空き家実態調査を外部委託する費用|予算から範囲を逆算する

空き家実態調査を外部委託する費用|予算から範囲を逆算する

空き家の実態調査を委託しようとすると、予算要求の段階で困ることがあります。いくらかかるのか、根拠を示せないという問題です。

相場が公開されていないわけではありません。単価の出し方が、一般的な業務委託と違うのです。多くの調査会社では調査面積に応じた従量制を採っています。弊社の場合、基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)です。

つまり「何件調べるか」ではなく「どれだけの面積を歩くか」で金額が決まります。この仕組みが分かれば、予算額から範囲を逆算することもできます。この記事では、費用の構造と仕様書に書くべき項目を整理します。

この記事の結論

  • 費用は面積に対する従量制。件数ではなく範囲で決まる
  • したがって予算額から範囲を逆算できる
  • 仕様書には範囲・対象・判定基準・記録項目・納品形式を書く
  • 実態把握は国の補助事業の対象となる場合がある
  • 複数年度に分けて全域を段階的に押さえる進め方もできる

費用の構造

弊社の土地調査サービスの料金体系です。

項目 料金(税別) 内容
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円 調査面積に応じた従量制
追加調査(1項目) 200円 空き地、古家、駐車場などを追加する場合
登記情報取得(所有者事項) 750円/件 調査で特定した地番の所有者を調べる
DM印刷・封入・発送代行 180円/通 所有者への通知を郵送する場合

1平方キロメートル(1,000,000㎡)を調査する場合、基本料金は100,000円(税別)という計算になります。

なぜ面積で決まるのか

調査は、調査員が対象エリアを実際に歩いて行います。1軒ずつ外観を確認し、状態を記録する作業です。かかる手間は「何軒見つけたか」ではなく「どれだけの範囲を歩いたか」で決まります

空き家が1軒も見つからない範囲でも、歩いた分の工数は発生します。逆に密集した地区であれば、同じ費用でより多くの建物を確認できます。

発注前に費用が確定する

この仕組みには、発注側にとっての利点があります。件数に応じた料金だと、実際に何件見つかるかによって最終的な支払額が変わります。予算の執行管理という観点では扱いにくい形です。

面積で決まるなら、範囲を決めた時点で費用が確定します。予算額を超えることはありません

予算額から範囲を逆算できる

従量制であるということは、逆算が成り立つということです。

  • 予算100万円(税別・基本料金分)なら、約10平方キロメートル
  • 予算50万円なら、約5平方キロメートル

実際には調査項目の追加や納品形式によって変わりますが、おおよその規模はこの計算で見当がつきます

「予算がこれだけあるので、この範囲で」という組み立て方ができます。逆に「市域全体でいくらか」を先に出すこともできます。

仕様書に書くべき5項目

委託する際、仕様書で明確にしておくべき項目は次の5つです。

①調査範囲

市域全体か、特定の地区か。全域を対象とする場合でも、住宅がほとんどない山林等を含めるかどうかで費用は変わります

面積従量制では、住宅が密集している地区も山林も同じ扱いです。行政区分でそのまま切るのではなく、住宅の集まり方に合わせて範囲を設定するほうが予算に対する精度は上がります。

②調査対象

何を空き家として拾うかを定義します。

決めること 影響
戸建てのみか、共同住宅を含めるか 件数が大きく変わる
共同住宅を含める場合、1棟すべて空きか、一部空室も含めるか 棟数か戸数かで数え方が変わる
空き地や倉庫・工場を含めるか 調査項目の追加になる

全国の空き家のうち55.9%は共同住宅です。含めるかどうかで、集計結果の意味が変わります。

③判定基準

最も重要な項目です。何をもって「空き家」と判定するかを、事前に文書化しておく必要があります。

郵便受け、窓・カーテン、庭木・雑草、電気・ガスメーター、建物の状態、敷地の状況。どの材料をどう見るかを定めておかなければ、調査員によって判断がばらつきます

基準があいまいなまま委託すると、次回調査で件数が増減しても、実態が変わったのか基準が変わったのか区別できなくなります

④記録項目

状態をどの粒度で分類するかを決めます。「空き家である/ない」の2区分では、管理不全空家等の判断材料になりません。

段階数は、その後の対応の種類に合わせてください。対応が3通りしかないのに5段階に分けても、運用でまとめ直すことになります。

⑤納品形式

形式 用途
地図への転記 分布の把握、現地対応の指示、庁内での共有
住所・地番リスト 所有者調査、通知の発送
件数集計 計画への反映、議会説明、次回調査との比較

実態調査の場合、3つすべてを受け取る形が一般的です。用途がそれぞれ違うためです。

予算の確保について

空き家の実態把握は、国の補助事業の対象となる場合があります。空き家対策総合支援事業では、空家等対策計画の策定等に必要な空き家の実態把握が補助対象に含まれています。

補助率や要件は年度によって変わり、事業ごとに条件も異なります。活用を検討される場合は、国土交通省の資料および都道府県の担当部署でご確認ください

複数年度に分ける進め方

単年度で市域全体を調査するのが難しい場合、年度ごとに範囲を分ける方法があります。

年度 範囲 ねらい
1年目 空き家が多いと見込まれる地区 優先度の高い範囲を先に押さえる
2年目 隣接地区 1年目の結果を踏まえて条件を調整できる
3年目 残りの範囲 全域の把握を完了させる

この進め方には、予算を分散できる以外の利点もあります。1年目の結果を見て、判定基準や記録項目を調整できるためです。ただし基準を変えると年度間の比較ができなくなるため、変更する場合はその旨を記録に残してください。

費用を左右する要素

要素 費用への影響
調査面積 最も大きい。基本料金がこれで決まる
調査項目の数 1項目につき200円(税別)の加算
記録の粒度 細かくするほど工数が増える
写真の有無 全件か一部かで変わる
所有者情報の取得 1件750円(税別)。件数に比例
通知の発送 1通180円(税別)。件数に比例

面積以外の要素は、いずれも件数か工数に比例します。予算に合わせて調整する場合、まず範囲を、次に記録の粒度を検討することになります。

調査項目の追加は割安になる

同じ範囲を歩くのであれば、複数の項目を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります。追加は1項目につき200円(税別)です。

空き家に加えて空き地を記録しておけば、取り壊し後の区画も把握できます。倉庫・工場を含めれば、住宅以外の遊休不動産も分かります。別々に発注するより費用は抑えられます。

予算額から、調査範囲をご提案します。

仕様書の作成段階からご相談いただけます。
目的と対象範囲を伺ったうえで、費用とスケジュールをご提示します。

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委託先を選ぶときの確認事項

確認すること なぜ必要か
調査員が現地を歩くか 地図やデータのみの机上調査では、実態は把握できない
判定基準を共有できるか 基準が不明確だと、次回との比較ができない
状態別の記録に対応できるか 管理不全空家等の判断に段階的な記録が必要
納品形式を選べるか 計画・現地対応・議会説明で必要な形が異なる
範囲を細かく指定できるか 予算に合わせた範囲設定ができる
継続実施に対応できるか 次回も同じ基準で実施できるか

とくに1つ目は確認しておいてください。統計や地図データを整理するだけの調査では、どの建物がどういう状態かは分かりません。

広域での実施も可能

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます

隣接自治体との共同実施や、広域連携での調査にも対応します。同じ基準で調査すれば、自治体間の比較も可能になります

費用・期間・納品物

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。状態別に分類したうえで地図上に色分けし、あわせて地区別の件数を集計する形にも対応します

所有者への通知が必要な場合、登記情報の取得から印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

依頼から納品までの流れ

目的と予算のヒアリング
計画の策定・改定、管理不全空家等の把握、活用施策など目的を確認し、予算規模もうかがいます。予算額から範囲を逆算したご提案も可能です。
仕様の設計
調査範囲・対象・判定基準・記録項目・納品形式を決めます。次回調査との比較を前提とした設計にも対応します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。町丁目・集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、指定された判定基準に沿って外観から状態を確認・記録します。
集計と納品
地番を割り出し、地区別・状態別に集計します。地図・リスト・集計表の形で納品します。

予算を組むときの注意点

よくあるつまずき

  • 件数ベースで積算しようとする/費用は面積で決まります。何件見つかるかは事前に確定しません
  • 市域全体を一律に指定する/住宅のない範囲も面積として費用に乗ります
  • 判定基準を仕様に書かない/調査員によってばらつき、次回との比較もできなくなります
  • 納品形式を1つに絞る/計画・現地対応・議会説明では必要な形が違います
  • 調査項目を後から追加する/同じ範囲を再度歩くことになります。最初に指定してください

よくあるご質問

予算に合わせて範囲を決められますか?

できます。費用は面積に対する従量制のため、予算額から逆算して調査範囲を設定できます。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)ですので、おおよその規模はこの単価で見当がつきます。

市域全体でいくらになりますか?

面積によって変わります。ただし住宅がほとんどない山林等を含めるかどうかで金額が大きく変わるため、対象範囲の考え方からご相談いただくことをおすすめしています。

仕様書の作成段階から相談できますか?

できます。目的をお伺いしたうえで、判定基準や記録項目、納品形式についてご提案します。次回調査との比較を前提とした仕様設計にも対応します。

複数年度に分けて実施できますか?

できます。年度ごとに範囲を分け、段階的に全域を押さえる進め方に対応します。1年目の結果を踏まえて条件を調整することもできますが、基準を変更すると年度間の比較ができなくなる点にご注意ください。

近隣自治体と共同で実施できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。同じ基準で調査すれば、自治体間の比較も可能になります。

まとめ

空き家の実態調査の費用は、面積に対する従量制で決まります。件数ではなく範囲で決まるため、発注前に金額が確定します。予算の執行管理という点では扱いやすい形です。

そして逆算が成り立ちます。基本料金が10,000㎡あたり1,000円(税別)であれば、予算額からおおよその調査可能面積が出せます。「予算がこれだけあるので、この範囲で」という組み立てができます。

仕様書に書くべきは5項目。範囲・対象・判定基準・記録項目・納品形式です。このうち判定基準が最も重要で、ここがあいまいだと次回調査との比較が成立しません。

実態把握は国の補助事業の対象となる場合があります。単年度で難しければ、複数年度に分けて段階的に全域を押さえる進め方もできます。まずは目的と予算規模をお聞かせください。

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