所有者が法人の空き家・遊休不動産|個人とは違う進め方と確認点

所有者が法人の空き家・遊休不動産|個人とは違う進め方と確認点

登記情報を取得したら、所有者が法人だった。この場合、進め方は個人所有とは変わります

相続も感情の整理もありませんが、代わりに社内の意思決定という工程が入ります。1回の接触で結論が出ることは、まずありません

とくに事業用の不動産では、法人所有の割合が高くなります。使われていない倉庫や工場、一棟のアパート、月極駐車場。いずれも住宅・土地統計調査の対象外か、対象でも別の扱いになる領域です。この記事では、法人所有の物件をどう進めるかを整理します。

この記事の結論

  • 登記情報で法人名と本店所在地が分かる
  • 判断は社内の意思決定を経る。時間がかかる前提で設計する
  • 法人の登記情報は誰でも取得できる。存続状況も確認できる
  • 事業用不動産ほど法人所有の割合が高い
  • 個人と違い感情の問題は小さい。判断は採算で決まる

個人所有との違い

項目 個人所有 法人所有
登記上の住所 個人の住所 本店所在地
判断の主体 本人(共有なら全員) 社内の意思決定を経る
反応までの時間 比較的短い 時間がかかることがある
判断の基準 採算に加えて感情も関わる 採算が中心
相続の影響 大きい 基本的にない
所在の追いやすさ 転居で追えなくなることがある 登記で確認できる

最も大きい違いは、判断のプロセスです。個人であればその場で「売ります」と言えますが、法人では社内で検討する工程が入ります。

反応が遅いのは断りではない

DMを送っても、すぐには返事が来ません。担当者が受け取り、上長に上げ、検討して回答する。この間に数週間から数か月かかることがあります。

1回の反応がなかっただけで打ち切らないほうが実務に合います。個人と同じ基準で判断すると、見込みのある相手を取りこぼします。

法人の情報は個人より追いやすい

個人所有では、登記簿の住所が古いままということがよくあります。転居しても変更登記をしなければ更新されないためです。

一方、法人の場合は登記事項証明書を取得すれば、商号や本店所在地の変更履歴も確認できます。商業登記は誰でも取得できます。

国税庁の法人番号公表サイトでも、商号と所在地を確認できます。個人よりも所在を追いやすいという点は、実務上の利点です。

法人の状況も確認できる

登記事項証明書からは、その法人の状況も読み取れます。

確認できること 読み取れること
設立年月日 事業の歴史
目的 本業が何か
役員の変更履歴 代替わりの有無
本店移転の履歴 拠点の変化
解散・清算の記載 すでに活動していないか

休眠している法人もある

登記上は存続していても、実際には活動していない法人があります。この場合、連絡が取れないことがあります

なお会社法では、最後の登記から12年を経過した株式会社について、一定の手続きを経て登記官が職権で解散の登記をする制度があります。いわゆる休眠会社のみなし解散です。

役員の変更登記が長期間されていない法人は、活動していない可能性があります。登記情報を見れば、この点も確認できます。

制度の内容や手続きの詳細については、法務局や司法書士などの専門家への確認をご案内ください

法人所有が多い対象

調査項目によって、法人所有の割合は変わります。

調査項目 法人所有の傾向
倉庫・工場 高い。事業用のため
古アパート 一定数ある
駐車場 一定数ある
空き地 用途による
空き家(戸建て) 低い。個人所有が中心

倉庫・工場は統計にない

使われていない倉庫や工場は、住宅・土地統計調査の対象外です。全国にどれだけあるかを示すデータが存在しません。

件数としては住宅より少なくなりますが、1件あたりの敷地面積と取引規模は大きくなります。件数ではなく、1件あたりの規模で評価する対象です。

そして所在を知るには、現地を歩いて記録するしかありません

駐車場の看板は所有者とは限らない

月極駐車場には管理会社の看板が出ていることがあります。ただしそこに書かれているのは管理を委託されている会社であり、土地の所有者とは限りません

確実に確認するには、登記情報を取得する必要があります。地番を割り出したうえで所有者事項を取得する流れになります。

接触の設計

法人が相手の場合、接触の仕方も変わります。

項目 考え方
宛先 登記上の本店所在地
宛名 法人名。担当部署が分かれば付記する
内容 採算や事業上の判断材料を中心に
期間 数週間から数か月を見込む
再接触 一定期間をおいて行う

感情に訴える内容は効きにくい

個人所有の空き家では、その家が亡くなった家族の家であることが多く、感情の整理が判断を左右します。空き家の57.9%は相続によるもので、原因の58.3%は所有者の死亡です。

法人にはこの要素がありません。判断は採算と事業方針で決まります

したがって伝えるべきは、維持費の負担、税、活用の選択肢といった事業上の判断材料です。

法人所有の物件も、地番から特定できます。

倉庫・工場・駐車場・古アパートを同じ地図に落とせます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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複数の物件を持っていることがある

法人所有の場合、同じ法人が複数の物件を持っているケースがあります

調査結果の所有者名を突き合わせれば、これが分かります。1件の話が、複数件の話に広がる可能性があるということです

気づけること 使い道
同一法人が複数の物件を所有 まとめて提案できる可能性
隣接する物件を同じ法人が所有 一体での活用を検討できる
特定のエリアに集中して所有 その地域での事業展開の履歴

納品されるリストを所有者名で並べ替えるだけで確認できます。個人所有では起きにくい、法人ならではの発見です。

目的によって、狙う対象が変わる

立場 法人所有との関わり 調査で指定するとよい条件
不動産会社(用地) 倉庫・工場・空き地が対象 複数項目を同時に指定
不動産会社(一棟) 古アパートが対象 「古アパート」を棟単位で指定
解体会社 倉庫・工場の解体 接道と隣家との距離も記録
土地活用の提案会社 駐車場・空き地が対象 「駐車場」+「空き地」
自治体 事業用の遊休不動産の把握 倉庫・工場を調査項目に加える

用地探しでは複数項目を組み合わせる

開発用地として成立するかどうかは、1筆ごとではなくまとまりで決まります

単独では規模が足りなくても、隣接する空き地や駐車場と合わせれば成立することがあります。この可能性は、複数の類型を同じ地図に落として初めて見えます

調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。同じ範囲を歩くのであれば、複数を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります

自治体は事業用も対象になりうる

空家法にいう空家等は、建築物等であって住宅に限られません。使われていない倉庫や工場も、状態によっては対象になりえます。

ただし実態調査を住宅だけに設計すると、この層は拾えません。調査項目に含めるかどうかを、仕様の段階で決めておいてください

調査でできること・できないこと

できること できないこと
使われていない建物・土地の特定 所有者が法人かどうかの外観判断
おおよその規模の記録 正確な敷地面積
接道の状況の記録 法人の事業状況
地番の割り出し 担当部署の特定
登記情報からの所有者事項の取得 法人の登記事項の詳細な調査

外観から所有者が法人かどうかは分かりません。登記情報を取得して初めて判明します。

弊社では調査で特定した地番をもとに、所有者事項を1件750円(税別)で取得できます。法人所有であれば、法人名と本店所在地が確認できます

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。法人所有であっても対応します。DMの発送先は登記上の本店所在地になります。

調査項目は、倉庫・工場のほか、空き地、駐車場、古アパート、空き家(戸建て)、古家(居住中)などから選べます。事業用の遊休不動産を探す目的であれば、倉庫工場・空き地・駐車場の組み合わせが基本になります

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
どういう物件を探しているかを確認したうえで、対象範囲と調査項目、対象とする規模の下限を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。工業系の地区に絞った範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、一件ずつ規模・利用状況・接道を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、登記情報から所有者事項を取得します。法人所有の場合、法人名と本店所在地が確認できます。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

法人が相手のときの注意点

よくあるつまずき

  • 個人と同じ基準で反応を判断する/社内の意思決定を経るため時間がかかります
  • 感情に訴える内容で送る/判断は採算と事業方針で決まります
  • 看板の会社名を所有者と考える/管理を委託されている会社の場合があります
  • 複数所有の可能性を見落とす/リストを所有者名で並べ替えれば分かります
  • 事業用不動産を統計で探そうとする/倉庫・工場には全国的な悉皆調査がありません

よくあるご質問

所有者が法人かどうか調査で分かりますか?

外観からは分かりません。調査で地番を特定し、登記情報を取得することで判明します。法人所有であれば、法人名と本店所在地が記載されます。

法人所有でもDMを送れますか?

送れます。登記上の本店所在地が宛先になります。調査で特定した地番をもとに所有者事項を取得し、そのまま印刷・封入・発送まで代行できます。

倉庫や工場も調査対象にできますか?

できます。「倉庫・工場」を調査項目として指定いただければ、使われていない事業用の建物を調査・報告します。住宅・土地統計調査の対象外のため、現地調査でしか把握できない対象です。

同じ法人が複数の物件を持っているか分かりますか?

納品されたリストを所有者名で並べ替えていただければ確認できます。調査範囲内で複数所有している場合、まとめて提案できる可能性があります。

法人の事業状況まで調べてもらえますか?

対応していません。弊社が提供するのは、不動産の登記情報から取得できる所有者事項までです。法人の登記事項については、法務局や専門家にご確認ください。

まとめ

所有者が法人の場合、進め方は個人所有と変わります。相続も感情の整理もありませんが、代わりに社内の意思決定という工程が入ります

反応までに数週間から数か月かかることがあるため、1回の反応がなかっただけで打ち切らないほうが実務に合います。個人と同じ基準で判断すると、見込みのある相手を取りこぼします。

一方、所在は個人より追いやすいという利点があります。商業登記は誰でも取得でき、本店所在地の変更履歴も確認できます。個人所有のように、転居で追えなくなることは起きにくくなります。

そして事業用の不動産ほど法人所有の割合が高くなります。倉庫・工場、古アパート、駐車場。とくに倉庫・工場は住宅・土地統計調査の対象外で、所在を知るには現地を歩くしかありません。件数は少なくても、1件あたりの規模は大きくなります。

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