空き家調査で使う用語の整理|統計・法律・実務の言葉の違い

空き家調査で使う用語の整理|統計・法律・実務の言葉の違い

空き家の話には、似ているようで違う言葉が多く出てきます。「その他の住宅」と「特定空家等」は、そもそも別の体系の用語です

前者は統計の区分、後者は法律上の区分。使われる場面も、判断する主体も違います。これを混同すると、話が噛み合わなくなります。

さらに同じものを指す言葉が複数あることもあります。「その他の住宅」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」「その他空き家」。すべて同じものです。この記事では、用語を体系ごとに整理します。

この記事の結論

  • 用語は統計・法律・実務・税制の4つの体系に分かれる
  • 統計の区分と法律の区分は対応していない
  • 「その他の住宅」には複数の呼び方がある
  • 「空家等」と「空き家」も同じではない
  • どの体系の話をしているかを意識して使い分ける

①統計の用語

住宅・土地統計調査で使われる区分です。総務省統計局が5年ごとに実施する調査で定義されています。

空き家の4区分

区分 内容 全国の戸数
賃貸用の住宅 新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっているもの 443万5,800戸
売却用の住宅 新築・中古を問わず、売却のために空き家になっているもの 32万6,300戸
二次的住宅 別荘、たまに寝泊まりする人がいる住宅 38万3,500戸
その他の住宅 上記以外。転勤・入院などのため長期にわたって不在の住宅など 385万6,000戸

合計900万1,600戸が全国の空き家です。空き家率13.8%は、これを総住宅数で割った数字になります。

「その他の住宅」の呼び方は複数ある

同じものを指す言葉が、資料によって違います。

  • その他の住宅/総務省の統計での正式な区分名
  • 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家/引き算の形で表現したもの
  • その他空き家/国土交通省の資料などで使われる
  • 放置型/実務上の呼び方

いずれも同じ385万6,000戸を指しています。資料をまたいで読むときは、この対応を押さえておいてください。

建て方の区分

区分 内容 全国の戸数
一戸建 1つの建物が1住宅であるもの 2,931万9,000戸
長屋建 2つ以上の住宅が壁を共有し、各戸が独立して外に出入りできるもの 126万5,000戸
共同住宅 廊下・階段等を共用するもの 2,496万8,000戸

戸数は居住世帯のある住宅のものです。共同住宅の割合は44.9%で過去最高となっています。

統計上の注意

用語 意味
標本調査 全数ではなく、抽出した対象から全体を推計する方式
基準日 調査時点。令和5年調査は2023年10月1日
速報・確報 集計の段階。数字が異なることがある
表章 結果を公表する単位。市区および人口1万5千人以上の町村まで

公表されている数字はすべて推計値です。実数を数えたものではありません。

②法律の用語

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で定義される用語です。判断するのは市区町村です

用語 内容
空家等 建築物等で、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの
管理不全空家等 適切な管理が行われていないことにより、放置すれば特定空家等になるおそれのある状態
特定空家等 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態など
空家等活用促進区域 市区町村が定める区域。接道規制や用途規制の合理化が可能になる
空家等管理活用支援法人 空き家の管理・活用に取り組む法人として市区町村が指定するもの

「空家等」と「空き家」は同じではない

統計でいう空き家と、空家法でいう空家等は定義が異なります

項目 統計の空き家 空家法の空家等
対象 住宅 建築物等(住宅に限らない)
判断 調査員による 市区町村による
用途 統計の集計 措置の実施

資料を読むとき、どちらの意味で使われているかを確認してください

措置の段階

段階 管理不全空家等 特定空家等
助言・指導 あり あり
勧告 あり あり
命令 規定なし あり
代執行 規定なし あり

どちらも勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例から外れます。ただし助言・指導の段階では特例は継続します。

③実務の用語

調査や取引の現場で使われる言葉です。

用語 内容
地番 登記で土地を特定するための番号
住居表示 普段使っている住所。地番とは別の体系
公図 土地の形状と地番を示した図面
ブルーマップ 住宅地図に地番を重ねた地図
接道義務 建築物の敷地が道路に2メートル以上接する必要があるとされるもの
2項道路 幅員4メートル未満だが、特定行政庁が指定した道
セットバック 道路の中心線から2メートル後退すること
再建築不可 接道義務を満たさず、建替えができない状態

住所と地番は別のもの

最もつまずきやすい点です。「〇〇町3丁目5番12号」という住所で登記情報を請求しても取得できません。「〇〇町3丁目125番地1」といった地番が必要です。

両者に対応表はなく、ブルーマップや公図で1件ずつ変換する作業になります

幅員4メートル未満=再建築不可ではない

もうひとつ誤解されやすい点です。2項道路であれば、セットバックによって建替えができる場合があります

幅員だけを見て判断はできません。その道が2項道路として指定されているかどうかが分かれ目になります。判断は特定行政庁が行います。

地番の割り出しまで含めて対応します。

納品されるリストには地番が入るため、そのまま登記情報の取得に進めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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④税制の用語

用語 内容
住宅用地特例 住宅が建つ土地の固定資産税等の課税標準を軽減する仕組み
小規模住宅用地 1戸あたり200㎡以下の部分。課税標準は固定資産税で評価額の1/6
一般住宅用地 200㎡を超える部分。課税標準は固定資産税で評価額の1/3
負担調整措置 課税標準額の急激な上昇を抑える仕組み
空き家の3,000万円特別控除 相続した空き家の売却時に譲渡所得から控除できる特例
低未利用土地等の100万円控除 一定の低未利用土地の譲渡時に長期譲渡所得から控除できる特例

「6倍になる」は不正確

特例が外れた土地は「商業地等」として扱われ、負担調整措置により課税標準額の上限は評価額の70%とされています。100%ではありません。

小規模住宅用地との比較では、固定資産税で最大約4.2倍、都市計画税で最大約2.1倍という計算になります。

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、市区町村の窓口や税理士などの専門家への確認をご案内ください

体系をまたぐと噛み合わない

用語を混同すると、話が通じなくなります。

よくある混同 実際
「その他の住宅」=「特定空家等」 前者は統計の区分、後者は法律上の区分。対応していない
統計の空き家数=措置の対象数 統計は推計値。措置の対象は市区町村が判断する
「空き家だから税が上がる」 勧告を受けた場合に限られる
「幅員4メートル未満だから再建築不可」 2項道路であれば建替えできる場合がある
住所で登記情報を請求する 地番が必要

どの体系の話をしているかを意識してください。統計の数字と、法律上の措置と、実務上の判断は、それぞれ別のものです。

調査で使う用語

弊社の土地調査では、次の調査項目を指定できます。

調査項目 対象
空き家(戸建て) 人が住んでいない戸建て住宅
空き地(更地) 建物が建っていない土地
古家(居住中) 人が住んでいる築古の戸建て
古アパート 築年数の経過した共同住宅(棟単位)
駐車場 月極・コインパーキングなど
倉庫・工場 使われていない事業用建物
太陽光未設置住宅 設置されていない一戸建て

「古家(居住中)」は空き家ではありません。人が住んでいる住宅を指します。リフォームや外壁塗装の提案先を探す場合、この項目になります。

目的によって、使う体系が変わる

立場 主に使う体系
不動産会社 統計・実務・税制
リフォーム・外壁塗装会社 統計・実務
解体会社 法律・実務・税制
士業 法律・実務・税制
自治体 4つすべて

自治体は4つすべてを使う

実態調査では統計の区分、措置の実施では法律の区分、所有者の特定では実務の用語、説明では税制の用語。すべてが関わります

とくに所有者に説明する場面では、統計の話と法律の話を混同しないよう注意が必要です。「統計上は空き家です」と「特定空家等に該当します」は、まったく違う意味を持ちます。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、判定基準を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、指定された基準に沿って外観から状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

用語を使うときの注意点

よくあるつまずき

  • 統計の区分と法律の区分を混同する/「その他の住宅」と「特定空家等」は別の体系です
  • 統計の数字を実数として扱う/標本調査による推計値です
  • 「空家等」と「空き家」を同じものと考える/定義も判断する主体も違います
  • 該当区分を営業する側が断定する/判断は市区町村が行います
  • 住所と地番を混同する/登記情報の請求には地番が必要です

よくあるご質問

「その他の住宅」と「放置型」は同じものですか?

同じです。総務省の統計では「その他の住宅」、引き算の形で「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」、国土交通省の資料では「その他空き家」と表記されることもあります。いずれも同じ区分を指しています。

統計の空き家数と、自治体が把握している数は違いますか?

異なることがあります。統計は標本調査による推計値で、基準日は2023年10月1日です。一方、自治体の実態調査は現地を確認した実数であり、判定基準も自治体が定めます。前提が違うため、単純な比較はできません。

「古家(居住中)」は空き家ですか?

空き家ではありません。人が住んでいる築古の戸建てを指す調査項目です。リフォームや外壁塗装の提案先を探す場合、こちらが対象になります。

調査で「特定空家等」かどうか判定できますか?

できません。該当するかどうかの判断は市区町村が行います。調査でご提供できるのは、外観から確認できる範囲の記録までです。その記録を判断の材料としてご活用ください。

地番はどうやって調べますか?

ブルーマップや公図で確認します。住居表示との対応表はないため、1件ずつ変換する作業になります。弊社の調査では地番の割り出しまで行い、納品されるリストに含めています。

まとめ

空き家に関する用語は、統計・法律・実務・税制の4つの体系に分かれます。そして体系が違えば、判断する主体も使われる場面も違います。

とくに混同しやすいのが、統計の区分と法律の区分です。「その他の住宅」は統計の区分、「特定空家等」は法律上の区分。対応していません。

また同じものを指す言葉が複数あります。「その他の住宅」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」「その他空き家」「放置型」。すべて同じ385万6,000戸です。

実務では、住所と地番の違い幅員4メートル未満=再建築不可ではないという2点が、とくにつまずきやすい部分になります。

どの体系の話をしているかを意識する。これだけで、資料の読み違いも、所有者への説明の誤りも減らせます

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