空き家の所有者を調べる方法|登記情報から特定する手順と注意点

空き家の所有者を調べる方法|登記情報から特定する手順と注意点

空き家を見つけても、所有者が分からなければ話は進みません。表札は外れ、郵便受けは埋まり、連絡先の手がかりはない。ここで止まってしまうケースは少なくありません。

結論からいえば、不動産の所有者は誰でも調べられます。登記情報は公開されており、利用目的を問われることもありません。手数料も1件140円から取得できます。

問題は、その手前にあります。登記情報を取るには「地番」が必要で、普段使っている住所(住居表示)では取得できないためです。この記事では、所有者を特定するまでの手順を4段階に分けて説明し、どこでつまずきやすいかを整理します。

この記事の結論

  • 登記情報は誰でも取得できる。利用目的も問われない
  • ただし取得には地番が必要。住居表示(普段の住所)では取れない
  • 費用は所有者事項なら1件140円(登記情報提供サービス)から
  • 登記簿の住所は登記した時点のもの。転居していても更新されない
  • 相続未登記の場合、故人の名義のままになっていることがある

所有者を特定するまでの4段階

全体の流れは次のようになります。

段階 やること つまずきやすい点
1. 物件の特定 対象の空き家を現地で確認する 本当に空き家か、まだ建っているか
2. 地番の割り出し 住居表示から地番を特定する 住所と地番は一致しない
3. 登記情報の取得 地番をもとに所有者を調べる 建物と土地で所有者が違うことがある
4. 現住所の確認 登記上の住所に連絡が届くか確認する 住所が古い、名義人が故人

このうち1と2が、実務では最も手間のかかる工程です。3の登記情報取得は、地番さえ分かれば数分で終わります。

最初の壁は「地番が分からない」こと

登記情報を請求するには、地番(土地)または家屋番号(建物)を指定する必要があります。ここで多くの方がつまずきます。

住所と地番は別のもの

普段使っている「○○町1丁目2番3号」という表記は住居表示で、建物に付けられた番号です。一方、登記で使う地番は土地に付けられた番号で、両者は一致しません。同じ場所でも番号がまったく違うことがあります。

住居表示が実施されていない地域では地番がそのまま住所になっていますが、都市部では住居表示が導入されているため、変換の作業が必要になります。

地番を調べる方法

方法 内容 特徴
ブルーマップ 住居表示と地番を重ねて表示した住宅地図 図書館や法務局で閲覧できる。市販もされている
法務局で照会 窓口の地番検索用の地図で確認する 確実だが出向く必要がある
公図で確認 土地の形状と地番を示した図面を取得する 隣接地との関係まで分かる
現地調査で割り出す 調査時に対象の地番を特定して記録する 件数が多い場合はこの方法が現実的

1件や2件であれば、ブルーマップや法務局での確認で足ります。しかし数十件、数百件となると、1件ずつ変換する作業だけで相当な時間がかかります。

弊社の土地調査では、現地で対象を確認したうえで地番の割り出しまで行います。調査結果として納品されるリストには地番が含まれるため、そのまま登記情報の取得に進めます。

登記情報の取り方と費用

地番が分かれば、登記情報は次の方法で取得できます。

方法 取得できるもの 手数料
登記情報提供サービス(所有者事項) 所有者の氏名・住所 140円
登記情報提供サービス(全部事項) 権利関係を含む登記記録の全部 330円
法務局の窓口(登記事項証明書) 認証印のある証明書 600円
オンライン請求・窓口受取 同上 490円
オンライン請求・郵送 同上 520円

※登記情報提供サービスの料金は2026年4月1日改定後の額です。手数料は改定されることがあるため、最新の金額は法務省および登記情報提供サービスのサイトでご確認ください。

所有者を知りたいだけであれば、所有者事項の140円で足ります。氏名と住所が分かればDMは送れるためです。権利関係まで確認したい場合や、証明書として使う必要がある場合は、全部事項や登記事項証明書を取得します。

誰でも取得できる

登記情報は公開されており、取得にあたって利用目的を問われることはありません。所有者本人の許可も不要です。不動産取引の安全を確保するために、権利関係を誰でも確認できる仕組みになっているためです。

ただし、取得した情報の取り扱いには配慮が必要です。公開情報であることと、どのように使ってよいかは別の問題です。営業目的での利用については、社内での取り扱いルールを整えたうえで進めてください。判断に迷う場合は、専門家への確認をおすすめします。

件数によって、現実的な方法が変わる

1件あたりの手数料は140円からと安価ですが、実務では手数料以外の工数が効いてきます。地番の割り出し、1件ずつの請求作業、取得した情報の整理。件数が増えるほど、この作業時間が費用の中心になります

弊社では、調査で特定した地番をもとに登記情報の取得を750円/件(税別)で代行しています。地番の割り出しから取得、リスト化までを一括で行うため、社内の作業時間はかかりません。

登記で分かること・分からないこと

登記情報を取得しても、そこに書かれている内容がそのまま現状とは限りません。

登記簿の住所は「登記した時点」のもの

登記簿に記載されている所有者の住所は、登記の手続きをした時点の住所です。その後に引っ越していても、本人が変更登記をしない限り更新されません。

10年、20年前に相続や購入をしたきりであれば、住所が古いままである可能性は十分にあります。DMを送っても届かないことがあるのはこのためです。

名義人が故人のままのことがある

相続が発生しても登記を変更しなければ、名義は亡くなった方のままです。従来、相続登記に期限がなかったため、数世代前の名義のまま放置されている不動産も存在します。

この場合、実際に権利を持っているのは相続人です。誰が相続人かは登記簿には書かれていないため、別途調べる必要があります。相続人が複数いれば、全員が共有していることになります。

土地と建物で所有者が違うことがある

日本の登記制度では、土地と建物は別々の不動産として扱われます。同じ場所でも、土地の所有者と建物の所有者が異なることがあります

借地に建っている家、親の土地に子が建てた家などが該当します。売却や解体の話をする際は、どちらの所有者と話しているのかを最初に確認しておく必要があります。

相続登記の義務化で何が変わったか

2024年4月から、相続登記の申請が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

実務上の意味は2つあります。

変化 実務への影響
名義の更新が進む 登記簿上の名義人と実際の所有者が一致するケースが増えていく
所有者側に対応の必要が生じる 手続きを機に、不動産の扱いを検討する所有者が出てくる

ただし過去分の登記が行き渡るには時間がかかります。現時点では、登記情報を取得したうえで現況とあわせて確認する手順が確実です。

なお制度の詳細や手続きについては個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容は、司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

目的によって、必要な情報の範囲は変わる

立場 主な目的 必要になりやすい情報 取得方法の目安
不動産会社 売却・買取の提案 所有者の氏名・住所、権利関係 全部事項で抵当権等も確認する
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案 所有者の氏名・住所 所有者事項で足りることが多い
自治体 実態把握、管理不全な空き家への対応 所有者の氏名・住所、相続関係 制度に基づく内部の情報も活用できる

自治体の場合、空家等対策の推進に関する特別措置法により、空き家対策のために内部の課税情報などを利用できる仕組みが定められています。所有者の特定が難しい場合の手段として整備されたものです。民間企業はこの方法を使えないため、登記情報と現地調査を組み合わせることになります。

地番の割り出しから所有者の特定まで、一括で対応します。

現地調査で地番を確定し、登記情報の取得、DMの発送までお任せいただけます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。所有者の居住地が県外であっても対応します。

そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくこともできます。調査から接触までを一本の流れにしておけば、所有者が遠方にいても件数を処理できます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

所有者を調べるときの注意点

よくあるつまずき

  • 住所をそのまま入力して請求しようとする/登記に必要なのは地番です。住居表示では取得できません
  • 登記簿の住所を現住所だと思い込む/登記した時点の住所です。転居していても更新されません
  • 名義人=現在の所有者だと考える/相続登記がされていなければ、故人の名義のままです
  • 土地だけ、建物だけを調べて終える/土地と建物で所有者が異なることがあります
  • 件数が増えてから手作業で始める/地番の割り出しと請求作業は件数に比例します。数十件を超えるなら代行を検討してください

よくあるご質問

所有者を調べるのに許可は必要ですか?

不要です。登記情報は公開されており、取得にあたって利用目的を問われることもありません。ただし取得した情報の取り扱いについては、社内でルールを整えたうえでご利用ください。

地番が分からなくても調べてもらえますか?

対応しています。弊社の土地調査では、現地で対象を確認したうえで地番の割り出しまで行います。納品されるリストには地番が含まれるため、そのまま所有者の特定に進めます。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

できます。登記情報に記載された住所をそのまま取得するため、居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

DMを送っても届かなかった場合はどうなりますか?

登記簿の住所が古い場合、返送されることがあります。どの程度返送されるかは物件の状況によって異なります。件数が多い場合は、まず一部で試してから全体に広げる進め方をおすすめしています。

何件からでも依頼できますか?

登記情報の取得は1件750円(税別)の従量制です。件数の下限は設けていませんが、まずは調査範囲をお伺いしたうえで、全体の費用感をご提示します。

まとめ

不動産の所有者は誰でも調べられます。登記情報は公開されており、所有者事項なら1件140円から取得できます。手続きそのものは難しくありません。

実務でつまずくのは、その手前と、その先です。手前では地番の割り出し。住居表示のままでは登記情報を請求できず、件数が増えるほどこの変換作業が負担になります。その先では情報の鮮度。登記簿の住所は登記した時点のもので、相続登記がされていなければ名義は故人のままです。

現地で物件を確認し、地番を割り出し、登記情報を取得し、DMを送る。この一連の流れを分断せずに進められるかどうかが、実際に接触できる件数を決めます。まずは調査範囲をお聞かせください。

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