空き家のリストは購入できるのか|既製データと現地調査の違い

空き家のリストは購入できるのか|既製データと現地調査の違い

「空き家のリストは買えますか」。よくいただく質問です。

結論から書くと、全国の空き家を網羅した名簿のようなものは存在しません。統計は市区町村単位の推計値であり、個別の物件を示すものではないためです。

ただし「空き家に関するデータ」と呼ばれるものはいくつかあります。それぞれ性質が違い、何が確認されているかも異なります。この記事では、その違いを整理します。

この記事の結論

  • 全国の空き家を網羅した名簿は存在しない
  • 統計は市区町村単位の推計値。個別の物件は示さない
  • 空き家バンクは所有者が申し込んだもののみ
  • 判断の軸はいつ・どうやって・誰が確認したか
  • 現地調査は使用状況を確認した一次データ

公開されているもの

まず、誰でも見られるものを整理します。

情報源 分かること 限界
住宅・土地統計調査 市区町村単位の空き家数と内訳 個別の物件は示されない
国勢調査(小地域集計) 町丁字別の世帯数 空き家そのものは対象外
空き家バンク 登録された物件の所在と条件 所有者が申し込んだもののみ
登記情報 所有者、権利関係 空き家かどうかは分からない

いずれも「どの建物が空き家か」を教えてくれません

統計は推計値である

住宅・土地統計調査は全数調査ではありません。抽出された約340万の住戸・世帯を調べて全体を推計しています

そして表章されるのは市区および人口1万5千人以上の町村まで。町丁目単位の空き家数は公表されていません。

統計から個別の物件にたどり着くことはできません

バンクに載るのはごく一部

全国版空き家・空き地バンクの掲載件数は、アットホーム版で1万1,117件。参画自治体は888です。

一方、放置型の空き家は385万6,000戸。桁が3つ違います

バンクは所有者の申し込みを待つ仕組みです。動いていない所有者の物件は、永久に載りません。

自治体の調査結果も原則として非公開

多くの自治体が空き家の実態調査を実施しています。ただしその結果が公開されるとは限りません

公表されるのは、地区別の件数や状態別の内訳といった集計値が中心です。個別の物件の所在や所有者は、通常公表されません

なお国土交通省は2023年12月に「空き家所有者情報の外部提供等に関するガイドライン」を公表しており、空き家所有者情報を民間事業者等に提供している市町村は320とされています。

ただし提供には所有者の同意など一定の手続きが必要です。すべての自治体で受けられるものではありません。

データの性質を見分ける

「空き家のデータ」と呼ばれるものを判断するとき、次の3点を確認してください

確認すること なぜ重要か
いつ確認されたものか 取り壊しや売却で状況は変わる
どうやって確認されたものか 現地を見たのか、データの整理だけか
何が確認されているか 使用状況か、所有者か、建物の状態か

①いつ確認されたか

空き家の状況は変わります。取り壊された、売却された、所有者が変わった

総住宅数が減少している地域では、取り壊しが進んでいます。高知県は5年間で総住宅数が1.0%減、長崎県も0.7%減。古い情報には、現存しない物件が混ざります

また住宅・土地統計調査の基準日は2023年10月1日です。それ以降の変化は反映されていません。

②どうやって確認されたか

データの作られ方によって、分かることが変わります。

作り方 分かること
現地を歩いて確認 使用状況、建物の状態、接道、現存の有無
統計や地図の整理 統計や地図から分かる範囲
航空写真の判読 建物の存在、上から見える範囲

「何をもって空き家と判定したか」を確認すれば、作り方は分かります

統計や地図データだけでは、どの建物に人が住んでいるかは分かりません。上から見ても判断できず、登記情報にも記載されないためです。

③何が確認されているか

項目 確認できる手段
使用状況(人が住んでいるか) 現地調査
建物の外観の状態 現地調査
接道のおおよその状況 現地調査
所有者の氏名・住所 登記情報
権利関係 登記情報

使用状況と所有者は、別の手段で確認するものです。両方が揃って初めて、接触できるリストになります。

現地で確認したデータを、範囲を指定してお作りします。

使用状況・状態・接道まで記録し、地番の割り出しにも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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既製のデータと調査で作るデータ

すでに存在するデータを使う場合と、調査で作る場合を比べます。

観点 既製のデータ 調査で作るデータ
入手までの時間 短い 調査期間が必要
範囲の指定 用意されている単位による 町丁目単位で指定できる
条件の指定 用意されている項目による 目的に合わせて設定できる
鮮度 作成時点による 調査時点
他社との重複 同じものを見ている可能性がある 自社の発注によるもの

どちらが優れているという話ではありません。目的と、必要な情報によって選ぶものです。

他社と重ならないか

仕入れの現場では、同じ物件に複数の会社が接触していることがあります。

原因は単純で、同じ公開情報を見ているためです。統計、バンク、地図サービス。誰でも見られる情報からは、誰でも同じ候補にたどり着きます。

統計は市区町村単位までなので、最終的に差がつくのは町丁目まで下げた粒度です

ただしどの会社がどこを調査したかは分かりません。重ならないことを保証できるものではありません。

目的によって、必要なデータが変わる

立場 必要な情報 確認手段
不動産会社(仕入れ) 使用状況、状態、所有者 現地調査+登記情報
リフォーム・外壁塗装会社 居住中の築古住宅、外壁の状態 現地調査(所有者情報は不要な場合も)
解体会社 状態、接道 現地調査+登記情報
用地を探す事業者 空き地、駐車場、倉庫工場 現地調査(統計に存在しない)
自治体 網羅的な実態 現地調査+庁内情報

統計にない対象がある

空き地には世帯の所有状況しか分からず、駐車場と倉庫・工場には全国調査そのものがありません

用地として使える4類型のうち、統計で把握できるのは空き家だけです。残り3つは、既製のデータを探しても存在しません。

リフォームは所有者情報が不要な場合がある

リフォームや外壁塗装の提案先は、人が住んでいる築古住宅です。居住者に届けばよいため、ポスティングや訪問で接触できます。

氏名を取得する必要がないぶん、扱う個人情報も減ります。住所・地番までの情報で運用できます。

取得後の取扱い

どういう形で入手したデータであれ、氏名と住所が含まれていれば個人情報です

決めておくこと 内容
利用目的 特定して、通知または公表する
管理方法 保管場所、アクセス権限、持ち出しの扱い
共有範囲 社内の誰が見られるか、社外に出すことがあるか
保管期間 いつまで持つか、不要になったらどうするか

「公開情報から作ったものだから自由」とはなりません。事業として取り扱う以上、法令上の対応が求められます。

具体的な判断については、個人情報保護委員会や専門家への確認をご案内ください

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ確認・記録します。使用状況、建物の状態、接道の状況を記録項目に含められます。

地番の割り出しまで行うため、そのまま登記情報の取得に進めます。所有者事項の取得は1件750円(税別)です。

所有者の氏名が不要であれば、住所・地番までの納品にとどめることもできます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、公道から確認できる範囲で状態を確認・記録します。統計や地図では埋まらない部分を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

データを選ぶときの注意点

よくあるつまずき

  • 全国の空き家名簿があると考える/統計は市区町村単位の推計値です
  • いつ確認されたものか見ない/取り壊しや売却で状況は変わります
  • どうやって確認されたものか見ない/統計や地図の整理だけでは使用状況は分かりません
  • バンクだけを情報源にする/所有者が申し込んだ物件のみです
  • 「公開情報だから自由」と考える/取得後の取扱いには法令上の求めがあります

よくあるご質問

空き家のリストは購入できますか?

全国の空き家を網羅した名簿のようなものは存在しません。統計は市区町村単位の推計値で、個別の物件は示されないためです。弊社では、ご指定の範囲を現地調査してリストを作成する形でご提供しています。

自治体の実態調査の結果は入手できますか?

公表されるのは集計値が中心で、個別の物件の所在や所有者は通常公表されません。所有者情報を民間事業者等に提供している市町村もありますが、所有者の同意など一定の手続きが必要です。所管の窓口にご確認ください。

統計から物件を特定できますか?

できません。住宅・土地統計調査は標本調査による推計値で、表章されるのは市区および人口1万5千人以上の町村までです。町丁目単位の空き家数も公表されていません。

データの鮮度はどう確認すればよいですか?

いつ確認されたものかを確認してください。取り壊しや売却で状況は変わります。弊社の調査は、ご発注後に現地を歩いて確認する形のため、納品時点の状況が反映されます。

他社と重ならないリストになりますか?

保証はできません。どの会社がどこを調査したかは分からないためです。ただし統計は市区町村単位までなので、町丁目まで下げた粒度で調査すれば、公開情報だけを見ている場合との差は生じます。

まとめ

全国の空き家を網羅した名簿は存在しません。統計は市区町村単位の推計値であり、個別の物件を示すものではないためです。

空き家バンクは所有者の申し込みを待つ仕組みで、掲載件数は1万1,117件(アットホーム版)。放置型385万6,000戸と比べると桁が3つ違います。自治体の実態調査も、個別の物件は通常公表されません。

「空き家のデータ」を判断するときは、いつ・どうやって・何が確認されたものかを見てください。

とくに「どうやって」が重要です。統計や地図データだけでは、どの建物に人が住んでいるかは分かりません。上から見ても判断できず、登記情報にも記載されないためです。

そして使用状況と所有者は、別の手段で確認するものです。両方が揃って初めて、接触できるリストになります。

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