空き家調査で使える統計データ一覧|どこで何が調べられるか

空き家について調べようとすると、複数の統計が出てきます。どれを見ればよいのか、何が分かるのかが整理されていないと、必要な数字にたどり着けません。
使えるものは限られています。住宅・土地統計調査、国勢調査、空き家所有者実態調査、自治体の公表資料。この4つを押さえておけば、統計で分かる範囲はほぼカバーできます。
この記事では、それぞれ何が分かるのか、どこで入手できるのかを整理します。あわせて、統計では分からない部分も明確にしておきます。
この記事の結論
- 主なデータ源は住宅・土地統計調査・国勢調査・所有者実態調査・自治体資料
- 空き家の戸数は住宅・土地統計調査。市区町村単位まで
- 町丁字別の世帯数は国勢調査の小地域集計で分かる
- 所有者の意向は国土交通省の実態調査
- 区別のデータは自治体の公表資料にしかないことが多い
記事の目次
①住宅・土地統計調査
空き家の話で最も使われる統計です。総務省統計局が5年ごとに実施しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施機関 | 総務省統計局 |
| 周期 | 5年ごと。令和5年調査が16回目 |
| 基準日 | 2023年10月1日 |
| 方式 | 標本調査。抽出した約340万の住戸・世帯を調査 |
| 表章の単位 | 市区および人口1万5千人以上の町村まで |
分かること
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 総住宅数・空き家数・空き家率 | 全国・都道府県・市区町村単位 |
| 空き家の4区分 | 賃貸用・売却用・二次的住宅・その他の住宅 |
| 建て方別の内訳 | 一戸建・長屋建・共同住宅 |
| 建築時期別の住宅数 | 年代別の分布 |
| 腐朽・破損の有無 | 集計値のみ |
| 持ち家率・家賃 | 所有関係、居住水準 |
| 土地の所有状況 | 世帯が持つ敷地以外の土地 |
集計の種類と公表時期
調査結果は段階的に公表されます。
| 集計 | 公表時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 速報集計 | 2024年4月30日 | 総住宅数、空き家数の概数 |
| 基本集計(確報) | 2024年9月25日 | 住宅・世帯の基本的な状況 |
| 構造等に関する集計 | 2025年1月29日 | 建て方、構造、設備 |
| 土地集計 | 2025年3月26日 | 世帯の土地所有状況 |
| 共同住宅の空き家分析 | 2025年5月30日 | 共同住宅の空き家に関する分析 |
速報と確報では数字が異なります。全国の確報は速報より総住宅数が2万6千戸、空き家数が6千戸多くなりました。ただし空き家率13.8%は変わっていません。
標本調査であることを忘れない
この調査は全数調査ではありません。抽出された約340万の住戸・世帯を調べて、全体を推計しています。
公表されている空き家率も空き家数も推計値です。実際に数えた数字ではありません。
そして規模が小さいほど誤差の影響を受けやすくなります。市区町村単位の数字を細かく比較しすぎないでください。0.1ポイントの差に意味を求めるより、桁と動きの方向を見るほうが実務に合います。
②国勢調査
こちらも総務省が5年ごとに実施する調査です。空き家そのものは対象外ですが、別の使い道があります。
小地域集計が使える
国勢調査には小地域集計があり、町丁字別の人口・世帯数が公表されています。
| 調査 | 表章の単位 |
|---|---|
| 住宅・土地統計調査 | 市区および人口1万5千人以上の町村まで |
| 国勢調査(小地域集計) | 町丁字別 |
調査範囲に何世帯あるかは、ここから分かります。件数の目安を立てるときに使えます。
ただし世帯数と住宅数は同じではありません。空き家には世帯がいないため、世帯数のほうが少なくなります。目安として使う分には差し支えありませんが、そのまま住宅数として扱わないでください。
③空き家所有者実態調査
国土交通省が実施する調査です。所有者側から見た数字が得られます。
令和6年調査の結果は2025年8月29日に公表されました。
| 分かること | 令和6年調査の結果 |
|---|---|
| 取得方法 | 相続57.9%、新築・建て替え17.1% |
| 空き家になった原因 | 死亡58.3%、転居26.9%、施設入居11.3% |
| 今後の利用意向 | 所有継続40.6%、除却19.2%、売却18.3% |
| 建物の状態 | 相続空き家の7割超に腐朽・破損 |
| 相続前の対策 | 対策あり23.0% |
住宅・土地統計調査が建物側の調査であるのに対し、こちらは所有者側の調査です。意向という、統計からは分からない領域が扱われています。
所有者の自己申告である点に注意
建物の状態についても集計されていますが、これは所有者の回答によるものです。遠方に住んでいれば、現況を正確に把握していない可能性があります。
実際の状態は、現地で確認するしかありません。
④自治体の公表資料
意外に見落とされますが、自治体が独自に資料をまとめている場合があります。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 統計調査の結果概要 | 県内・市内の分布、経年比較 |
| 政令市の区別データ | 区ごとの空き家率、種類別・建て方別の内訳 |
| 実態調査の結果 | 自治体が実施した現地調査の集計 |
| 空家等対策計画 | 対象地区、施策の方向、実施体制 |
政令市の区別データはここにしかない
政令市では、区によって空き家の性格がまったく違います。ただし区別のデータは、市が独自に公表している資料にしかないことが多いのが実情です。
| 市 | 区による差 |
|---|---|
| 広島市 | 中区は空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅、安佐北区は48.2%が放置型の戸建て |
| 大阪市 | 一戸建の割合が生野区45.0%、浪速区3.7% |
| 京都市 | 放置型の腐朽・破損率が長屋建52%、一戸建28%、共同住宅11% |
| 神戸市 | 放置型の36%が幅員4メートル未満の道路のみに接道 |
接道の状況まで集計している資料は限られます。京都市や神戸市のように、独自の分析を加えている市もあります。
公表されていない市もある
すべての政令市が区別データを公表しているわけではありません。統計書のExcelにしか掲載されていない市もあります。
まず市のウェブサイトで「住宅・土地統計調査」「空き家」といった語で探し、なければ統計担当課に問い合わせる形になります。
統計データの入手先
| データ | 入手先 |
|---|---|
| 住宅・土地統計調査 | 総務省統計局のサイト、政府統計の総合窓口 |
| 国勢調査(小地域集計) | 同上 |
| 空き家所有者実態調査 | 国土交通省のサイト |
| 自治体の資料 | 各自治体のウェブサイト |
いずれも無料で閲覧できます。政府統計の総合窓口では、表形式のデータをダウンロードすることもできます。
統計で埋まらない部分を、現地で確定します。
町丁目単位の実数、建物の状態、接道の状況まで記録します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
統計で分からないこと
4つのデータ源を使っても、埋まらない部分があります。
| 分からないこと | 理由 |
|---|---|
| 町丁目単位の空き家数 | 表章の対象外 |
| 個別の建物が空き家かどうか | 集計値しか公表されない |
| 建物の実際の状態 | 腐朽・破損は集計値のみ |
| 接道の状況 | 一部の自治体資料を除き集計されない |
| 空き地・駐車場・倉庫工場の所在 | 全国的な悉皆調査が存在しない |
| 基準日以降の変化 | 2023年10月1日時点の調査 |
統計で分かるのは、市区町村単位の傾向までです。どの建物がどういう状態かは示されません。
統計の役割は優先順位づけ
否定しているわけではありません。統計はエリアの優先順位づけに有効です。
| 向いている使い方 | 向いていない使い方 |
|---|---|
| 傾向の把握 | 件数の見積り |
| エリアの優先順位づけ | 物件の特定 |
| 地域間の比較 | 個別の判断 |
統計で絞り込み、現地で確定する。この役割分担が現実的です。
目的によって、見るデータが変わる
| 立場 | 主に使うデータ | 見る指標 |
|---|---|---|
| 不動産会社 | 住宅・土地統計調査、自治体資料 | 放置型の実数と増減、建て方の構成 |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 住宅・土地統計調査 | 居住世帯のある住宅、建築時期別の構成 |
| 解体会社 | 自治体資料 | 腐朽・破損の割合、接道の状況 |
| 士業 | 所有者実態調査 | 取得方法、相続前の対策 |
| 自治体 | 4つすべて | 種類別の内訳、経年比較 |
リフォームは空き家率を見ない
リフォームや外壁塗装の提案先は、人が住んでいる築古住宅です。空き家率の増減は、この用途では判断材料になりません。
見るべきは居住世帯のある住宅数と、建築時期別の構成です。持ち家率もあわせて確認してください。
自治体は経年比較が必要になる
計画の改定時には、前回からの変化を示す必要があります。統計は5年ごとなので、前回調査との比較ができます。
ただし自治体が独自に実施した実態調査については、基準を揃えていなければ比較が成立しません。判定基準を文書として残しておいてください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、統計でエリアを絞り込んでおけば、そのぶん費用は抑えられます。範囲の絞り込みからのご相談も承ります。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。統計をもとにおおよその水準もお伝えします。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。推計ではなく実際に確認した件数を報告します。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
統計を使うときの注意点
よくあるつまずき
- 推計値を実数として扱う/標本調査です。実際に数えた数字ではありません
- 市の数字を町丁目に当てはめる/同じ市内で2倍以上の差があることがあります
- 基準日以降の変化を織り込まない/2023年10月1日時点の調査です
- 国勢調査の世帯数を住宅数として使う/空き家には世帯がいないため少なくなります
- 自治体の資料を確認しない/区別データはそこにしかないことが多くあります
よくあるご質問
町丁目単位の空き家数は分かりますか?
公表されていません。住宅・土地統計調査で表章されるのは市区および人口1万5千人以上の町村までです。町丁目単位の実数は、現地調査で確認する形になります。
町丁字別の世帯数はどこで調べられますか?
国勢調査の小地域集計で公表されています。ただし世帯数と住宅数は同じではなく、空き家には世帯がいないため世帯数のほうが少なくなります。目安としてご利用ください。
政令市の区別データはありますか?
市が独自に公表している資料に掲載されていることがあります。ただしすべての市で公表されているわけではなく、統計書のExcelにしかない場合もあります。市のウェブサイトでご確認ください。
統計の数字と実際の件数はどれくらい違いますか?
一律にお示しすることはできません。標本調査による推計値であること、基準日から時間が経過していること、地区内のばらつきがあることなど複数の要因があります。実数が必要な場合は現地調査で確認する形になります。
統計データの読み方から相談できますか?
できます。対象エリアをお聞かせいただければ、どの指標を見るべきか、おおよその水準はどうかをお伝えします。範囲の絞り込みからのご相談も承ります。
まとめ
空き家について調べるとき、押さえておくべきデータ源は4つです。
住宅・土地統計調査は空き家の戸数と内訳。市区町村単位までで、標本調査による推計値です。国勢調査の小地域集計は町丁字別の世帯数。範囲の規模を見積もるときに使えます。空き家所有者実態調査は所有者の意向。統計からは分からない領域です。自治体の公表資料は区別のデータや接道の状況。ここにしかない情報があります。
ただし、これらを使っても町丁目単位の空き家数、個別の建物の状態、接道の状況、空き地や倉庫の所在は分かりません。
統計はエリアの優先順位づけに使い、実数は現地で確かめる。この役割分担が現実的です。統計で絞り込むほど、現地調査の費用は下がります。
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