空き家調査の発注でよくある5つの失敗|事前に決めておくこと

空き家調査の発注でよくある5つの失敗|事前に決めておくこと

空き家調査は、発注してから納品までに一定の期間がかかります。受け取ってから「思っていたものと違う」と気づいても、やり直すには費用も時間もかかります

そして失敗のほとんどは、調査そのものではなく発注の設計で起きます。何を、どこで、どの粒度で調べるか。ここが決まっていないまま発注すると、使えないリストになります。

この記事では、実際によくある5つのパターンを整理します。発注前のチェックリストとしてお使いください

この記事の結論

  • 目的を決めずに発注する/対象そのものが違ってしまう
  • 市単位で範囲を切る/費用が膨らみ、性格の違う地域が混ざる
  • 状態を記録項目に入れない/受け取った後に優先順位がつけられない
  • 処理能力を超える規模で発注する/使い切る前に情報が古くなる
  • 判定基準を決めない/次回と比較できず、記録が積み上がらない

①目的を決めずに発注する

最も影響が大きい失敗です。目的が違えば、調べる対象そのものが変わります

目的 対象
仕入れ・買取 人が住んでいない戸建て
施工の提案 人が住んでいる築古の戸建て
一棟買取・管理受託 共同住宅(棟単位)
用地の確保 空き地、駐車場、倉庫・工場

リフォームや外壁塗装の提案先は、空き家ではありません。人が住んでいる築古住宅です。ところが「空き家調査」という言葉に引きずられて、空き家を調べてしまう例があります。

納品されたリストには、誰も住んでいない住宅が並びます。施工の提案先としては使えません

どう防ぐか

発注前に、「このリストを受け取った人が、翌日何をするか」を言葉にしてください。

  • 所有者にDMを送る → 空き家、所有者情報が必要
  • ポスティングする → 居住中の住宅、住所があれば足りる
  • 飛び込みで訪問する → 居住中の住宅
  • 地図を見ながら現地を回る → 地図形式での納品が必要

次の行動が決まっていれば、対象も納品形式も決まります

②市単位で範囲を切る

「A市で調査を」という指定は、一見具体的に見えます。しかし市の面積は自治体によって大きく違います

比較対象 面積
高山市(岐阜県) 約2,178㎢
香川県(全体) 約1,877㎢

1つの市が1つの県より広いという状況があります。費用は面積に対する従量制なので、山林を含む面積がそのまま金額に乗ります。

性格の違う地域が混ざる

もうひとつの問題は、同じ市内でも地域によって中身がまったく違うことです。

区による差
広島市 中区は空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅、安佐北区は48.2%が放置型の戸建て
大阪市 一戸建の割合が生野区45.0%、浪速区3.7%
神戸市 空き家率が兵庫区24.7%、東灘区10.6%

市全域でまとめて発注すると、性格の違う地域が混ざったリストになります

決めるのは「どこを含めないか」

範囲の設計というと、対象地区を選ぶ作業だと思われがちです。実際には逆で、除外する作業のほうが費用に効きます

  • 住宅がない範囲/山林、農地、河川敷
  • 目的に合わない範囲/戸建てを探すなら共同住宅が集積する地区
  • 別荘地/二次的住宅が多い地域では管理された別荘を拾います

町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。市の名前ではなく、住宅が集まっている範囲を指定してください

③状態を記録項目に入れない

「空き家か否か」の2区分だけで発注すると、受け取った後に優先順位がつけられません

300件のリストがあっても、どれから当たるべきかが分からない。結局、一件ずつ見に行くことになります。それでは調査を外注した意味が薄れます

記録の粒度 できること
空き家か否かの2区分 件数の集計、分布の把握
状態を段階に分けた記録 優先順位づけ、提案内容の判断

状態が分かれば扱いを分けられる

そのまま流通に乗せられる物件と、解体を前提に話をする物件では、提案の内容がまったく違います。

訪問前にこの判断ができるかどうかで、動ける件数が変わります

ただし段階を細かくしすぎないでください。その後の対応が3通りなら、記録も3段階で十分です。分けすぎると調査員の判断がぶれ、運用でもまとめ直すことになります。

④処理能力を超える規模で発注する

件数は多いほどよい、と考えて広い範囲を発注する。これも失敗の典型です。

1,000件のリストを作っても、月に20件しか処理できなければ一巡に4年かかります。最後の1件に当たる頃には、最初に調べた情報は使えなくなっています。

週あたりの処理件数 100件を一巡する期間
5件 20週間
10件 10週間
20件 5週間

週20件で3か月かけて一巡させるなら、およそ240件が目安です。それに見合う範囲を設定すれば、リストが古くならないうちに使い切れます。

リストは納品時が最も価値が高い

時間が経てば、取り壊された物件、売却された物件、状況が変わった物件が出てきます。総住宅数が減少している地域では、取り壊しが進んでいます。高知県は5年間で総住宅数が1.0%減、長崎県も0.7%減です。

使い切れる規模を選ぶ。これが最も基本的な設計です

⑤判定基準を決めない

何をもって空き家とするか。この基準を決めずに発注すると、2つの問題が起きます

調査員によって判断がぶれる

郵便受け、カーテン、庭木、駐車場所。どの材料をどう見るかを定めておかなければ、記録がばらつきます

とくに複数人で調査する場合、基準の共有がなければ揃いません。

次回と比較できない

調査を継続するなら、こちらのほうが影響は大きくなります。

基準が変われば、件数が増減しても実態が変わったのか基準が変わったのか区別できません。1回目は郵便受けを重視し、2回目はカーテンを重視したとすれば、比較そのものが成立しなくなります。

基準は文書として残してください。担当者が変わっても、委託先が変わっても再現できる形にしておくことが望ましい形です。

迷った物件の受け皿も決める

どれだけ材料を揃えても、判断がつかない物件は必ず出ます。「空き家か否か」の2区分しか用意しないと、迷った物件がどちらかに押し込まれます

保留や要確認として別に記録できるようにしておけば、あとから扱いを決められます。

設計の段階からご相談いただけます。

目的・範囲・記録項目・規模・判定基準。5つとも一緒に決められます。
まずは目的とエリアをお聞かせください。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

まとめて確認する

発注前に、次の5つを確認してください。

確認すること 決まっていないと
このリストを誰が、翌日何に使うか 対象そのものが違ってしまう
町丁目まで範囲を指定できているか 費用が膨らみ、中身が混ざる
状態をどの粒度で記録するか 優先順位がつけられない
週に何件処理できるか 使い切る前に古くなる
何をもって空き家とするか 記録がばらつき、比較もできない

この5つが決まっていれば、見積りもすぐに出せます。決まっていない部分があれば、ヒアリングの段階で一緒に整理します。

それでも1〜2地区から

5つを決めたうえでも、いきなり広い範囲を発注することはおすすめしません

想定と実際がずれることは避けられないためです。統計は標本調査による推計値で、基準日は2023年10月1日。地区内のばらつきもあります

1回目で分かること 2回目への反映
実際の件数 次の範囲の規模を決められる
条件の適否 共同住宅の扱い、築年数の想定を調整できる
状態の分布 提案の方向を決められる
記録の粒度 細かすぎ・粗すぎを調整できる

これらは1回目の結果を見て初めて分かります。まず1〜2地区で実施し、中身を確認してから広げてください。

目的によって、優先すべき確認が変わる

立場 とくに注意すべき失敗
不動産会社 ④処理能力を超える規模。リストの鮮度が成果に直結する
リフォーム・外壁塗装会社 ①目的の設定。対象は空き家ではなく居住中の住宅
解体・建設会社 ③状態の記録。優先順位づけに直結する
自治体 ⑤判定基準。次回調査との比較が求められる

自治体は⑤が最も重い

実態調査は1回で終わりません。計画の改定時には前回からの変化を示す必要があります。

基準が揃っていなければ、この説明が成立しません。仕様書を作る段階で、次回も同じ基準で実施できるかを確認してください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。処理できる件数が決まっていれば、それに見合う範囲を設定できます。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。後から追加すると同じ範囲を再度歩くことになるため、最初に指定してください

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか、誰がどう使うかを確認したうえで、対象範囲・調査項目・判定基準・記録の粒度を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、指定された基準に沿って外観から状態を確認・記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

そのほか気をつけたいこと

細かいところでのつまずき

  • 調査項目を後から追加する/同じ範囲を再度歩くことになります
  • 積雪期に初回調査を行う/屋根も敷地も雪に覆われ、判断材料が減ります
  • 自社の繁忙期に納品時期を合わせる/リストが届いても営業に回せません
  • 納品形式を1つに絞る/地図・リスト・集計で用途が違います
  • 受け取った後の担当を決めていない/誰も手をつけないまま古くなります

よくあるご質問

目的が複数ある場合はどうすればよいですか?

調査項目を複数指定していただければ、1回の調査で対応できます。同じ範囲を1回歩いて記録し、項目ごとに色分けして納品するため、後から用途別に分けて使えます。追加は1項目につき200円(税別)です。

範囲の絞り込みから相談できますか?

できます。目的と対象エリアをお伺いしたうえで、どの範囲を含めるか、どこを外すかをご提案します。処理できる件数をお聞かせいただければ、それに見合う規模で設計します。

判定基準はこちらで決める必要がありますか?

ご相談いただけます。何を材料とするか、どの粒度で記録するか、迷った物件をどう扱うかについてご提案します。決めた内容は記録として残し、次回調査でも同じ基準で実施できるようにします。

後から範囲を広げることはできますか?

できます。まず1〜2地区で実施し、件数と中身を確認してから広げる進め方をおすすめしています。追加分は改めてお見積りします。1回目の結果があれば、2回目以降は条件も調整できます。

途中で条件を変えることはできますか?

調査開始前であれば調整できます。調査中の変更は、前半と後半で記録がずれる原因になるためおすすめしていません。次回の調査で反映する形をご提案します。

まとめ

失敗のほとんどは、調査そのものではなく発注の設計で起きます。確認すべきは5つです。

①目的/このリストを誰が、翌日何に使うか。施工提案が目的なら、対象は空き家ではありません。

②範囲/町丁目まで指定できているか。市の名前だけでは範囲が定まらず、性格の違う地域が混ざります。

③状態の記録/2区分では優先順位がつけられません。ただし段階は分けすぎないでください。

④規模/週に何件処理できるか。使い切れない量を作っても、後半は情報が古くなります。

⑤判定基準/何をもって空き家とするか。決めておかなければ記録がばらつき、次回との比較もできません。

この5つが決まっていれば、見積りもすぐに出せます。そのうえで、まずは1〜2地区から。想定とのずれは、実施してみて初めて分かります。

関連記事

まず1地区から、現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

反響を生む配布設計をプロがご提案します

反響を生む配布設計

プロがご提案します

お気軽にご相談ください

お気軽にどうぞ 無料見積もり相談