空き家調査の範囲はどう決めるか|どこを含めないかで費用が決まる

空き家調査の範囲はどう決めるか|どこを含めないかで費用が決まる

空き家調査を依頼するとき、最初に決めるのが調査範囲です。そしてこの1つの判断が、費用と成果のほとんどを決めます

費用が面積に対する従量制だからです。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)。範囲に含めた分だけ、そのまま金額に反映されます。住宅が密集している地区も、住宅がほとんどない山林も、面積としては同じ扱いになります。

だからこそ、範囲を決める作業の中心は「どこを含めるか」ではなく「どこを含めないか」です。この記事では、行政区分ではなく住宅の集まり方で切るという考え方を、具体的な手順に落とします。

この記事の結論

  • 費用は面積に対する従量制。範囲の切り方で費用がほぼ決まる
  • 市の名前だけでは範囲が定まらない。高山市1市で香川県より広い
  • 密度は地域で3倍以上違う。香川263戸/㎢、鳥取75戸/㎢
  • 切る単位は行政区分ではなく住宅の集まり方で決める
  • 処理できる件数から逆算して範囲を設定する

なぜ範囲がすべてを決めるのか

料金の仕組みを確認しておきます。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

基本料金は面積に対して発生します。1平方キロメートル(1,000,000㎡)なら10万円(税別)という計算です。

件数に応じた料金ではありません。空き家が1軒も見つからないエリアでも、歩いた分の工数は発生します。逆にいえば、密集した地区であれば同じ費用でより多くの建物を確認できます。

密度は地域で3倍以上違う

住宅の密度を都道府県で比べると、差の大きさが分かります。

1㎢あたりの住宅数(単純計算) 空き家率
香川県 約263戸 18.6%
全国平均 約172戸 13.8%
徳島県 約94戸 21.3%
岐阜県 約87戸 16.1%
鳥取県 約75戸 15.7%

総住宅数を国土地理院の面積で割った単純計算です。香川県と鳥取県で3.5倍の差があります

注目すべきは、空き家率が最も高い徳島県の密度が全国平均を下回る点です。率の高さと面積あたりの効率は、別の話だということです。

市の名前だけでは範囲が定まらない

「A市で調査を」という指定は、一見すると具体的に見えます。しかし市の面積は自治体によって大きく違います。

比較対象 面積
高山市(岐阜県) 約2,178㎢
香川県(全体) 約1,877㎢

1つの市が、1つの県より広いという状況があります。「高山市で」という指定は、香川県全域を調査するより広い範囲を意味しうるということです。

この規模の市を全域で発注すれば、山林を含む広大な面積がそのまま費用に乗ります。市の名前だけでは、見積りの前提が定まりません

決めるのは「どこを含めないか」

範囲の設計というと、対象地区を選ぶ作業だと思われがちです。実際には逆で、除外する作業のほうが費用に効きます

  • 住宅がない範囲/山林、農地、河川敷。歩いても対象は出ません
  • 目的に合わない範囲/戸建てを探すなら共同住宅が集積する地区
  • 別荘地/二次的住宅が多い地域では、管理された別荘を拾います
  • すでに調査済みの範囲/前回から日が浅ければ、優先度は下がります

弊社は町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。市全域ではなく、住宅が集まっている範囲だけを指定してください

切る単位を決める

行政区分をそのまま使うか、住宅の集まり方で切るか。地域によって適切な単位は変わります。

地域の性格 適した単位 理由
市街地・住宅団地 町丁目 住宅が連続しており、境界も分かりやすい
政令市 区、さらに町丁目 区によって住宅の構成が大きく違う
中山間地区 集落 集落と集落の間に住宅がない
面積の広い市 市街地の範囲 市全域には山林が含まれる

政令市は区でも足りないことがある

政令市の場合、区によって空き家の性格がまったく違います。広島市では中区の空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅である一方、安佐北区は48.2%が放置型の戸建てです。

大阪市では一戸建ての割合が生野区45.0%、浪速区3.7%と12倍以上の差があります。共同住宅が9割を超える区で戸建てを探しても、件数は伸びません。

区を指定したうえで、さらに町丁目まで下げる。これが政令市での基本になります。

中山間地区は集落単位で

集落と集落の間には、住宅のない範囲が広がっています。市全域を指定すると、この移動区間がそのまま面積として費用に乗ります。

住宅が集まっている集落だけを指定することで、費用あたりの成果は大きく変わります。

処理できる件数から逆算する

範囲を決めるもうひとつの基準が、社内の処理能力です。

1,000件のリストを作っても、月に20件しか処理できなければ一巡に4年かかります。最後の1件に当たる頃には、最初に調べた情報は使えなくなっています

週あたりの処理件数 100件を一巡する期間
5件 20週間
10件 10週間
20件 5週間

週20件で3か月かけて一巡させるなら、およそ240件が目安です。それに見合う範囲を設定すれば、リストが古くならないうちに使い切れます。

まず1〜2地区で試す

いきなり広い範囲を発注すると、件数と中身が想定と違ったときに調整できません。

1〜2地区で実施し、拾える件数と中身を確認してから広げる。この進め方であれば、条件の見直しもできます。共同住宅を除くべきだった、築年数の想定が違った、といった調整は1回目の結果を見て初めて分かることです。

目的によって、範囲の切り方が変わる

立場 主な目的 範囲の切り方
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 戸建てが集まる住宅地。共同住宅が集積する地区は外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案先を探す 造成年代のそろった住宅団地
自治体 実態把握、重点地区の選定 担当区域の全域。ただし住宅のない範囲は除く
用地を探す場合 開発用地の確保 工業系の用途地域、幹線道路沿い

自治体は全域が前提になる

実態調査では、市域全体を対象とすることが求められる場合があります。この場合も、住宅がほとんどない山林等を含めるかどうかで費用は変わります

予算額から逆算して範囲を設定することもできます。「今年度はこの地区、次年度は隣接地区」という形で、複数年度に分けて全域を押さえる進め方も可能です。

範囲の設計からご相談いただけます。

目的と処理能力をお聞かせいただければ、それに見合う範囲をご提案します。
まずは対象エリアと目的をお聞かせください。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

統計で絞り込めるところまで絞る

範囲を決める前段として、統計データが使えます。ここで絞り込むほど、調査費用は下がります

段階 使うもの 分かること
都道府県の選定 住宅・土地統計調査 放置型の割合が高い県、別荘が混ざる県
市区町村の選定 市区町村別データ、自治体の公表資料 市町村ごとの空き家率と実数
町丁目の選定 地図データ 住宅の集まり方、造成年代、道路の状況
対象の確定 現地調査 使用状況、建物の状態、接道、現存の有無

ただし統計で分かるのは市区町村単位までです。町丁目単位の空き家数は公表されていません。また5年ごとの標本調査であり、公表値は推計値です。

統計はエリアの優先順位づけに使い、実数は現地で確かめる。この役割分担が現実的です。

費用・期間・納品物

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。追加は1項目につき200円(税別)です。同じ範囲を歩くのであれば、複数の項目を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と処理体制のヒアリング
何のためのリストか、そして週にどれくらい処理できるかを確認します。処理能力に見合った調査範囲をご提案します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

範囲を決めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 市の名前だけで発注する/面積は自治体によって大きく違います。高山市1市で香川県より広い例もあります
  • 山林や農地を含めたまま指定する/歩いても対象は出ませんが、面積として費用に乗ります
  • 空き家率の高さで範囲を決める/率が高い地域は密度が低いことが少なくありません
  • 処理能力を超える規模で発注する/一巡に時間がかかるほど、後半の情報は古くなります
  • いきなり広い範囲を発注する/1〜2地区で試せば、条件の見直しもできます

よくあるご質問

どこまで細かく範囲を指定できますか?

町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中山間地区であれば集落単位、政令市であれば区のなかの特定の町丁目といった形で指定していただけます。

範囲の絞り込みから相談できますか?

できます。目的と対象エリアをお伺いしたうえで、どの範囲を含めるか、どこを外すかをご提案します。処理できる件数をお聞かせいただければ、それに見合う規模で設計します。

予算に合わせて範囲を決められますか?

できます。費用は面積に対する従量制のため、予算額から逆算して調査範囲を設定できます。複数年度に分けて全域を押さえる進め方にも対応します。

山林を含む市でも調査できますか?

対応していますが、住宅がほとんどない範囲を含めると費用が増えます。住宅が集まっている範囲を指定していただくことをおすすめしています。

後から範囲を広げることはできますか?

できます。まず1〜2地区で実施し、件数と中身を確認してから広げる進め方をおすすめしています。追加分は改めてお見積りします。

まとめ

調査費用は面積に対する従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)。範囲に含めた分だけ、そのまま金額に反映されます

そして密度は地域で大きく違います。香川県は約263戸/㎢、鳥取県は約75戸/㎢で3.5倍の差。空き家率が全国1位の徳島県でさえ、密度は全国平均を下回ります。率の高さと面積あたりの効率は別の話です。

市の名前だけでは範囲が定まりません。高山市は約2,178㎢で、香川県全体より広い。この規模を全域で発注すれば、山林がそのまま費用に乗ります。

だからこそ、範囲を決める作業の中心は「どこを含めないか」です。住宅がない範囲、目的に合わない範囲、別荘地。これらを外したうえで、処理できる件数から逆算する。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから広げてください。

関連記事

まず1地区から、現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

反響を生む配布設計をプロがご提案します

反響を生む配布設計

プロがご提案します

お気軽にご相談ください

お気軽にどうぞ 無料見積もり相談