自治体の空家等対策計画をどう読むか|民間の営業に使える情報

営業エリアの自治体が、空き家について何をしようとしているか。これは公開情報から読み取れます。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、市区町村は空家等対策計画を定めることができます。多くの自治体がすでに策定しており、内容はウェブサイトで公開されています。
そこには対象とする地区、施策の方向、実施体制が書かれています。その自治体がどこを重点的に見ているのか、どんな支援を用意しているのかが分かるということです。この記事では、計画から何を読み取れるかを整理します。
この記事の結論
- 空家等対策計画は公開情報。誰でも読める
- 法定の記載事項に対象地区・調査に関する事項・活用の促進などが含まれる
- 民間が使えるのは重点区域・支援制度・相談体制の3つ
- 自治体側から見れば、計画には調査に関する事項を書く必要がある
- 計画を策定していない自治体もある。まず有無を確認する
記事の目次
空家等対策計画とは
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、市区町村が定める計画です。国の基本指針に即して策定されます。
国土交通省の資料によれば、空家法の施行(2015年)から2022年度末までに、全国1,741市区町村のうち1,450市区町村で空き家対策に関する計画が策定されています。法定協議会は992市区町村で設置されています。
大半の自治体が、すでに何らかの計画を持っているということです。
法定の記載事項
計画に定める事項は、法律で示されています。主なものは次のとおりです。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 対象地区・対象とする空家等の種類 | どこを、どういう空き家を対象にするか |
| 計画期間 | いつからいつまでの計画か |
| 空家等の調査に関する事項 | 実態把握をどう行うか |
| 適切な管理の促進に関する事項 | 所有者への働きかけ |
| 活用の促進に関する事項 | 空き家と跡地の活用 |
| 特定空家等への対処に関する事項 | 措置の進め方 |
| 相談への対応に関する事項 | 住民からの相談窓口 |
| 実施体制に関する事項 | 担当部署、関係機関との連携 |
「空家等の調査に関する事項」が法定の記載事項に含まれている点は、自治体にとって重要です。実態把握をどう行うかを計画に書く必要があるということになります。
民間が読む意味
計画は自治体のための文書ですが、民間にとっても営業の材料になります。
その自治体が空き家をどう捉えているか、どこに力を入れているか、どんな支援制度を用意しているか。これらが1つの文書にまとまっています。
とくに対象地区の記載は直接的です。自治体が重点的に見ている区域が分かれば、そこで所有者が動く可能性も読めます。指導や勧告が進めば、判断を迫られる所有者が出てくるためです。
民間が使える3つの情報
①対象地区と重点区域
計画には、対象とする地区が記載されます。市域全体を対象とする場合もあれば、特定の区域を重点として挙げている場合もあります。
2023年の改正で創設された空家等活用促進区域を定めている自治体であれば、その区域も計画に記載されます。区域内では接道規制や用途規制が合理化されるため、建替えができなかった物件の扱いが変わる可能性があります。
自社の営業エリアが該当するかどうか、まず確認する価値があります。
②支援制度の内容
解体、改修、活用、移住定住。その自治体がどの方向に支援を出しているかが分かります。
| 支援の方向 | 関わる事業者 |
|---|---|
| 除却(解体)の補助 | 解体会社、不動産会社 |
| 改修の補助 | リフォーム・改修会社 |
| 活用の補助 | 買取再販、用途転換を行う事業者 |
| 取得・移住の補助 | 不動産会社 |
制度の有無も要件も自治体によって違います。計画を読めば方向性は分かりますが、具体的な要件は担当窓口で確認してください。
なお市内の登録業者による施工を条件とする制度もあります。登録していなければ、補助を使う工事は受注できません。
③相談体制と連携先
計画には実施体制も記載されます。担当部署、法定協議会の構成、関係団体との連携。
2023年の改正で創設された空家等管理活用支援法人を指定している自治体であれば、その情報も記載されている場合があります。
自治体がどの団体と連携しているかが分かれば、自社がどう関われるかも見えてきます。相談窓口の運営や、専門家紹介の枠組みに参加している例もあります。
自治体側から見た計画と調査の関係
計画には「空家等の調査に関する事項」を記載します。つまり実態把握の方針を、計画の中で示す必要があります。
| 計画で示すこと | 実態調査との関係 |
|---|---|
| 対象地区 | 調査範囲の設定に直結する |
| 対象とする空家等の種類 | 調査項目の指定に直結する |
| 計画期間 | 再調査のタイミングを決める |
| 特定空家等への対処 | 状態別の分類が必要になる |
| 活用の促進 | 状態の良い空き家の把握が必要になる |
計画と調査の仕様は連動します。活用の促進を計画に掲げていながら、実態調査を老朽危険家屋の把握だけに設計すると、活用できる空き家が拾えません。
計画の改定時に調査が必要になる
計画には期間があります。改定の際には、前回からの変化を示す必要があります。
このとき効いてくるのが、調査の継続性です。前回と同じ基準・同じ範囲で調査していれば、件数の増減がそのまま実態の変化を表します。基準が変わっていれば、この説明は成立しません。
実態把握は国の補助事業の対象となる場合があります。空き家対策総合支援事業では、空家等対策計画の策定等に必要な空き家の実態把握が補助対象に含まれています。補助率や要件は年度によって変わるため、国土交通省の資料および都道府県の担当部署でご確認ください。
計画に沿った仕様で調査できます。
対象地区・対象とする空家等の種類・状態の分類まで、計画に合わせて設計します。
目的と対象範囲を伺ったうえで、費用とスケジュールをご提示します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
計画がない自治体もある
1,450市区町村で策定されているということは、残る約300市区町村では策定されていないということでもあります。
計画がなくても空家法にもとづく措置は可能ですが、体系的な取り組みは進んでいない可能性があります。
| 状況 | 民間から見た意味 |
|---|---|
| 計画があり、内容が具体的 | 方向性が読める。支援制度も整っていることが多い |
| 計画はあるが記載が概括的 | 実際の運用は窓口で確認する必要がある |
| 計画がない | 支援制度も限られる可能性がある |
まず有無を確認し、あれば内容を読む。この順序で進めてください。自治体のウェブサイトで公開されているのが一般的です。
記載の粒度は自治体によって違う
計画があっても、内容の詳しさには差があります。対象地区を具体的に示している自治体もあれば、市域全体としか書いていない自治体もあります。
計画は方向性を知るための材料であって、実務の詳細まで分かるものではありません。具体的な運用は、所管する窓口への確認が確実です。
目的によって、読むところが変わる
| 立場 | 読むべき部分 | 使い方 |
|---|---|---|
| 不動産会社 | 対象地区、活用の促進、支援制度 | 営業エリアの方向性を把握する |
| 解体会社 | 特定空家等への対処、除却の補助 | 措置の進み方と制度を確認する |
| リフォーム・改修会社 | 活用の促進、改修の補助、登録業者の要件 | 補助を使える工事かを判断する |
| 空き家管理会社 | 管理の促進、支援法人の指定 | 連携の可能性を探る |
| 自治体 | — | 計画と調査仕様を連動させる |
制度の話は断定しない
計画を読んで得た情報を所有者に伝える場合、断定は避けてください。
計画に書かれているのは方針であり、個別の物件が制度の対象になるかどうかは自治体が判断します。「補助金が使えます」「勧告されます」といった断定は、営業する側ができるものではありません。
伝えるべきは、そういう制度がある場合があるという事実と、市区町村の窓口で確認してほしいという案内です。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、計画で示された対象地区に絞って調査することもできます。予算額から逆算して範囲を設定することも可能です。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。計画で対象としている空家等の種類に合わせて指定できます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。計画への反映や議会説明を想定するなら、件数集計もあわせてご用意します。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。広域連携や複数自治体での共同実施にも対応します。
依頼から納品までの流れ
計画の対象地区や対象とする空家等の種類を確認したうえで、調査範囲・調査項目・判定基準を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。町丁目・集落単位での区切りにも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、指定された基準に沿って外観から状態を確認・記録します。
調査結果をもとに地番を割り出し、地区別・状態別に集計します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。次回調査との比較を前提とした形式でもご用意できます。
計画を読むときの注意点
よくあるつまずき
- 計画があるものと決めてかかる/策定していない自治体もあります。まず有無を確認してください
- 計画の記載を制度の詳細と考える/方針が書かれているだけで、要件は窓口での確認が必要です
- 他の自治体の計画をそのまま当てはめる/対象地区も支援制度も自治体ごとに違います
- 「補助金が使えます」と所有者に断定する/個別の対象になるかは自治体が判断します
- 計画と調査仕様を連動させない/活用の促進を掲げながら老朽物件だけ調べると、活用候補が拾えません
よくあるご質問
空家等対策計画はどこで読めますか?
各自治体のウェブサイトで公開されているのが一般的です。「〇〇市 空家等対策計画」で検索するか、所管部署にお問い合わせください。策定していない自治体もあります。
計画に沿った仕様で調査を依頼できますか?
できます。計画の対象地区や対象とする空家等の種類をお示しいただければ、それに合わせて調査範囲・調査項目・判定基準を設計します。
計画の改定に向けた調査もお願いできますか?
できます。前回調査の仕様や集計形式をお示しいただければ、比較できる形で実施します。基準を揃えることで、件数の増減がそのまま実態の変化を表します。
活用できる空き家も把握できますか?
できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。除却の対象と活用の候補を同時に抽出できます。
複数の自治体で共同実施できますか?
対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。同じ基準で調査すれば、自治体間の比較も可能になります。
まとめ
空家等対策計画は公開されており、誰でも読めます。全国1,741市区町村のうち1,450市区町村で策定されているとされ、大半の自治体が何らかの計画を持っています。
そこには対象地区、支援制度の方向、実施体制が書かれています。その自治体が空き家をどう捉え、どこに力を入れているかが分かるということです。
民間が使えるのは3つ。対象地区と重点区域、支援制度の内容、相談体制と連携先。とくに空家等活用促進区域を定めている自治体であれば、接道が悪い物件の扱いが変わる可能性があります。
自治体側から見れば、計画には「空家等の調査に関する事項」を記載します。計画と調査の仕様は連動するということです。活用の促進を掲げているなら、状態の良い空き家も把握できる設計にしておいてください。
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