PASONAの法則をチラシに使うには|6ステップを紙面に収める方法

チラシの構成に悩んだとき、参考にされることが多いのがPASONAの法則です。問題提起から行動喚起まで、6つのステップで読み手を動かすという型で、セールスレターやランディングページで広く使われています。
ただし、この型をそのままチラシに持ち込むと、たいてい失敗します。6ステップを追うには、紙面も、読んでもらえる時間も足りないからです。
この記事では、PASONAの法則を正しく整理したうえで、チラシという媒体に合わせてどう圧縮するかを解説します。
この記事の結論
- PASONAの法則は神田昌典氏が1999年に開発、2016年に新PASONAとして更新した文章の型
- 元はセールスレター向け。文字量が前提の型で、チラシとは条件が違う
- チラシでは3つに圧縮する。問題提起、解決策、行動喚起
- 面を分けると6ステップを載せられる。表面で足を止め、裏面で読ませる
- 旧版の「煽り」は意図的に改められた要素。不安を煽る構成は避ける
記事の目次
PASONAの法則とは
PASONAの法則は、経営コンサルタントの神田昌典氏が1999年に開発した、セールスコピーの構成法です。読み手が行動に至るまでの順序を、頭文字で並べたものです。
新旧で内容が変わっています
2016年の著書『稼ぐ言葉の法則』で、神田氏は内容を更新しました。現在「PASONAの法則」として紹介されるのは、多くの場合この新版です。
| 旧・PASONAの法則 | 新・PASONAの法則 | |
|---|---|---|
| P | Problem(問題) | Problem(問題) |
| A | Agitation(煽り) | Affinity(親近感) |
| SO | Solution(解決策) | Solution(解決策)+Offer(提案) |
| N | Narrow down(絞り込み) | Narrowing down(絞り込み) |
| A | Action(行動) | Action(行動) |
「煽り」から「親近感」へ変わった理由
旧版の「Agitation」は、本来「問題を掘り下げて共感を得る」という意図でした。ところが実際には「不安や恐怖を煽る」と解釈されて広まり、行き過ぎた表現が使われるようになります。
この状況を受けて、新版では同じ頭文字の「Affinity(親近感)」に改められました。読み手に寄り添う方向へ、意図的に修正されたという経緯です。この背景を知らずに旧版を使うと、意図しない方向に行きます。
そのままチラシに使えない理由
PASONAは、もともとセールスレターやダイレクトメールのために作られた型です。読み手が腰を据えて読むことが前提になっています。
紙面が足りない
6つのステップを順に展開するには、相応の文字量が要ります。A4片面に詰め込めば、文字が小さくなり、結局読まれません。
読んでもらえる時間が違う
ポストから取り出したチラシは、数秒で処分するかどうかが決まります。その数秒の間に「問題提起」から読み始めてもらえるかどうかが、そもそもの分かれ目です。
ランディングページであれば、訪問した時点で一定の関心があります。チラシにはその前提がありません。ここが決定的な違いです。
チラシでは3つに圧縮する
実務では、次の3つに絞るのが現実的です。
| 要素 | チラシでの役割 | 置き場所 |
|---|---|---|
| P(問題) | 「自分のことだ」と気づかせる | 表面の上部 |
| SO(解決策・提案) | 何をしてくれるのかを示す | 表面の中央〜裏面 |
| A(行動) | 連絡先と、次にすること | 表裏の両方 |
Pは、質問形で置く
「〇〇でお困りではありませんか」という形は使い古されていますが、機能はします。ただし問題が具体的であるほど効きます。「住まいのお悩み」では誰も自分ごとにしません。「雨のあと、天井にシミが出ていませんか」なら、該当する人は止まります。
SOは、できることを書く
解決策と提案を分けて考えると、書きやすくなります。解決策は「何ができるか」、提案は「いくらで、どう始められるか」です。後者が抜けているチラシは非常に多いのですが、ここがないと問い合わせの判断ができません。
Aは、1つに絞る
電話も、来店も、Webも、と並べると行動が分散します。最も進んでほしい行動を1つ決めて、それを大きく置いてください。他の手段は補助として小さく添える程度で構いません。
煽らない
旧版の「Agitation」が改められた経緯は、そのままチラシにも当てはまります。
不安を強く刺激する表現は、短期的には反応を取れることがあります。しかし受け取った側の心証を損ない、地域での評判に跳ね返ります。ポスティングは同じ商圏に繰り返し配る施策なので、この影響は無視できません。
「このままだと危険です」ではなく、「こういう状態なら、こう対応できます」。同じ内容でも、書き方で受け取られ方が変わります。
印刷から配布まで、まとめてご相談ください。
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面を分ければ、6ステップも載ります
両面を使えば、圧縮せずに構成できます。役割を分けるのが要点です。
| 面 | 載せる要素 | 目的 |
|---|---|---|
| 表面 上部 | P(問題) | 自分ごとだと気づかせる |
| 表面 中央 | A(親近感) | 同じ立場・地域であることを示す |
| 表面 下部 | A(行動)の簡易版 | ここで決めた人を逃さない |
| 裏面 上部 | S(解決策) | 何ができるかを具体的に |
| 裏面 中央 | O(提案) | 料金、条件、始め方 |
| 裏面 下部 | N(絞り込み)+A(行動) | 期限と、連絡先 |
表面だけで完結させないことが前提です。表面で足を止め、裏返してもらう。そのためには、表面の下部に「裏面に続く」と分かる仕掛けが要ります。
N(絞り込み)を使うときの注意
「今月末まで」「先着10名様」といった限定は、行動を後押しします。ただし表示のルールに注意が必要です。
実際に限定していること
期限を過ぎても同じ条件で受け付けている、常に「先着」と書いている。こうした運用は、景品表示法上の問題になり得ます。書いた条件は守ってください。
誰向けかを絞る使い方もある
Narrowing downは、期限や数量だけではありません。「〇〇にお住まいの方へ」「築20年以上のお宅へ」といった対象の絞り込みも、この要素にあたります。
配布エリアを絞っているなら、その事実を紙面に書くこともできます。「〇〇町の皆さまへ」と書かれていれば、受け取った人は自分向けだと認識します。町丁目単位で配布エリアを指定できるからこそ使える書き方です。
作ったあとの検証
構成を変えたら、変えた効果を測ってください。
変えるのは一度に1つ
問題提起の文言、オファーの内容、行動の指示。同時に変えると、何が効いたか分かりません。1回のテストで変える要素は1つにしてください。
エリアを分けて比べる
性質の近い2つの地区に、A案とB案を配る。エリア単位の配布実績が記録として残っていれば、地区ごとの反応を比較できます。判別できるよう、クーポン番号やQRコードの遷移先を分けておいてください。
よくある失敗
NG例1:6ステップを片面に詰め込む
文字が小さくなり、結局読まれません。圧縮するか、両面で分けてください。
NG例2:問題提起が抽象的
「お困りではありませんか」だけでは、自分ごとになりません。具体的な状況で書いてください。
NG例3:不安を煽る
旧版で問題視され、改められた要素です。同じ商圏に繰り返し配る以上、心証への影響は無視できません。
NG例4:行動を複数並べる
電話も来店もWebも、と書くと分散します。最も進んでほしい行動を1つ決めてください。
NG例5:守れない限定を書く
実際には限定していない「先着」「期間限定」は、表示上の問題になり得ます。
よくあるご質問
両面印刷にも対応していますか?
対応しています。片面カラー・裏面モノクロといった仕様もご相談いただけます。
2パターン作ってエリアを分けて配れますか?
町丁目単位でエリアを指定できるため、条件をそろえた比較配布が可能です。分け方からご相談ください。
「〇〇町の皆さまへ」と地域名を入れた配布はできますか?
配布エリアを町丁目単位で確定できるため、そうした刷り分けにも対応できます。
どのエリアが効いたか分かりますか?
エリア単位の配布実績が記録として残るため、反響と照らし合わせて次回の判断材料になります。
印刷から依頼できますか?
印刷から配布まで一括で対応できます。既にお持ちの印刷物を配布することも可能です。
まとめ
PASONAの法則は有効な型ですが、セールスレター向けに作られたものです。チラシに持ち込むなら、圧縮するか、面で分けるかのどちらかが必要になります。
そして、旧版の「煽り」が意図的に「親近感」へ改められた経緯は覚えておいてください。同じ商圏に繰り返し届けるポスティングでは、一度の反応より、地域での受け取られ方のほうが長く効きます。