激しい物件では成立しにくい
  • 判断は特定行政庁が行う。事前の相談が必要

どういう用途があるか

実際に取り組まれている用途を整理すると、次のようになります。

用途 特徴
店舗・飲食店 立地の条件が重要になる
事務所 比較的転用しやすい
宿泊施設 関連する法令の確認が必要
地域の交流施設 自治体や地域団体が関わることが多い
福祉・保育関連 個別の法令に基づく基準がある

用途によって、必要な手続きも基準も変わります。一律には整理できません。

住宅としての需要が薄くても成立することがある

賃貸活用が成立するかは、家賃水準で決まります。和歌山県は1畳当たり2,152円で全国44位。改修費を家賃で回収しにくい地域です

ただし、住宅としての需要が薄くても、別の用途なら成立する場合があります。立地や建物の特性によって、評価が変わるためです。

まず用途地域を確認する

建築基準法では、用途地域によって建てられる建物の種類が定められています。住宅として使えていても、別の用途では制限がかかる場合があります

たとえば住居専用の地域では、店舗や事務所の用途に制限があります。「空き家だから何にでも使える」わけではありません

用途地域は都市計画の情報として公開されています。市区町村の窓口やウェブサイトで確認できます

制度の適用や個別の判断については、特定行政庁や専門家への確認をご案内ください

用途変更の確認申請

建築物の用途を変更する際、一定の場合には建築確認の申請が必要とされています

特殊建築物への用途変更で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合が対象とされています。この規模は2019年の改正で、従来の100㎡超から緩和されました。

規模 確認申請
200㎡以下 不要とされる場合がある
200㎡超 必要になる場合がある

一般的な戸建て住宅であれば、200㎡以下に収まることが多くなります。ただし規模だけで判断できるものではなく、用途や構造によって扱いが変わります。

確認申請が不要であっても、建築基準法の規定そのものは適用されます。安全性や避難に関する基準を満たす必要があります。

判断は特定行政庁が行う

用途変更が可能かどうか、どういう手続きが必要かは、建物と用途の組み合わせによって変わります

営業する側が「使えます」と断定できるものではありません。事前に特定行政庁や建築士へ相談する形が確実です

空家等活用促進区域という仕組み

2023年12月施行の改正空家法で創設された制度です。市区町村が区域と指針を定めることで、接道規制と用途規制を合理化できるとされています。

措置 内容
用途規制の合理化 指針に定めた誘導用途への用途変更をしやすくする
接道規制の合理化 安全確保等を前提に、前面道路の幅員に関する規制を合理化できる

誘導用途を指針で定める

区域を定める際、その区域で推奨したい用途を指針に定めます。これを誘導用途といいます。

店舗、事務所、地域の交流施設、宿泊施設など、区域の性格によって設定されます。この用途への変更が、規制の合理化の対象になります。

また国の行政機関や都道府県知事は、誘導用途に供するために農地法その他の法律による許可等を求められた場合、活用の促進が図られるよう適切な配慮をするものとされています。

区域の指定状況を確認する

制度が創設されても、実際に区域を指定しているかどうかは自治体によって異なります

営業エリアの自治体が指定しているか、指定を検討しているか。これは所管の窓口で確認できます。指定されていない地域では、従来どおりの扱いになります。

対象は状態の良い空き家

用途変更を伴う活用では、改修が前提になります。傷みが激しい物件では、費用が見合いません。

令和6年空き家所有者実態調査によれば、相続空き家の状態は次のとおりです。

状態 割合
室内外に部分的な腐朽・破損あり 47.1%
構造上の不具合あり 21.2%
室内外に全体的な腐朽・破損あり 3.5%
構造上の不具合や腐朽・破損なし 28.2%

不具合がないのは28.2%です。この層であれば、改修費を抑えて活用できる可能性があります。

状態の良い空き家は見落とされやすい

実務では、傷みが激しい物件ばかりに目が向きがちです。ところが活用の対象は、状態が良い空き家です

神戸市の例では、兵庫区の空き家が5年間で80.3%増えましたが、腐朽・破損があるのは4.3%だけ。新しく空き家になった住宅が多く、状態はまだ良いという状況です。

「空き家=傷んでいる」という前提でエリアを選ぶと、この層を取りこぼします

状態の良い空き家を、分けて抽出できます。

活用できる物件と、解体前提の物件を最初から区別できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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補助制度がある場合も

活用に対する補助制度を設けている自治体があります。

類型 目的
改修の補助 使える状態にして流通させる
活用の補助 地域の拠点等として使う
取得・移住の補助 移住定住を促す

国土交通省の空き家対策総合支援事業では、危険な空き家の除却や活用に取り組む自治体を財政的に支援しています。所有者や事業者から見れば、この制度を導入している自治体に申請する形になります

制度の有無も要件も自治体によって異なります。また多くの制度で工事着手前の申請が必要です。

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市区町村の窓口への確認をご案内ください

調査でできること・できないこと

できること できないこと
使われていない住宅の特定 用途地域の判定
外観から見た状態の記録 建物内部の状態
接道の状況の記録 用途変更の可否の判断
おおよその規模の記録 正確な床面積
周辺の状況の記録 需要の見込み

用途変更が可能かどうかを判断するのは特定行政庁です。調査で提供できるのは、候補を絞るための記録までです。

ただし状態が分かっていれば、活用を検討する価値がある物件を先に絞れます。傷みが激しい物件を訪問前に外せるということです。

目的によって、関わり方が変わる

立場 用途変更との関わり 調査で指定するとよい条件
不動産会社 所有者に選択肢を示す 状態の良い物件を区別する
買取再販 住宅以外の出口も検討できる 状態+立地条件
改修・工務店 改修工事の受注 状態別の分類
活用を検討する事業者 物件の探索 状態+接道+周辺の状況
自治体 活用促進の施策 状態の良い空き家の把握

自治体は活用の候補を把握する

実態調査を措置のためだけに設計すると、状態の良い空き家が拾えません。活用促進を計画に掲げているなら、この層の把握が必要です。

空家等対策計画には、「空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用の促進に関する事項」が法定の記載事項として含まれます。

また空家等活用促進区域を検討する場合、区域内に活用できる空き家がどれだけあるかが前提になります。接道の状況とあわせて把握しておく必要があります。

需要の見込みは調査では分からない

正直に書きますが、その場所に店舗や宿泊施設の需要があるかは、調査では分かりません

記録できるのは、建物の所在と状態、接道、周辺の状況までです。需要の判断は、事業者側で行っていただく領域です

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査では、建物の状態を記録項目に含めることができます。劣化の程度を段階に分けて分類すれば、活用できる物件と解体前提の物件を分けて扱えます。

接道の状況も記録項目としてご指定いただけます。ただし記録できるのは外観から確認できる範囲です

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
どういう物件を探しているかを確認したうえで、対象範囲・調査項目・記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。中心市街地や商業地に絞った範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。接道や周辺の状況もこの工程で確認します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「空き家だから何にでも使える」と考える/用途地域の制限があります
  • 確認申請の要否を自己判断する/建物と用途の組み合わせで変わります
  • 「用途変更できます」と断定する/判断は特定行政庁が行います
  • 傷んだ物件で活用を検討する/改修費が見合いません
  • 補助制度を前提に計画する/制度の有無も要件も自治体によって違います

よくあるご質問

用途変更が可能かどうか調査で分かりますか?

分かりません。用途地域の制限や建築基準法上の要件は、特定行政庁への確認が必要です。調査でご提供できるのは、建物の所在と外観の状態、接道の状況までです。

状態の良い空き家だけを抽出できますか?

できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。活用できる物件と、解体前提の物件を分けて扱えるようになります。

建物の内部も確認してもらえますか?

できません。所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできないため、公道から確認できる範囲での調査となります。内部の状態は、接触して内見の許可を得る工程が必要です。

商業地に絞って調査できますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中心市街地や幹線道路沿いなど、活用の候補となる範囲に絞ることも可能です。

その場所に需要があるか分かりますか?

分かりません。記録できるのは建物の所在と状態、接道、周辺の状況までです。需要の判断は、事業者側で行っていただく領域となります。

まとめ

空き家の出口は、売却・賃貸・解体だけではありません。店舗、事務所、地域の交流施設、宿泊施設。住宅としての需要が薄い地域でも、別の用途なら成立する場合があります。

ただし手続きが必要です。まず用途地域の制限を確認してください。「空き家だから何にでも使える」わけではありません。

また特殊建築物への用途変更で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合には確認申請が必要とされています。判断は特定行政庁が行うため、事前の相談が確実です。

2023年12月施行の改正空家法で創設された空家等活用促進区域では、指針に定めた誘導用途への用途変更がしやすくなります。営業エリアの自治体が指定しているか、確認してみてください。

そして対象は状態の良い空き家です。傷みが激しい物件では改修費が見合いません。「空き家=傷んでいる」という前提でエリアを選ぶと、この層を取りこぼします。

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