航空写真や衛星画像で空き家判定はできるか|3つの限界と使い道

航空写真や衛星画像で空き家判定はできるか|3つの限界と使い道

航空写真や衛星画像を見れば、建物の位置も屋根の状態も分かります。地図サービスを使えば、道路から見た外観まで確認できます。ここまで揃っていれば、現地に行かなくても空き家は分かるのではないか。そう考えるのは自然なことです。

実際、これらの画像は調査の下準備として有効です。どこに住宅が集まっているか、造成の年代がそろっているか、屋根が傷んでいそうか。候補を絞り込むところまでは、画像でできます

ただし判定はできません。理由は3つあります。撮影時点の情報であること、上から見ても住んでいるかは分からないこと、そして地上に近づかないと得られない情報があることです。この記事では、画像で何ができて何ができないのかを整理します。

この記事の結論

  • 画像は候補の絞り込みに使える。範囲設計の前段として有効
  • ただし撮影時点の情報。更新頻度は地域によって大きく違う
  • 建物が建っていることは分かるが、住んでいるかは分からない
  • 郵便受け・接道・敷地の細部は地上に近づかないと見えない
  • 推定と確認は別の作業。DMを送る前には確認が必要

画像でできること

否定から入る記事ではありません。まず、画像が有効な場面を整理します。

できること 使いどころ
住宅の集まり方を把握する 調査範囲を町丁目単位で切る
造成年代のそろった地区を見つける 築古住宅が集まる範囲を選ぶ
建物の建て方を見分ける 戸建てが中心の地区か、共同住宅が多い地区か
屋根の状態を大まかに見る 劣化が進んでいそうな地区の見当をつける
道路の走り方を確認する 調査ルートの設計、幅員の目安
山林や農地を除外する 住宅がない範囲を範囲から外す

調査費用は面積に対する従量制です。画像で山林や農地を除外し、住宅が集まる範囲だけを指定できれば、そのぶん費用は下がります。

つまり画像は、現地調査の代わりではなく、現地調査を安くするための道具として使えます。

できないこと①撮影時点の情報である

画像はすべて、撮影された時点の記録です。更新頻度は地域によって大きく違います

都市部では比較的頻繁に更新されますが、地方や中山間地区では数年前の画像がそのまま使われていることがあります。地図サービスの道路からの画像も同様です。

取り壊しは画像に反映されない

総住宅数が減少している地域では、取り壊しが新築の供給を上回って進んでいます。高知県は5年間で総住宅数が1.0%減、長崎県も0.7%減となっています。

撮影時点で建っていた住宅が、いま現存しているとは限りません。逆に、撮影後に空き家になった住宅は画像からは判断できません。

撮影後に起きうること 画像への反映
取り壊されて更地になった されない
売却されて入居があった されない
住人が転居して空き家になった されない
建替えが行われた されない

できないこと②上から見ても住んでいるかは分からない

航空写真で分かるのは、建物が「建っている」ことです。屋根の形、敷地の広さ、隣家との距離。これらは把握できます。

しかし人が住んでいるかどうかは、上から見ても判断できません。屋根が傷んでいても住んでいる家はありますし、屋根が無事でも空き家の家はあります。

判断材料は地上にある

現地で使用状況を判断する材料は、次のようなものです。

見る場所 分かること 上から見えるか
郵便受け 投函物の滞留、テープでの封鎖 見えない
窓・カーテン カーテンの有無、雨戸の閉鎖 見えない
玄関まわり 表札、傘、履物、蜘蛛の巣 見えない
庭木・雑草 手入れの状況 ある程度は見える
駐車場所 車両の有無、使われ方 撮影時点のみ
電気・ガスメーター 設置状況、撤去の有無 見えない

判断材料の多くは、地上から近づかなければ見えません。複数の材料から総合的に判断するのが現地調査の方法です。

誤判定のコストは1通分では済まない

画像だけで「空き家らしい」と判定して、実際には居住中だったとします。そこに空き家についてのDMが届けば、受け取った側は不快に感じます

失われるのは1通分の費用だけではありません。地域での評判に関わりますし、その世帯が将来の顧客になる可能性も消えます。

推定と確認は別の作業です。画像で候補を絞ることと、送る相手を確定することは、工程として分けてください。

できないこと③接道と細部は見えない

上空からの画像では、道路の幅を正確に測ることはできません。俯瞰では実際の幅員が分かりにくく、電柱や擁壁、階段の有無といった条件も判断できません。

この点は、実際のデータでも裏づけられています。京都市の資料は「接道している道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にある」と明記しています。神戸市でも、放置型の36%が幅員4メートル未満の道路にしか接していません。

接道は売却の可否や価格に直結する条件です。建替えができるか、車が入れるか、玄関まで階段が何段あるか。これらは現地で確認するしかありません。

建物の裏側も見えない

道路からの画像サービスは、撮影車両が通った道から見える面だけを記録しています。建物の裏側、隣家との間、奥まった位置にある物件は写りません

外壁の劣化が裏側で進んでいるケースもあります。記録として使うなら、この制約は押さえておく必要があります。

AIによる判定はどこまで進んだか

画像認識の技術を使い、建物の劣化や利用状況を推定する試みが進んでいます。ただし判定の材料になるのは、あくまで画像に写っている情報です。

制約 内容
元データの制約を引き継ぐ 画像が古ければ、判定結果も古い
写っていないものは判定できない 郵便受けの中身、建物の裏側
季節の影響を受ける 積雪期は屋根も敷地も雪に覆われる
推定である 確認の工程は別に必要になる

技術が候補の絞り込みを効率化しても、最後の確認工程がなくなるわけではありません

積雪の影響は画像でも現地でも同じ

雪に覆われると、屋根の状態、敷地の様子、建物の傷み具合といった情報が一斉に得られなくなります。これは画像判定でも現地調査でも変わりません

弊社では、積雪のある地域について初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。調査の時期そのものが結果の精度を左右します

画像と現地調査をどう組み合わせるか

段階 使う手段 やること
1. エリアの選定 統計データ 放置型の多い市区町村を選ぶ
2. 範囲の絞り込み 航空写真・地図 住宅が集まる町丁目を特定し、山林等を外す
3. 対象の確定 現地調査 使用状況、建物の状態、接道を記録する
4. 所有者の特定 登記情報 地番から所有者事項を取得する

2の工程を丁寧にやるほど、3の費用は下がります。逆に3を省くと、リストの精度が落ちたまま接触することになります。

目的によって、必要な確認は変わる

立場 画像で足りること 現地が必要なこと
不動産会社 住宅地の分布、敷地の広さの目安 使用状況、建物の状態、接道、現存の有無
リフォーム・外壁塗装会社 造成年代のそろった地区の特定 居住しているか、外壁の劣化
自治体 調査範囲の設計 腐朽・破損の程度、敷地の管理状況、周辺への影響

自治体の場合、管理不全空家等の判断には建物・敷地・周辺への影響の3系統の記録が必要です。上空からの画像では、このうち敷地の一部しか把握できません。

画像で絞った範囲を、現地で確定します。

使用状況・建物の状態・接道まで、外観から確認できる範囲で記録します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。航空写真や地図で住宅の集まる範囲を絞り込んでおけば、そのぶん費用は抑えられます。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。上空からの画像では把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

画像を使うときの注意点

よくあるつまずき

  • 撮影時期を確認しない/更新頻度は地域で大きく違います。数年前の画像のこともあります
  • 屋根の状態だけで空き家と判定する/傷んでいても住んでいる家、無事でも空き家の家があります
  • 画像だけでDMを送る/居住中の住宅に届けば、受け取った側は不快に感じます
  • 接道の幅を画像で判断する/俯瞰では正確に測れません。売却の可否に直結する条件です
  • 裏側も写っていると考える/道路から見える面だけが記録されています

よくあるご質問

航空写真だけで調査を済ませることはできますか?

候補の絞り込みまでは可能ですが、判定はできません。使用状況、接道の状況、現存の有無は上空からでは分からないためです。範囲を絞る前段として使い、対象の確定は現地で行う形をおすすめしています。

画像で範囲を絞ってから依頼したほうが安くなりますか?

そのとおりです。費用は面積に対する従量制のため、山林や農地を外して住宅が集まる範囲だけを指定すれば費用は下がります。絞り込み方のご相談も承っています。

接道の状況も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、前面道路の状況を記録項目に組み込めます。画像では判断できない条件のため、現地調査の価値が出やすい部分です。

建物が現存しているかも確認できますか?

できます。現地を歩いて確認するため、建物が残っているかどうかを含めて記録します。取り壊し後の区画を把握したい場合は「空き地(更地)」を調査項目に追加していただくと地図上で区別できます。

積雪期でも調査できますか?

実施自体は可能ですが、積雪により外観から判断できる情報が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。これは画像判定でも同じ制約です。

まとめ

航空写真や衛星画像は、調査の下準備として有効です。住宅の集まり方を把握し、造成年代のそろった地区を見つけ、山林や農地を範囲から外す。ここまでは画像でできます。費用が面積に対する従量制である以上、この絞り込みは金額に直接効きます。

ただし判定はできません。撮影時点の情報であること、上から見ても住んでいるかは分からないこと、接道や細部は地上に近づかないと見えないこと。この3つの制約は、技術が進んでも残ります。

とくに接道は、京都市や神戸市の資料でも空き家との関連が示されている条件です。売却の可否や価格に直結しますが、俯瞰では測れません。

推定と確認は別の作業です。画像で候補を絞り、現地で対象を確定する。この順序であれば、それぞれの強みが活きます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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