空き家調査で何がわかるのか|納品されるリストの中身と使い方

調査を依頼するかどうかを決める前に、知っておきたいことがあります。結局、何が手元に届くのかということです。
費用が分かっても、納品されるものが想像できなければ判断できません。地図なのか、一覧表なのか。そこに何が書かれていて、受け取った翌日から何ができるのか。
この記事では、実際に納品される3つの形式とその中身を説明します。あわせて、調査では分からないことも正直にお伝えします。期待とずれたまま発注しても、良い結果にはならないためです。
この記事の結論
- 納品形式は地図・住所地番リスト・件数集計の3つ。組み合わせて受け取れる
- リストには地番が入る。そのまま登記情報の取得に進める
- 記録される内容は調査項目の指定で変わる。発注時に決めておく
- 分からないのは建物内部・正確な築年数・所有者の意向・価格の4つ
- 受け取った後、誰が何件をいつまでに処理するかを先に決めておく
記事の目次
納品される3つの形式
弊社の土地調査では、次の3つの形式から選んでいただけます。組み合わせての納品も可能です。
①ゼンリン地図への転記
調査項目ごとに色分けして、地図上に記録したものです。空き家は赤、空き地は青、といった形で塗り分けます。
| できること | 実際の使い方 |
|---|---|
| 分布が一目で分かる | どの地区に集中しているかを確認する |
| 担当エリアを割り振れる | 営業担当ごとに地図を分けて渡す |
| 回るルートを組める | 1日で回れる範囲を地図上で決める |
| 複数の項目を重ねて見られる | 空き家と空き地の位置関係を把握する |
現場で持ち歩く前提であれば、この形式が中心になります。一覧表では位置関係が分からないためです。
②住所・地番リスト(PDF形式)
調査で確認した物件の住所と地番を一覧にしたものです。追加料金での対応となります。
ここに地番が入っていることが重要です。登記情報を請求するには地番が必要で、普段使っている住所(住居表示)では取得できません。地番の割り出しは1件ずつ変換する作業になるため、件数が増えるほど負担になります。
納品されるリストには地番が含まれるため、そのまま登記情報の取得に進めます。所有者の氏名と住所が分かれば、DMを送れます。
③Excel件数リスト
地区別・分類別に件数を集計したものです。
| できること | 実際の使い方 |
|---|---|
| 地区ごとの件数を比較できる | 次にどこを調査するか判断する |
| 調査項目ごとの内訳が分かる | 空き家と空き地の比率を確認する |
| 社内で共有しやすい | 報告資料や稟議に使う |
| 前回との比較ができる | 継続調査で増減を追う |
自治体の場合、この形式が計画への反映や議会説明の材料になります。民間企業でも、次の調査範囲を決める根拠として使えます。
3つは役割が違う。用途で選ぶ
「どれか1つ」ではなく、目的に応じて組み合わせるのが実務的です。
- 現場を回るなら/地図。位置関係が分からないと動けません
- DMを送るなら/住所・地番リスト。宛名の取得に必要です
- 社内で判断するなら/件数集計。数字がないと次の意思決定ができません
よくあるのは、地図とリストの両方を受け取る形です。地図で全体を把握しながら、リストで個別に当たっていくという使い方になります。
調査項目によって、記録される内容が変わる
何が記録されるかは、発注時に指定する調査項目で決まります。
| 調査項目 | 記録される対象 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 空き家(戸建て) | 人が住んでいない戸建て住宅 | 仕入れ、買取、実態把握 |
| 空き地(更地) | 建物が建っていない土地 | 用地の確保、土地活用の提案 |
| 古家(居住中) | 人が住んでいる築古の戸建て | 施工の提案、将来の仕入れ |
| 古アパート | 築年数の経過した共同住宅 | 一棟買取、建替えの提案 |
| 駐車場 | 月極・コインパーキングなど | 土地活用の提案 |
| 倉庫・工場 | 使われていない事業用建物 | 遊休不動産の活用 |
調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。同じ範囲を歩くのであれば、複数を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります。
建物の状態も記録できる
外観から確認できる範囲で、建物の状態を記録することもできます。屋根や外壁の劣化、腐朽・破損の程度といった項目です。
この記録があると、リストを受け取った後の扱いが変わります。すぐ流通に乗せられる物件と、解体を前提に話をする物件を、最初から分けられるためです。リフォームの提案であれば、施工時期の見立てにもなります。
どの程度の粒度で記録するかは、ヒアリングの段階でご相談ください。
調査では分からないこと
期待とずれないよう、分からないことも書いておきます。
| 分からないこと | 理由 | 知るには |
|---|---|---|
| 建物の内部の状態 | 外観からの調査のため | 所有者の同意を得て内見する |
| 正確な築年数 | 外観から断定できない | 登記情報を取得する |
| 所有者の売却意向 | 本人にしか分からない | 接触して確認する |
| 物件の価格 | 権利関係や市況によって変わる | 個別に査定する |
| 相続人が誰か | 登記簿には記載されない | 戸籍等をたどる |
調査で得られるのは「候補」であって「答え」ではありません。ここから先は、接触して確かめる工程になります。
逆にいえば、接触するに値する候補を、地図と地番付きのリストの形で手元に持てるということです。この状態からであれば、翌日から動けます。
目的によって、受け取るべき形式が変わる
| 立場 | 主な目的 | 受け取る形式 | 指定するとよい調査項目 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 地図+住所・地番リスト | 空き家(戸建て)+空き地 |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工の提案先を探す | 地図+状態の記録 | 古家(居住中) |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 地図+件数集計 | 空き家+状態別の分類 |
自治体の場合、継続的に同じ範囲を調査すれば前回との比較ができます。件数集計を年度ごとに残しておけば、対策の効果検証にも使えます。
納品物のイメージ、具体的にお伝えできます。
どの形式が目的に合うか、ヒアリングのうえでご提案します。
まずは対象エリアと目的をお聞かせください。
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受け取った後にやること
リストが届いてから動き出すのでは遅れます。納品前に決めておくべきことが3つあります。
| 決めること | 具体的に |
|---|---|
| 担当 | 誰がこのリストを扱うか。複数人なら分け方も |
| 件数 | 1週間あたり何件処理するか |
| 期限 | いつまでに一巡させるか |
この3つが決まっていないと、リストは動きません。調査結果は時間とともに古くなります。取り壊された物件、売却された物件、状況が変わった物件が出てくるためです。
特に総住宅数が減少している地域では、取り壊しが新築を上回って進んでいます。数か月単位で状況は変わると考えたほうが安全です。
次の一手も決めておく
DMを送って反応がなかった場合、どうするか。再送するのか、別の手段にするのか、対象から外すのか。これを先に決めておかないと、リストが宙に浮きます。
発送数・返送数・反応数を記録しておけば、2回目以降の精度が上がります。エリアによって反応が違えば、次の調査範囲を決める材料にもなります。
費用・期間
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
基本料金には、地図への転記とExcel件数リストが含まれます。住所・地番リスト(PDF形式)は追加料金での対応です。
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目、調査項目、納品形式を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
発注するときの注意点
よくあるつまずき
- 納品形式を決めずに発注する/用途によって必要なものが違います。現場で使うのか、社内報告に使うのかを先に決めてください
- 調査項目を後から追加する/同じ範囲を再度歩くことになります。必要な項目は最初に指定してください
- 建物の状態を記録項目に入れない/状態が分からないと、受け取った後の優先順位がつけられません
- 「答え」が出てくると期待する/得られるのは候補です。所有者の意向や価格は接触して確かめる領域です
- 受け取ってから運用を考える/担当・件数・期限を先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
よくあるご質問
納品物のサンプルを見せてもらえますか?
お問い合わせの際にご相談ください。目的とエリアを伺ったうえで、どの形式が合うかも含めてご提案します。
3つの形式すべてを受け取れますか?
できます。地図への転記とExcel件数リストは基本料金に含まれ、住所・地番リスト(PDF形式)は追加料金での対応となります。
リストに地番は入っていますか?
住所・地番リストをご選択いただいた場合、地番が含まれます。登記情報の請求には地番が必要なため、そのまま所有者の特定に進めます。
建物の傷み具合まで分かりますか?
外観から確認できる範囲で記録します。屋根や外壁の劣化といった項目に分けることも可能です。ただし建物内部の状態は分かりません。
納品後に範囲を広げることはできますか?
できます。まず1〜2地区で実施し、件数と中身を確認してから広げる進め方をおすすめしています。追加分は改めてお見積りします。
まとめ
納品されるのは、地図・住所地番リスト・件数集計の3つです。用途によって組み合わせて受け取れます。現場を回るなら地図、DMを送るなら地番付きのリスト、社内で判断するなら件数集計。役割が違うため、目的を決めてから選ぶのが実務的です。
記録される内容は、発注時に指定する調査項目で決まります。建物の状態まで記録しておけば、受け取った後の優先順位づけがそのままできます。
一方で、建物の内部、正確な築年数、所有者の意向、価格は分かりません。調査で得られるのは候補であって答えではありません。ただし、接触するに値する候補を、地図と地番付きのリストの形で持てる。この状態からであれば、翌日から動けます。
あとは、誰が何件をいつまでに処理するかを先に決めておくこと。それだけでリストの寿命は変わります。
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