不動産のチラシ|売主を探すか、買主を探すかで配る場所が変わる

不動産のチラシ|売主を探すか、買主を探すかで配る場所が変わる

不動産のチラシには、目的がまったく違う2種類があります。売却の依頼を集めるものと、買い手や借り手を集めるものです。

この2つは、配る場所も、載せる内容も、時期も違います。同じ「不動産のチラシ」として設計すると、どちらも中途半端になります

この記事では、目的別の配布設計と、宅建業法に関わる表示上の注意点を整理します。

この記事の結論

  • 売主を探すならいま住んでいる人に、買主を探すならこれから移る人に配ります
  • 売却依頼は築年数の経った戸建て地区。商圏は広く取れます
  • 賃貸募集は現在賃貸に住んでいる層。物件の周辺ではありません
  • 物件周辺への配布は、近隣の売却検討者を掘り起こす効果もあります
  • 取引態様の明示など、表示のルールがあります

2種類のチラシは、設計が正反対です

売却・買取の依頼を集める 買主・借主を集める
対象 いまその家に住んでいる人 これから移り住む人
配る場所 売ってほしい物件がある地区 いま賃貸などに住んでいる地区
商圏 広く取れる 物件から通える範囲
時期 相続・転勤など、読めない 1〜3月に集中
訴求 いくらで売れるか、手続きの負担 物件の条件、周辺環境
反応までの期間 長い。数か月から数年 短い。数週間

混ぜると、どちらにも刺さりません

1枚に「売却査定」と「物件情報」を両方載せると、誰に向けた紙なのかが伝わりません

読み手の立場が正反対だからです。売りたい人と買いたい人では、知りたいことが違います。分けてください。

売却依頼を集める配布

狙う地区の条件

条件 理由
戸建てが中心 所有者本人が住んでいます
分譲から30年以上 住み替え・相続が発生しやすい時期です
居住年数が長い 持ち家として定着している地区です
空き家が目立つ 管理の負担を感じている所有者がいます

とくに分譲時期がそろった住宅地は狙いやすくなります。一斉に入居した世帯は、住み替えや相続の時期も近づくためです。

商圏は広く取れます

売却の相談では、依頼主が来店するか、こちらが訪問します。「毎日通う」必要がないため、商圏を広く設定できます

市区町村単位でも成立しますが、対応できる範囲に収めてください。遠方の物件を受託しても、内見の立ち会いなどで負担が増えます

いつ発生するか読めません

相続、転勤、離婚、施設への入居。売却のきっかけは、こちらでは選べません

したがって、継続して配り続けるしかありません。1回配って反応がないから止める、では機会を逃します。必要になった瞬間に手元にあるかどうかで決まります。

載せる内容

  • 査定は無料か、費用がかかるか
  • 訪問せずに概算を出せるか
  • 売却までのおおよその期間
  • 買取と仲介の違い(対応している場合)
  • この地域での取扱い実績

「まずは査定から」で終わらせないでください。査定を頼むこと自体にハードルがあります。何をどこまでするのか、費用は発生するのかを明記してください。

物件周辺への配布には、二重の効果があります

売り出し中の物件の周辺にチラシを配ると、買主が見つかるだけでなく、近隣の所有者が売却を意識するきっかけにもなります。

「あの家が売りに出ているのか」「うちも同じくらいで売れるのか」。相場を知る機会がないため、実際の売出し情報は関心を引きます

この場合、紙面に次を入れておくと、両方の反応を拾えます。

  • 物件情報(買主向け)
  • 「ご近所で売却をご検討の方へ」の一文(売主向け)

ただし、あくまで補助です。売却依頼を本気で集めるなら、専用のチラシを別に作ってください

売却依頼を集めるエリア設計、ご相談ください。

住宅地の年代や住宅種別を踏まえた範囲設計に対応しています。
町丁目単位での指定が可能です。

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買主・借主を集める配布

物件の周辺に配っても、住んでいる人は動きません

見落とされやすい点です。その地区に住んでいる人は、すでにそこに住んでいます

狙うべきは、これから移り住む可能性がある人です。現在賃貸に住んでいる層、通勤圏内の別地区に住んでいる層になります。

賃貸募集の場合

狙う層 配る地区
更新時期に住み替えを考える人 賃貸集合住宅が集まる区画
通勤の利便性で選ぶ人 同じ沿線の別地区
手狭になった世帯 単身向け物件が多い区画

1〜3月に集中します。この時期を外すと、同じ物件でも反応が変わります。配布は1月中旬から始めてください。

売買物件の場合

持ち家の購入を検討する層は、いま賃貸に住んでいることが多くなります。ファミリー向けの賃貸物件が集まる区画が候補になります。

また、子どもの就学に合わせて動く家庭もあります。学区を意識した訴求が効く場合があります

反応が早い分、鮮度が要ります

売買・賃貸の募集は、成約すれば掲載できなくなります。配ってから成約するまでの期間が短い物件では、配布のタイミングに注意が必要です

表示のルールがあります

宅地建物取引業を営む場合、広告について定めがあります。チラシも広告です

取引態様の明示

売主、代理、媒介(仲介)のいずれであるかを明示する必要があります。広告のたびに表示が求められます

おとり広告の禁止

次のような広告は認められていません。

  • 実際には存在しない物件
  • 存在するが取引できない物件(成約済みなど)
  • 存在するが取引する意思のない物件

成約した物件をそのまま載せ続けることは避けてください。配布後に成約した場合の対応も、社内で決めておく必要があります。

広告開始時期の制限

未完成の物件については、建築確認などを受けた後でなければ広告できません。着工前の段階で募集広告を出すことはできません。

表示に関する規約

不動産の表示については、業界の公正競争規約により細かい基準が定められています。代表的なものとして、徒歩による所要時間は道路距離80mにつき1分として算出するという基準があります。

このほか、面積、築年数、設備などの表示方法にも基準があります。詳細は所属する団体や、公正取引協議会の資料をご確認ください

誇大広告の禁止

著しく事実に相違する表示や、実際より優良・有利であると誤認させる表示は禁じられています。「駅近」「閑静」といった主観的な表現も、実態と乖離していれば問題になり得ます

個別の判断は、所属団体や専門家にご確認ください。

配布の時期

目的 狙う時期 配布の目安
賃貸募集 1〜3月 1月中旬から
売買物件 1〜3月、9〜10月 各1か月前から
売却依頼 時期を選ばない 継続配布
相続関連 時期を選ばない 継続配布

売却依頼だけは、継続が前提です

他の3つは時期を狙えますが、売却のきっかけは読めません。年間を通じて、同じ地区に繰り返し届ける設計にしてください。

同じ世帯が3回目、4回目に受け取ったとき、初めて社名が記憶に残ります。相続が発生した時点で思い出してもらえるかどうかが、この分野の勝負です

反響の受け方

査定依頼は、心理的なハードルが高い

「査定を頼むと、売却を勧められるのではないか」という警戒があります。断りやすさを明記してください

「査定額をお伝えするだけでも構いません」「その後の営業はいたしません」。この一文があるかどうかで、依頼数が変わります

連絡手段を複数用意する

日中働いている人は、営業時間内に電話できません。フォームやメールを併記してください

どのエリアからの反応か記録する

問い合わせ時に住所を聞くはずなので、その情報を配布実績と照らし合わせてください。反応のあった地区に配分を寄せられます

よくある失敗

NG例1:売却と募集を1枚に混ぜる
読み手の立場が正反対です。誰に向けた紙か伝わりません。

NG例2:物件周辺に募集チラシを配る
そこに住んでいる人は、すでに住んでいます。これから移る人がいる地区に配ってください。

NG例3:売却依頼のチラシを1回で判断する
きっかけの発生時期は読めません。継続して配り続けてください。

NG例4:取引態様を書かない
明示が求められる事項です。広告のたびに表示してください。

NG例5:成約済みの物件を載せ続ける
おとり広告にあたる可能性があります。配布後の対応も決めておいてください。

よくあるご質問

住宅地の年代で地区を選べますか?

分譲時期や住宅の種別を踏まえたエリア設計に対応しています。ご希望の条件をお知らせください。

戸建てだけ、集合住宅だけに絞れますか?

可能です。住宅の種別を踏まえた範囲設計が可能です。

継続して配布できますか?

可能です。前回の配布実績をもとに、時期や範囲を調整したご提案ができます。

どのエリアから反応があったか分かりますか?

エリア単位の配布実績が記録として残るため、問い合わせと照らし合わせて次回の配分を調整できます。

印刷から依頼できますか?

印刷から配布まで一括で対応できます。なお表示内容の適否については、所属団体等へのご確認をお願いしています。

まとめ

不動産のチラシは、売主を探すのか、買主を探すのかで設計が正反対になります。前者はいま住んでいる人に、後者はこれから移る人に配る。この違いを押さえるだけで、配布先が決まります。

そして売却依頼は、きっかけの発生時期が読めません。継続して同じ地区に届け、必要になった瞬間に思い出してもらう。ここがこの分野の基本形です。表示のルールについては、刷る前に確認してください。

目的に合わせて、配布先を設計します。

売却依頼か、募集か。狙いをお伝えいただければ、地区の選び方からご提案します。

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