空き家調査とは|最新の統計と法改正、外注を判断する基準

空き家調査とは|最新の統計と法改正、外注を判断する基準

空き家調査を検討するとき、まず押さえておきたいことがあります。2023年12月に空家法が改正され、対策の枠組みが変わりました

「管理不全空家等」という区分が新設され、市区町村の勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除され得るようになりました。所有者にとっては、放置し続ける負担が重くなっています。

この記事では、最新の統計と制度を整理したうえで、調査を外注するときの判断基準をまとめます。

この記事の結論

  • 2023年の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%(総務省調査)
  • 問題になるのは「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」385万戸のほうです
  • 2023年12月施行の改正で「管理不全空家等」が新設されました
  • 調査で最も手間がかかるのは所有者の特定です
  • 現地確認は外注でき、写真と位置情報つきで報告を受けられます

最新の数字(2023年調査)

住宅・土地統計調査は5年ごとに実施されます。最新は2023年10月1日時点の調査です。

項目 2018年 2023年
総住宅数 6,241万戸 6,502万戸
空き家数 849万戸 900万2千戸
空き家率 13.6% 13.8%

いずれも過去最多・過去最高です。ただし増加のペースは、以前ほど急ではありません。5年間で51万戸の増加でした。

「空き家」の中身は一様ではありません

統計上の空き家900万戸には、次のものが含まれます。

  • 賃貸用の空き家:入居者を募集中の物件
  • 売却用の空き家:売り出し中の物件
  • 二次的住宅:別荘など
  • それ以外:上記に当てはまらない空き家

このうち、社会問題として扱われるのは最後の区分です。2023年調査では385万戸、住宅ストック全体の5.9%にあたります。

統計の名称が変わりました

この区分は、以前は「その他の住宅」と呼ばれていました。2023年調査からは「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」という表記になっています。

古い資料と突き合わせる際は、この点にご注意ください。数字を引用するときは、どの区分の数字かを明記してください

都道府県別に見ると、差が大きい

全国平均は13.8%ですが、地域差があります。2023年調査では次のような分布でした。

  • 空き家率が高い:和歌山県・徳島県(21.2%)、山梨県(20.5%)、鹿児島県(20.4%)
  • 空き家率が低い:沖縄県(9.3%)

また「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の割合で見ると、鹿児島県13.6%、高知県12.9%など、西日本で高い傾向がありました。

全国平均で計画を立てると、地域の実情から外れます。対象とする地域の数字を確認してください

2023年12月の法改正

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)が改正され、2023年12月に施行されました。

「管理不全空家等」が新設されました

従来は「特定空家等」——著しく保安上危険、著しく衛生上有害といった状態——が措置の対象でした。改正により、その手前の段階にも対応できるようになりました

区分 状態
管理不全空家等 適切な管理が行われていないことにより、特定空家等になるおそれのある状態
特定空家等 倒壊等の危険、衛生上有害、景観を損なう等の状態

固定資産税の特例が解除され得ます

住宅が建つ土地には、固定資産税の住宅用地特例が適用されます。管理不全空家等として市区町村から勧告を受けると、この特例が解除され得ます

所有者にとっては、税負担が増える可能性があるということです。放置し続ける経済的な理由が、以前より弱くなりました

実務への影響

所有者が動く可能性が高まったため、売却や解体、活用の相談が増える環境になっています

不動産会社やリフォーム会社にとっては、この段階の物件を把握しておく意味が大きくなりました。自治体にとっては、指導・勧告の前提となる実態把握が必要になります。

なお、制度の運用は市区町村によって異なります。具体的な取り扱いは、所管の窓口にご確認ください

現地調査を外注できます。

自治体・不動産会社・リフォーム会社等からご依頼いただいています。
調査範囲と件数をお伝えいただければ、費用をご提示します。

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調査の流れ

空き家調査は、おおむね次の順序で進みます。

候補の絞り込み
住宅地図、水道の使用状況、自治会からの情報などをもとに、空き家の可能性がある建物を抽出します。
調査対象の確定
抽出した建物を地図上に落とし、調査ルートを作成します。ここで対象件数が決まります。
現地の確認
実際に訪問し、建物の状態を確認します。外観、劣化の程度、使用の形跡など。
所有者の特定
登記情報などから、地番と所有者を確認します。最も手間がかかる工程です。
データベース化
調査結果を一覧にまとめます。個人情報を含むため、取り扱いに注意が必要です。

最も手間がかかるのは、所有者の特定です

現地を見るだけなら短時間で済みますが、誰の所有かを確認する工程は件数に比例して負担が増します

相続が発生している場合、登記が変更されていないことがあります。登記上の所有者が既に亡くなっているケースも珍しくありません

どこまでを外注するかを決めてください

工程 外注の可否
候補の絞り込み 内部情報が必要な場合は自組織で
現地の確認 外注に適します
所有者の特定 調査内容によります
データベース化 個人情報の取り扱いを踏まえて判断

現地の確認は、最も外注しやすい工程です。件数が多いほど、内製との差が出ます。

現地調査で確認すること

外から見て判断できる項目に限られますが、状態の把握には十分な情報が得られます

建物の状態

  • 屋根、外壁の劣化
  • 窓ガラスの破損
  • 雨戸やシャッターの状態
  • 傾き、倒壊の危険性

使用されているかの手がかり

  • 郵便受けの状態(滞留の有無)
  • 電気・ガスのメーターの状況
  • 庭木や雑草の繁茂
  • 車両の有無

周辺への影響

  • 敷地からのはみ出し
  • ごみの堆積
  • 動物の出入り
  • 隣家との距離

写真と位置情報を残す

報告書には、撮影した写真と、記録された位置情報を添えます。後から状況を確認できる形にしておくと、判断の材料になります。

弊社ではGPSによる位置記録と写真付きの報告に対応しています。調査時点の状態を、後から確認できます

敷地に入らないことが原則です

調査の際に注意すべき点です。

空き家でも、所有者がいます

誰も住んでいなくても、その土地建物には所有者が存在します。無断で敷地に立ち入ることは避けてください。

調査は、原則として公道から確認できる範囲で行います。門扉の内側に入る必要がある場合は、事前の許可が必要になります。

近隣への配慮

建物を撮影していると、近隣の住民から不審に思われることがあります。調査の目的を説明できる体制を整えておいてください

自治体からの委託であれば、その旨を示せる書面を携行することが望まれます。

個人情報の取り扱い

所有者情報を含むデータは、個人情報にあたります。作成、保管、共有の方法を、あらかじめ定めておいてください

外部に委託する場合、委託先を監督する義務が生じます。契約で取扱いの範囲と、作業後のデータの扱いを定めてください。

調査結果の使い道

自治体の場合

  • 空家等対策計画の策定・改定
  • 管理不全空家等・特定空家等の判断材料
  • 所有者への通知・指導
  • 空き家バンクへの登録案内

不動産会社の場合

  • 売却・買取の提案先の把握
  • 仕入れ候補のリスト化
  • エリアごとの物件動向の把握

リフォーム・解体業者の場合

  • 解体、修繕の提案先の把握
  • 管理代行サービスの案内先

調査後の接触は、配布と組み合わせられます

所有者が特定できても、連絡先が分からない場合があります。相続が済んでいない、遠方に住んでいるといったケースです。

この場合、物件の所在地周辺への配布が接点になることがあります。近隣の方から所有者へ伝わる、あるいは所有者が管理のために訪れた際に目にする、といった経路です。

また、その地域の他の所有者にも届きます。1件の調査から、周辺の相談につながることがあります

外注を判断する基準

判断項目 確認すること
調査件数 件数が多いほど、外注の効果が出ます
調査範囲 広域か、特定の地区か
報告形式 写真、位置情報、一覧表。必要な形を指定できるか
期限 いつまでに結果が必要か
個人情報の扱い 所有者情報まで含めるか
継続性 一度限りか、定期的に実施するか

件数が多いほど、外注が有利になります

数十件なら内製でも対応できますが、数百件、数千件になると人員と期間の確保が難しくなります

定期的に実施するなら、記録の形式を揃えてください

年度ごとに調査するなら、前回と比較できる形式で残す必要があります。状態が悪化した物件を把握できます。

よくある失敗

NG例1:古い統計を使う
2023年の調査が最新です。「2020年の数字」は存在しません。引用元と年次を確認してください。

NG例2:空き家900万戸をそのまま問題として扱う
賃貸・売却用や別荘を含んだ数字です。問題になるのは385万戸のほうです。

NG例3:全国平均で計画を立てる
都道府県で10ポイント以上の差があります。対象地域の数字を確認してください。

NG例4:無断で敷地に立ち入る
空き家にも所有者がいます。原則として公道から確認できる範囲で行ってください。

NG例5:個人情報の取り扱いを決めずに委託する
所有者情報は個人情報です。契約で取扱いの範囲と作業後の扱いを定めてください。

よくあるご質問

現地調査だけを依頼できますか?

可能です。調査範囲と件数をお伝えいただければ、費用をご提示します。

報告はどのような形式ですか?

写真と位置情報を含む形でご報告します。ご希望の項目があれば、事前にご相談ください。

広域での調査にも対応できますか?

47都道府県に自社ネットワークがあり、エリアを問わず同じ基準で対応します。

定期的な調査も依頼できますか?

可能です。前回と比較できる形式でのご報告もご相談いただけます。

調査後の案内配布もお願いできますか?

ポスティングにも対応しています。町丁目単位でエリアを指定できるため、対象地区に絞った配布が可能です。

まとめ

2023年の調査で、空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%となりました。ただし問題になるのは、賃貸・売却用や別荘を除いた385万戸のほうです。数字を扱うときは、どの区分かを明確にしてください。

そして2023年12月の法改正で「管理不全空家等」が新設され、勧告を受けると固定資産税の特例が解除され得るようになりました。所有者が動く可能性は、以前より高まっています。

調査の工程のうち、現地の確認は外注しやすい部分です。件数が多いほど、内製との差が出ます。まずは調査範囲と件数から、ご相談ください。

調査範囲と件数から、お見積りします。

現地調査から報告書の作成まで対応します。調査後の案内配布もご相談いただけます。

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