空き家所有者にどう接触するか|4つの手段と対象別の使い分け

空き家所有者にどう接触するか|4つの手段と対象別の使い分け

調査で対象を特定し、所有者も分かった。次はどう連絡するかです

ここで多くの方がつまずきます。空き家には人が住んでいないため、訪問しても会えません。そして登記情報に電話番号は記載されていません。

使える手段は限られています。しかも対象が空き家か居住中の住宅かで、選べる手段が変わります。この記事では、4つの手段を対象別に整理します。

この記事の結論

  • 手段はDM・訪問・電話・ポスティングの4つ
  • 空き家所有者にはDMが実質的な手段になる
  • 登記情報に電話番号は記載されない
  • 居住中の住宅なら訪問・ポスティングが使える
  • 対象によって必要な情報も工程も変わる

4つの手段

手段 必要な情報 特徴
DM(郵送) 氏名・住所 遠方でも届く。返送が一定割合出る
訪問 住所 その場で話せる。不在なら会えない
電話 電話番号 直接話せる。番号の入手が難しい
ポスティング 住所(宛名不要) 広く配れる。誰が読むかは選べない

それぞれ必要な情報が違います。手段を決めれば、調査で取得すべき情報も決まります。

空き家所有者にはDMが実質的

空き家には人が住んでいません。その物件を訪ねても、所有者には会えません

そして所有者は遠方に住んでいることが少なくありません。住宅・土地統計調査によると、世帯が持つ敷地以外の土地のうち他県にあるものは全国平均で14.1%。神奈川県では33.8%にのぼります。

手段 空き家所有者への適用
DM(郵送) 使える。登記情報から住所を取得する
訪問 物件では会えない。登記上の住所を訪ねる方法はあるが負担が大きい
電話 登記情報に番号がないため、実質的に使えない
ポスティング 空き家に配っても所有者には届かない

公開情報だけで接触するなら、郵送が現実的な手段になります

登記情報に電話番号はない

登記事項証明書に記載されるのは、所有者の氏名と住所です。電話番号は含まれません。

これは制度上の仕様であり、工夫で得られるものではありません。「番号さえ分かれば電話で」という進め方は、公開情報の範囲では成立しません

したがって、空き家所有者への接触は郵送を前提に設計することになります。返送が一定割合出ることも織り込んでください。登記簿の住所は登記した時点のもので、転居していても変更登記をしなければ更新されないためです。

居住中の住宅なら手段が増える

リフォームや外壁塗装の提案先は、人が住んでいる築古住宅です。この場合、選べる手段が変わります。

手段 居住中の住宅への適用
ポスティング 使える。宛名が不要なため所有者情報も不要
訪問 使える。居住者がいるため会える可能性がある
DM(郵送) 使えるが、宛名を取得する工程が増える
電話 番号の入手が難しい

工程が減る

ポスティングであれば、地番の割り出しと登記情報の取得が不要になります。住所さえ分かれば配れるためです。

これは費用にも工程にも効きます。登記情報の取得(750円/件)が発生しないぶん、同じ予算でより広く当たれます。

また扱う個人情報も減ります。氏名を取得しないため、管理すべき情報が少なくなります

訪問には関連する規制がある

訪問して勧誘を行う場合、業種や取引の内容に応じた規制があります

不動産の取引であれば宅地建物取引業法、訪問販売であれば特定商取引法など、関わる法令が異なります。自社の業務にどの規制が適用されるかは、事前にご確認ください

この記事は接触手段の整理を目的としたもので、個別の規制について判断するものではありません

法人所有の場合

所有者が法人であれば、登記上の本店所在地が宛先になります

項目 考え方
宛先 登記上の本店所在地
宛名 法人名。担当部署が分かれば付記する
手段 郵送が基本
反応までの期間 社内の意思決定を経るため時間がかかる

個人よりも所在は追いやすくなります。商業登記は誰でも取得でき、本店所在地の変更履歴も確認できるためです。

一方、反応までの時間は長くなります。1回の反応がなかっただけで打ち切らないほうが実務に合います。

返送は構造的に出る

DMを送れば、一定割合が返送されます。登記簿の住所は登記した時点のものだからです

相続登記に期限がなかったため、名義が故人のままという物件もあります。この場合、そもそも届く相手がいません

義務化で改善に向かう

制度 施行 内容
相続登記の義務化 2024年4月1日 取得を知った日から3年以内
住所等変更登記の義務化 2026年4月1日 変更日から2年以内

どちらも施行前の相続・転居が対象です。長期的には登記情報の鮮度が上がり、返送も減っていくと考えられます。

ただし猶予期間があります。相続登記は原則2027年3月31日まで、住所等変更登記は2028年3月31日まで。当面は古い住所が残っている前提で発送数を決めてください

返送も情報として残す

返送されたということは、「登記簿の住所にはもういない」という情報が得られたということです。

この記録があれば、次回の判断ができます。同じ物件に再度送るのか、対象から外すのか、士業に依頼するのか。返送されたものを捨てずに残しておいてください

調査から発送まで一括で対応します。

地番の割り出し、登記情報の取得、DMの印刷・封入・発送までお任せいただけます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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手段によって必要な工程が変わる

手段 必要な工程 費用の目安(税別)
ポスティング 現地調査まで 基本料金のみ
訪問 現地調査まで 基本料金のみ
DM(空き家) 現地調査+地番+登記情報+発送 基本料金+750円/件+180円/通

ポスティングと訪問であれば、現地調査までで足ります。地番の割り出しも登記情報の取得も不要です。

一方、空き家所有者へのDMでは工程が増えます。ただし他に手段がないため、この工程は避けられません

件数に比例する部分がある

基本料金は面積に対する従量制なので、何件見つかっても変わりません。一方、登記情報の取得とDMの発送は件数に比例します

まず調査を実施し、件数を確認してから判断していただく形も可能です

目的によって、選ぶ手段が変わる

立場 対象 主な手段
不動産会社(仕入れ) 空き家の所有者 DM
買取再販 空き家の所有者 DM
解体会社 空き家の所有者 DM
リフォーム・外壁塗装会社 居住中の住宅 ポスティング、訪問
空き家管理会社 空き家の所有者 DM
士業 空き家の所有者 DM(業務広告のルールを確認)

士業には広告のルールがある

司法書士、税理士、弁護士などには、それぞれの法令や会規で業務広告に関するルールが定められています。

DMを送る場合も、これらのルールに沿う必要があります。内容については、所属する会や関係団体にご確認のうえご依頼ください

自治体は通知として送る

自治体の場合、営業ではなく制度に基づく通知や案内として送ることになります。

課税情報の内部利用など、民間にはない手段で所有者を特定できる場合もあります。庁内の規定にもとづいて運用してください

送付停止への対応

DMを受け取った方から「今後送らないでほしい」という連絡が来ることがあります。最も現実的に起こりうる場面です

備えておくこと 内容
除外リストの管理 次回以降の発送で反映される仕組み
取得経路の説明 登記情報から取得したと説明できるようにする
問い合わせの窓口 誰が対応するかを決めておく

登記情報から取得したのであれば、そう伝えれば足ります。公開情報であり、誰でも取得できるものだからです。ごまかす必要はありません。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただけます。

所有者の氏名が不要であれば、住所・地番までの納品にとどめることもできます。ポスティングを前提とする場合は、この形で足ります。

なおDMの原稿はご用意いただいたものを使用する形が基本です。文面の作成は業務範囲に含まれません。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と接触手段のヒアリング
何のためのリストか、どの手段で接触するかを確認します。手段によって必要な情報が変わるため、この段階で決めておきます。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
DMを送る場合、調査で特定した地番をもとに登記情報から所有者事項を取得します。ポスティングであればこの工程は不要です。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

接触するときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家を訪問して所有者に会おうとする/人が住んでいません。会えません
  • 電話番号が登記で分かると考える/記載されていません
  • 返送を想定せずに発送数を決める/登記簿の住所は登記時点のものです
  • 返送されたDMを捨てる/「その住所にはいない」という情報です
  • 送付停止の連絡に対応する仕組みがない/最も現実的に起こりうる場面です

よくあるご質問

所有者の電話番号は分かりますか?

分かりません。登記事項証明書に記載されるのは氏名と住所のみで、電話番号は含まれません。公開情報の範囲では取得できないため、郵送を前提とした設計をおすすめしています。

DMの発送まで依頼できますか?

できます。調査で特定した地番をもとに登記情報を取得し、そのまま印刷・封入・発送まで代行します。1通180円(税別)です。ただし原稿はご用意いただいたものを使用する形が基本です。

ポスティングの場合、所有者情報は必要ですか?

不要です。宛名なしで配布できるため、地番の割り出しと登記情報の取得の工程が省けます。住所・地番までの納品にとどめることも可能です。

どれくらい返送されますか?

一律にお示しすることはできません。地域や物件の状況によって変わるためです。まず一部の範囲で試し、返送率を記録してから本格的に発送する進め方をおすすめしています。

法人所有でも同じ方法で送れますか?

送れます。登記上の本店所在地が宛先になります。ただし社内の意思決定を経るため、反応までに時間がかかる点は考慮してください。

まとめ

接触の手段は4つ。DM・訪問・電話・ポスティングです。ただし対象によって、選べるものが変わります。

空き家所有者にはDMが実質的な手段になります。空き家には人が住んでいないため訪問しても会えず、登記情報に電話番号は記載されないためです。所有者が遠方にいることも少なくありません。

一方、居住中の築古住宅が対象であれば、ポスティングや訪問が使えます。宛名が不要なぶん、地番の割り出しと登記情報の取得という工程が省けます。費用も工程も、扱う個人情報も減ります。

そして返送は構造的に出ます。登記簿の住所は登記した時点のものだからです。2024年と2026年の義務化で長期的には改善に向かいますが、猶予期間中は古い住所が残っている前提で発送数を決めてください。

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