空き家に関わる制度改正の年表|2023年から2028年までの流れ

空き家に関わる制度改正の年表|2023年から2028年までの流れ

2023年から2026年にかけて、空き家に関わる制度が相次いで変わりました。民法、空家法、不動産登記法、税制。それぞれ別の法律ですが、いずれも所有者不明土地の発生を防ぐという方向で整備されています。

そして猶予期間や適用期限が設定されているものがあります。いつまでに何をすべきかが、制度ごとに違います。

この記事では、施行の順に整理します。個別の適用については、それぞれの窓口や専門家への確認をご案内ください

この記事の結論

  • 2023年4月に民法改正相続土地国庫帰属制度
  • 2023年12月に改正空家法が施行
  • 2024年4月に相続登記の義務化
  • 2026年4月に住所等変更登記の義務化
  • 猶予期間は2027年3月と2028年3月まで

全体の流れ

時期 内容
2023年4月1日 民法改正(共有・財産管理制度の見直し)
2023年4月27日 相続土地国庫帰属制度の開始
2023年12月13日 改正空家法の施行
2024年4月1日 相続登記の義務化
2026年4月1日 住所等変更登記の義務化
2027年3月31日 相続登記の猶予期限(施行前の相続)
2027年12月31日 空き家の3,000万円特別控除の適用期限
2028年3月31日 住所等変更登記の猶予期限(施行前の変更)
2028年12月31日 低未利用土地等の100万円控除の適用期限

3年ほどの間に、これだけの変更がありました

2023年4月|民法改正

共有と財産管理に関する規定が見直されました。所有者不明の土地や建物への対応が整備されています

整備された仕組み 概要
所在等不明共有者の持分の取得 裁判所の関与により、他の共有者が持分を取得できる
所在等不明共有者の持分の譲渡 裁判所の関与により、第三者への譲渡が可能になる
共有物の管理に関する規律の整理 行為の種類ごとの要件が明確化された
所有者不明土地・建物の管理制度 特定の土地・建物について管理人を選任できる

いずれも裁判所の手続きが必要です。時間も費用もかかるため、すべての物件で使える手段ではありません。

共有物のルールが明確になった

民法では、共有物について行為の種類ごとに要件が定められています。

行為 要件
保存行為(修繕など) 各共有者が単独でできるとされている
管理行為(賃貸など) 持分の過半数で決めるとされている
変更行為(売却・解体など) 原則として全員の同意が必要とされている

売却や解体は変更行為にあたるとされ、全員の同意が求められます。共有者が多い物件では、ここが壁になります。

2023年4月|相続土地国庫帰属制度

相続または遺贈により取得した土地を、一定の要件のもとで国に引き渡せる制度です。

項目 内容
対象 相続・遺贈により取得した土地
審査手数料 1万4,000円/筆
負担金 原則20万円
実績 申請5,140件、帰属2,542件(2026年2月末時点)

建物がある土地は申請できない

空き家との関係で、最も重要な条件です。土地の上に建物がある場合、この制度は使えません

申請するには、申請者が自費で建物を解体し、更地にしておく必要があります

また境界が明らかでない土地も申請できないとされています。確認が必要な場合、測量の費用も発生します。

所有者が「国が引き取ってくれる」と期待している場合、この点を正確に伝えることが必要です

2023年12月|改正空家法

空家等対策の推進に関する特別措置法の改正です。複数の新しい仕組みが創設されました

新設・変更 内容
管理不全空家等 放置すれば特定空家等になるおそれのある状態を対象とする区分
空家等活用促進区域 区域内で接道規制・用途規制を合理化できる
空家等管理活用支援法人 管理・活用に取り組む法人を市区町村が指定できる
所有者等の責務の強化 国・地方公共団体の施策に協力する努力義務を追加

管理不全空家等でも勧告で特例が外れる

従来、住宅用地特例から除外されるのは特定空家等として勧告を受けた場合でした。改正により、管理不全空家等でも勧告を受ければ対象となります

段階 税への影響
助言・指導 住宅用地特例は継続
勧告 特例の対象から除外される

指導の段階で管理を改善すれば、税への影響は避けられます。所有者に伝えるべきなのは、この点です。

なお「税金が6倍になる」という説明は不正確です。負担調整措置により課税標準額の上限は評価額の70%とされており、固定資産税で最大約4.2倍という計算になります。

2024年4月|相続登記の義務化

不動産登記法の改正により、相続登記が義務化されました。

項目 内容
期限 取得を知った日から3年以内
過料 10万円以下
施行前の相続 対象。原則2027年3月31日まで

すぐに登記できない場合の暫定的な対応として、相続人申告登記という仕組みも設けられています。

「罰金」とは伝えない

過料の定めはありますが、登記官の催告を経る運用とされています。正当な理由があると認められる場合の取扱いも定められています。

「登記しないと罰金です」という説明は不正確です。制度として期限が定められたという事実を伝え、詳しくは法務局や司法書士への確認を案内してください。

制度が変わっても、現地は歩かなければ分かりません。

使用状況・状態・接道を記録し、地番の割り出しまで対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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2026年4月|住所等変更登記の義務化

所有者の氏名や住所が変わった場合の登記が義務化されました。

項目 内容
期限 変更日から2年以内
過料 5万円以下
施行前の変更 対象。2028年3月31日まで

実務への影響

登記簿の住所は、登記した時点のものです。転居しても変更登記をしなければ更新されません

このため、登記情報から取得した住所にDMを送っても一定割合が返送されます。義務化により、長期的には登記情報の鮮度が上がることが見込まれます

ただし猶予期間中は、古い住所が残っている前提で発送数を決めてください

税制の期限

あわせて、期限が設定されている特例があります。

特例 内容 適用期限
空き家の3,000万円特別控除 相続した空き家の売却時に譲渡所得から控除 2027年12月31日
低未利用土地等の100万円控除 一定の低未利用土地の譲渡時に長期譲渡所得から控除 2028年12月31日

3,000万円控除の要件

項目 内容
家屋の建築時期 昭和56年5月31日以前(区分所有建物は対象外)
譲渡の期限 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
必要書類 市区町村の被相続人居住用家屋等確認書

令和6年1月1日以後は、譲渡後に買主が除却工事や耐震改修を行った場合も対象となりました。また被相続人が老人ホーム等に入所していた場合についても、一定の要件を満たせば対象となる取扱いが設けられています。

要件は複数あり、個別の状況によって判断が分かれます。適用の可否については、税理士や市区町村の窓口への確認をご案内ください。

制度改正が実務に与えた影響

変化 実務への影響
相続登記の義務化 名義が整理される方向。所有者を追いやすくなる
住所等変更登記の義務化 登記情報の鮮度が上がる。返送が減る見込み
管理不全空家等の新設 措置の対象が広がった
活用促進区域 接道・用途の規制が合理化される地域が生じる
国庫帰属制度 解体後の選択肢が増えた

いずれも所有者にとっては、判断を先送りしにくくなる方向の変化です

ただし猶予期間中である

相続登記は2027年3月31日、住所等変更登記は2028年3月31日まで猶予期間があります。

当面は、名義が古いまま残っている物件が相当数あると考えてください。制度が変わっても、実務がすぐに変わるわけではありません。

目的によって、関わる制度が変わる

立場 とくに関わる制度
不動産会社 相続登記の義務化、3,000万円控除、低未利用土地の控除
解体会社 改正空家法、国庫帰属制度、解体の補助制度
士業 民法改正、相続登記の義務化、国庫帰属制度
空き家管理会社 改正空家法(管理不全空家等)
建設・改修会社 活用促進区域(接道・用途の規制)
自治体 改正空家法のすべて

自治体は複数の対応が必要になった

改正空家法により、市区町村には新しい選択肢が加わりました。管理不全空家等への措置、活用促進区域の指定、支援法人の指定

ただしどの措置も、対象物件がどこにあるかを把握していることが前提になります。空家等対策計画には「空家等の調査に関する事項」が法定の記載事項として含まれます。

所有者への説明は正確に

制度が複雑になったぶん、誤った説明が広がりやすくなっています

避けたい説明 実際
「税金が6倍になります」 勧告時に限られ、最大約4.2倍
「登記しないと罰金です」 過料は催告を経る運用とされている
「国が引き取ってくれます」 建物がある土地は申請できない
「補助金が使えます」 制度の有無も要件も自治体による

制度としてこういう仕組みがあるという事実を伝え、確認先を案内する。この形が適切です。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。ただし戸籍をたどる相続人調査には対応していません。職務上請求が必要な領域のため、司法書士等の専門家へのご依頼となります。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、公道から確認できる範囲で状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

制度を扱うときの注意点

よくあるつまずき

  • 猶予期間を見落とす/相続登記は2027年3月、住所等変更登記は2028年3月までです
  • 制度の適用を断定する/判断は行政や専門家が行います
  • 「税金が6倍」と伝える/勧告時に限られ、最大約4.2倍です
  • 期限を強調して急かす/相手は身構えます
  • 制度が変われば実務も変わると考える/当面は古い名義が残っています

よくあるご質問

相続登記の義務化で、所有者は追いやすくなりますか?

長期的にはそう見込まれます。ただし猶予期間が原則2027年3月31日まであるため、当面は名義が故人のままの物件が相当数あると考えてください。

登記簿の住所が古いままの物件はどうすればよいですか?

返送された場合、「その住所にはいない」という情報として記録に残してください。追える物件が他にあるなら、そちらを優先するほうが結果につながります。

空家等活用促進区域は全国で指定されていますか?

指定するかどうかは自治体の判断です。指定していない自治体も多くあります。営業エリアの状況については、所管する市区町村の窓口にご確認ください。

制度の説明資料を作ってもらえますか?

対応していません。弊社が提供するのは現地調査と、それにもとづくリストの作成です。DMの原稿もご用意いただいたものを使用する形が基本となります。

制度が変わっても調査は必要ですか?

必要です。制度が変わっても、どの建物が空き家かは統計にも登記にも記載されません。使用状況と建物の状態は、現地を歩いて確認するしかない情報です。

まとめ

2023年から2026年にかけて、空き家に関わる制度が相次いで変わりました。

2023年4月に民法改正と相続土地国庫帰属制度、2023年12月に改正空家法、2024年4月に相続登記の義務化、2026年4月に住所等変更登記の義務化。

そして猶予期間があります。相続登記は2027年3月31日、住所等変更登記は2028年3月31日まで。税制の特例も、3,000万円控除は2027年12月31日、低未利用土地の100万円控除は2028年12月31日が期限です。

いずれも所有者にとっては判断を先送りしにくくなる方向の変化です。一方で、制度が複雑になったぶん誤った説明も広がりやすくなっています。

制度としてこういう仕組みがあるという事実を伝え、確認先を案内する。この形が最も信頼されます。そして制度が変わっても、どの建物が空き家かは現地を歩かなければ分かりません。

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