空き家の改修・活用に使える補助制度|解体だけではない支援

空き家の改修・活用に使える補助制度|解体だけではない支援

空き家の補助制度というと、解体費用の補助を思い浮かべる方が多いと思います。実際、多くの自治体が老朽危険家屋の除却に補助を出しています。

ただ、制度はそれだけではありません。改修して使う、活用する方向の支援も整備されています。国の事業を財源として、自治体が独自の制度を設けている例も少なくありません。

問題は、制度の有無も内容も自治体によって違うことです。この記事では、どういう類型があるのか、所有者に伝えるときに何に注意すべきかを整理します。

この記事の結論

  • 補助は解体だけではない。改修・活用の支援も整備されている
  • 制度の有無も要件も自治体によって違う。隣の市にあっても自分の市にあるとは限らない
  • ほとんどの制度で工事着手前の申請が必要
  • 年度ごとの予算枠がある。予算に達すれば期限内でも終了する
  • 状態が良い空き家ほど、改修・活用の対象になりやすい

補助制度は4つの類型に分かれる

空き家に関する補助を、目的で整理すると次のようになります。

類型 目的 主な対象
除却(解体)の補助 危険な建物をなくす 老朽化が進んだ空き家
改修の補助 使える状態にして流通させる まだ活用できる空き家
活用の補助 地域の拠点等として使う 用途変更を伴う物件
取得・移住の補助 移住定住を促す 空き家バンク登録物件など

解体の補助しか知られていないことが多いのですが、改修や活用の支援も存在します。物件の状態によって、どちらの方向が現実的かは変わります。

国の事業が自治体制度の財源になっている

国土交通省の空き家対策総合支援事業では、危険な空き家の除却や活用に取り組む自治体を財政的に支援しています。所有者から見れば、この制度を導入している自治体に申請する形になります。

そのため、同じ国の事業が財源でも、自治体ごとに補助率も上限額も要件も違います。制度そのものを設けていない自治体もあります。

このほか、既存住宅の性能向上リフォームを支援する長期優良住宅化リフォーム推進事業など、空き家に限定しない制度が使える場合もあります。

補助率と上限額は両方を見る

補助制度には、補助率と上限額の両方が設定されているのが一般的です。どちらか低いほうが適用されます。

たとえば「工事費の1/2・上限50万円」という制度で120万円の工事を行った場合、補助率では60万円ですが、上限が50万円なので実際は50万円です。

補助率だけを見て金額を伝えると、実際の額と食い違います。所有者に説明する際は、両方の条件を確認してください。

共通する注意点

制度の内容は自治体によって違いますが、手続きの前提には共通する部分があります

①工事着手前の申請が原則

ほとんどの制度で、工事に着手する前の申請が求められます。工事を始めてから、あるいは終わってから申請しても対象外になります。

提案の際に見落とされやすい点です。工事の話を進めてから制度に気づいても、間に合いません

②年度ごとの予算枠がある

多くの制度は年度単位で予算が組まれています。申請期限内でも、予算に達した時点で受付が終了することがあります

また、翌年度も同じ制度が実施されるとは限りません。実施されても、補助内容や要件が変更されることがあります。

③要件が細かく設定されている

要件の例 内容
建物の条件 建築時期、構造、空き家である期間など
申請者の条件 所有者本人、市内在住、所得制限など
施工業者の条件 市内の登録業者による施工を求める例もある
活用の条件 一定期間の居住や賃貸を義務づける例もある

とくに施工業者の条件は、事業者側にも関わります。市内の登録業者に限定されている制度では、登録していなければ工事を受注できません。

所有者に伝えるときの注意

制度の話は、正確でなければ意味がありません。

避けたいこと 理由
「補助金が出ます」と断定する 制度の有無も要件も自治体によって違う
金額を先に示す 補助率と上限額の両方で決まる
他の自治体の事例をそのまま伝える 隣の市にあっても自分の市にあるとは限らない
申請の手順を説明しない 着手前の申請を逃すと対象外になる
予算枠に触れない 期限内でも終了することがある

伝えるべきは、そういう制度がある場合があるという事実と、市区町村の窓口で確認してほしいという案内です。この形であれば、詳しい所有者にも信頼されます。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市区町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

状態によって、使える方向が変わる

解体か改修か。この判断には、建物の状態を確認する工程が必要です

建物の状態 現実的な方向 関わる補助の類型
そのまま使える 売却、賃貸、空き家バンクへの登録 取得・移住の補助
改修すれば使える 改修して流通させる、用途を変えて活用 改修・活用の補助
使うのが難しい 解体して土地として扱う 除却の補助

状態が良い空き家ほど、改修・活用の方向が現実的になります。ところが実務では、傷みが激しい物件ばかりに目が向きがちです。

状態が良い空き家は見落とされやすい

神戸市の資料では、区によって腐朽・破損の割合が大きく異なることが示されています。長田区23.4%、北区20.0%に対し、兵庫区4.3%、西区2.9%。

兵庫区は空き家が5年間で80.3%増えましたが、傷んでいるのは4.3%だけです。新しく空き家になった住宅が多く、状態はまだ良い。こうした地区は、改修・活用の提案先として有望です。

「空き家=傷んでいる」という前提でエリアを選ぶと、この層を取りこぼします

状態別に分類したリストをお出しします。

改修して使える物件と、解体前提の物件を分けて扱えます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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目的によって、関わり方が変わる

立場 制度との関わり 押さえておくこと
不動産会社 所有者に選択肢を示す材料 解体・改修・活用の3方向を提示できるか
リフォーム・改修会社 改修補助を含めた提案 着手前申請と、施工業者の登録要件
解体会社 除却補助を含めた提案 着手前申請と、老朽度の判定要件
自治体 制度の設計と周知 対象物件の把握がなければ制度は使われない

自治体は対象物件の把握が前提

補助制度を設けていても、対象となる空き家がどこにあるかを把握していなければ、制度は使われません

とくに改修・活用の補助では、状態が良い空き家を見つけておく必要があります。老朽危険家屋の把握だけでは、この層は拾えません。

実態調査で状態別に分類しておけば、除却の対象と、活用の候補を同時に抽出できます。空き家バンクへの登録を働きかける候補としても使えます。

改修会社は登録要件を確認する

市内の登録業者による施工を条件とする制度があります。登録していなければ、補助を使う工事は受注できません

営業エリアに複数の自治体が含まれる場合、それぞれで要件を確認しておく必要があります。

調査でできること・できないこと

できること できないこと
外観から見た劣化の程度の記録 建物内部の状態
状態別の分類 正確な築年数の特定
敷地の管理状況の記録 改修費の見積り
接道の状況の記録 補助の対象になるかの判断

補助の対象になるかどうかは、自治体が判断します。調査で提供できるのは、その判断の材料になる記録までです。

ただし状態が分かっていれば、どの方向で提案するかを事前に決められます。改修を提案すべき物件と、解体を前提に話をする物件を、訪問前に分けられるということです。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査では、建物の状態を記録項目に含めることができます。屋根や外壁の劣化、破損の程度といった項目に分けることも、段階に分けて分類することも可能です。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(改修提案/解体提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。劣化の程度を段階に分けた記録にも対応します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

制度を扱うときの注意点

よくあるつまずき

  • 解体の補助しかないと考える/改修・活用・移住の支援も整備されています
  • 「補助金が使えます」と断定する/制度の有無も要件も自治体によって違います
  • 補助率だけで金額を伝える/上限額との低いほうが適用されます
  • 着手前申請に触れない/工事を始めてから申請しても対象外になります
  • 傷んだ物件ばかり狙う/状態が良い空き家ほど改修・活用の対象になります

よくあるご質問

改修の補助はどこに確認すればよいですか?

物件が所在する市区町村の窓口です。制度の有無、補助率、上限額、要件はいずれも自治体ごとに定められており、年度によって変わることもあります。

状態が良い空き家だけを抽出できますか?

できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。改修して使える物件と、解体前提の物件を分けて扱えるようになります。

補助の対象になるかどうか、調査で分かりますか?

分かりません。対象になるかどうかは自治体が判断します。調査でご提供できるのは、外観から確認できる範囲の記録までとなります。その記録を判断の材料としてご活用ください。

建物の内部も確認してもらえますか?

できません。所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできないため、公道から確認できる範囲での調査となります。内部の状態は、接触して内見の許可を得る工程が必要です。

自治体でも利用できますか?

ご利用いただいています。除却の対象と活用の候補を同時に抽出したい場合、状態別の分類が有効です。町丁目単位で調査し、地図上に可視化する形での納品に対応しています。

まとめ

空き家の補助制度は、解体だけではありません。改修、活用、取得・移住の方向にも支援があります。国の事業を財源として、自治体が独自の制度を設けている例が多くあります。

ただし制度の有無も要件も自治体によって違います。隣の市にあっても、自分の市にあるとは限りません。金額を伝えるときは、補助率と上限額の両方を確認してください。低いほうが適用されます。

そしてほとんどの制度で工事着手前の申請が必要です。年度ごとの予算枠があり、期限内でも予算に達すれば終了します。工事の話を進めてから気づいても間に合いません。

最後に、状態が良い空き家ほど改修・活用の対象になります。傷んだ物件ばかりに目を向けると、この層を取りこぼします。状態を記録しておけば、どの方向で提案するかを訪問前に決められます。

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