空き家所有者へのDMの送り方|到達率を上げる住所の押さえ方

空き家所有者へのDMの送り方|到達率を上げる住所の押さえ方

空き家の所有者にアプローチする手段として、DMは現実的な選択肢です。所有者が遠方にいることが多く、訪問では会えないためです。

ただし、DMには前提があります。登記簿に記載された住所は、登記の手続きをした時点のものだということです。その後に転居していても、本人が変更登記をしない限り更新されません。10年、20年前の相続や購入のまま止まっていれば、住所は当時のものです。

つまりDMの成果は、文面を練る前の段階で相当部分が決まっています。何通届いたかが、何件反応があったかの上限になるからです。この記事では、到達率を左右する要因と、送る前に整えておくべきことを整理します。

この記事の結論

  • DMが必要なのは、所有者が遠方にいて訪問が成立しないケースが多いため
  • 登記簿の住所は登記した時点のもの。転居していても更新されない
  • 届かない理由は住所の古さ・名義人が故人・宛名の不備の3つに分けられる
  • 返送は必ず出る。返送率を記録して次に活かす設計にしておく
  • 費用は印刷・封入・発送代行で180円/通(税別)。調査から一括で対応

なぜDMなのか

空き家の所有者に接触する手段は、訪問・電話・DMの3つです。このうち訪問と電話は、多くの場合そもそも成立しません。

手段 成立する条件 空き家での実際
訪問 所有者がその場所か近隣にいる 空き家に住んでいないため会えない
電話 電話番号が分かる 登記情報に電話番号は記載されない
DM 住所が分かる 登記情報から住所は取得できる

登記情報から取得できるのは氏名と住所です。電話番号は含まれません。したがって、公開情報だけを使って接触するなら、郵送が実質的に唯一の手段になります。

所有者がどこにいるかは県によって違う

住宅・土地統計調査によると、世帯が現住居の敷地以外に持っている土地のうち、同じ市区町村内にあるものは全国平均で70.9%です。ただし県による差は大きくなります。

所有地が同じ市区町村内にある割合 他県にある割合
福井県 87.1%(全国1位)
鳥取県 86.4%
全国平均 70.9% 14.1%
神奈川県 51.8%(全国46位) 33.8%(全国2位)

神奈川県では、所有地の3分の1が他県にあります。訪問を前提にした計画が成立しない地域では、DMの重要度がそのまま上がります

届かない3つの理由

DMが所有者に届かないケースは、大きく3つに分けられます。

①登記簿の住所が古い

最も多い理由です。所有者が転居しても、変更登記をしなければ登記簿の住所は変わりません。相続や購入から年数が経っているほど、住所が古いままである可能性は高くなります。

これは登記制度上の仕組みであって、避けようがありません。一定の割合で返送が出ることを前提に計画を立てる必要があります。

②名義人が故人のまま

相続が発生しても登記を変更しなければ、名義は亡くなった方のままです。従来、相続登記に期限がなかったため、数世代前の名義で止まっている不動産も存在します。

この場合、その住所に送っても本人には届きません。相続人が同じ住所に住んでいれば届く可能性はありますが、確実ではありません。

なお2024年4月から相続登記の申請が義務化され、過去に発生した相続も対象となりました。今後は名義と実態が一致するケースが増えていくと見込まれますが、過去分が行き渡るには時間がかかります。

③宛名の書き方が実態に合っていない

登記簿の記載をそのまま宛名にすると、実際の受取人と食い違うことがあります。氏名の表記、旧字体の扱い、集合住宅の部屋番号の有無など、細かい点が到達率に影響します。

特に注意が必要なのが、名義人が故人である可能性がある場合の宛名です。どう書くかによって、受け取った家族の心証は大きく変わります。判断に迷う場合は、社内で表記のルールを決めたうえで統一しておくことをおすすめします。

返送は必ず出る。記録して次に活かす

返送をゼロにすることはできません。重要なのは、どれくらい返送されたかを記録しておくことです。

返送率が分かれば、次回以降の計画が立てられます。エリアによって返送率が違えば、その地域の所有者の居住状況が推測できます。返送された物件は、別の手段を検討する対象として残しておけます。

「送って終わり」にせず、発送数・返送数・反応数を1回ごとに記録する。この3つの数字があるだけで、2回目以降の精度が変わります。

到達率を上げる4つの工夫

①現地調査で対象を確定してから送る

最も効くのがこれです。地図やデータだけで「空き家らしい」と判断して送ると、居住中の住宅にDMが届くことがあります。受け取った側は不快に感じますし、その1通は無駄になります。

現地で外観を確認してから対象を確定すれば、この誤りは防げます。郵便受けの状態、カーテンの有無、庭木の伸び方といった判断材料は、近づいて初めて分かるものです。

②土地と建物の両方を確認する

日本の登記制度では、土地と建物は別の不動産として扱われます。同じ場所でも所有者が異なることがあります

借地に建っている家、親の土地に子が建てた家などが該当します。どちらの所有者に送るべきかは目的によって変わるため、事前に確認しておいてください。

③送る時期をずらして分ける

一度に全件送ると、返送も問い合わせも同時に来ます。受け皿の準備が追いつかなければ、せっかくの反応を取りこぼします

まず一部で送って返送率と反応率を確認し、そのうえで残りに広げる。この進め方であれば、文面や宛名の書き方も途中で調整できます。

④返送されたものを次の手がかりにする

返送されたDMは失敗ではありません。「登記簿の住所にはもういない」という情報が得られたということです。

その物件を対象から外すのか、別の方法を検討するのか。判断のためには、返送されたものを記録として残しておく必要があります。

目的によって、送る相手と内容が変わる

立場 主な目的 送る対象 押さえておきたいこと
不動産会社 売却・買取の提案 放置型の空き家の所有者 土地と建物の所有者を確認しておく
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案 居住中の築古住宅の居住者 登記情報ではなく現地の居住実態で判断する
自治体 実態把握、管理不全な空き家への対応 対象区域の空き家所有者 制度に基づく通知との使い分けを整理する

リフォームや外壁塗装の場合、対象は空き家ではなく居住中の築古住宅です。この場合、所有者の登記情報を取得するより、現地で居住実態を確認したうえで送るほうが実務に合います。「古家(居住中)」を調査項目として指定してください。

調査から発送まで、一括で対応します。

現地調査で対象を確定し、登記情報を取得して、DMの印刷・封入・発送まで。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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送る前に整えておくこと

DMを出す前に、社内で決めておいたほうがよいことがあります。

項目 決めておくこと
受け皿 問い合わせが来たとき、誰がどう対応するか
対応時間 電話を受けられる時間帯と、不在時の扱い
記録の方法 発送数・返送数・反応数をどこに残すか
次の一手 反応がなかった場合、再送するのか別の手段にするのか
情報の取り扱い 取得した所有者情報を社内でどう管理するか

特に受け皿の準備は重要です。反応があってから体制を考えていては、問い合わせをした側が待たされます。空き家の所有者は、一度断ってしまうと次に応じてくれるとは限りません。

情報の取り扱いについて

登記情報は公開されており、取得にあたって利用目的を問われることはありません。ただし、公開情報であることと、どのように使ってよいかは別の問題です。取得した個人情報の管理方法については、社内でルールを整えたうえで進めてください。

また、宅地建物取引業者による勧誘については、業法上のルールが定められています。DMの内容や再度の連絡については、判断に迷う場合は所管の窓口や専門家への確認をおすすめします。

費用・期間・納品物

弊社では、調査から発送までを一括してご依頼いただけます。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査費用は面積に対する従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)で、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。所有者の居住地が県外であっても対応します。

DMの印刷・封入・発送代行は1通180円(税別)。調査から発送までを一本の流れにしておけば、社内で住所の名寄せや封入作業をする必要がありません

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。発送を依頼せず、リストだけを受け取って自社で送ることもできます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から発送までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。居住中の住宅にDMを送ってしまう事態を防ぐ工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、登記情報から所有者事項を取得します。
DMの印刷・封入・発送
取得した宛名でDMを作成し、発送まで行います。リストのみの納品にも対応します。

DMを送るときの注意点

よくあるつまずき

  • 現地を確認せずに送る/居住中の住宅に届けば、受け取った側は不快に感じます。対象の確定が先です
  • 返送をゼロにしようとする/登記簿の住所は登記時点のものです。一定の返送は避けられません
  • 一度に全件送る/返送も問い合わせも同時に来ます。まず一部で試してください
  • 受け皿を決めずに送る/反応があってから体制を考えていては、問い合わせた側が待たされます
  • 発送数・返送数・反応数を記録しない/この3つがないと、2回目以降の精度が上がりません

よくあるご質問

DMの文面も作ってもらえますか?

印刷・封入・発送を代行しています。原稿については、ご用意いただいたものを使用する形が基本です。内容や体裁についてご相談があれば、お問い合わせの際にお伝えください。

リストだけ受け取って自社で送ることはできますか?

できます。調査で特定した地番と所有者情報をリストの形で納品しますので、そのまま自社で発送していただけます。発送代行を使うかどうかは、件数と社内の体制に応じてご判断ください。

どれくらい返送されますか?

物件の状況やエリアによって異なるため、一律の目安をお示しすることはできません。件数が多い場合は、まず一部で送って返送率を確認してから全体に広げる進め方をおすすめしています。

所有者が県外でも発送できますか?

できます。登記情報に記載された住所へ発送するため、居住地が県外であっても対応します。

まず何通くらいから始めるとよいですか?

目的と体制によりますが、受け皿の準備が整う範囲から始めることをおすすめしています。反応があったときに対応できる件数を先に決めておくと、取りこぼしを防げます。

まとめ

空き家の所有者は遠方にいることが多く、訪問では会えません。登記情報から取得できるのは氏名と住所だけで、電話番号は含まれない。したがって、公開情報だけで接触するならDMが実質的に唯一の手段になります。

そのDMの成果は、文面より前の段階で相当部分が決まります。登記簿の住所は登記した時点のものであり、相続登記がされていなければ名義は故人のまま。一定の返送は構造的に避けられません。

できることは3つあります。現地調査で対象を確定してから送ること、一度に全件送らず一部で試すこと、発送数・返送数・反応数を記録すること。この3つを守れば、2回目以降の精度は確実に上がります。

調査から発送まで一括でご依頼いただけます。まずは対象エリアと目的をお聞かせください。

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