ポスティングで絞れるもの、絞れないもの|ターゲティングの実際

ポスティングで絞れるもの、絞れないもの|ターゲティングの実際

「30代の子育て世帯に絞って配りたい」。ポスティングの相談で、よくいただくご要望です。狙いは正しいのですが、この形では発注できません。

ポスティングには宛名がありません。「誰に配るか」を指定する仕組みがそもそも存在せず、指定できるのは「どこに配るか」だけです。年齢や年収で絞ることはできないのです。

では精度は上げられないのか。上げられます。ただし方法が違います。その人たちが集まっている場所を選ぶのがポスティングのターゲティングです。この記事では、実際に何が絞れて何が絞れないのか、そしてどう設計するかを解説します。

この記事の結論

  • ポスティングは人ではなく場所を選ぶ。宛名がないため個人属性では絞れない
  • 絞れるのは地理的範囲・住宅の種別・建物から読める情報
  • 絞れないのは年齢・年収・職業・購買履歴といった個人の情報
  • 設計の起点は既存顧客の住所を地図に落とすこと。ここに答えが出ている
  • 絞りすぎると母数が足りなくなる。配布できる部数が確保できる範囲で条件を決める

ポスティングは「人」ではなく「場所」を選ぶ

ダイレクトメールなら、リストの中から特定の個人を選んで送れます。ウェブ広告なら、利用者の行動に基づいて配信対象を設定できます。どちらも「誰に」を指定する仕組みを持っています

ポスティングにはそれがありません。配布員が歩き、目の前のポストに投函する。指定できるのは投函する場所だけです。

ただし、これは弱点ではありません。属性は場所に偏って分布しているからです。子育て世帯が多い住宅地、高齢世帯が多い地区、単身者向けの賃貸が集まる区画。場所を選べば、結果として属性を選んだことになります。

絞れるもの、絞れないもの

指定できる 指定できない
場所 町丁目単位の範囲、除外したい区画 特定の1軒を狙う
建物 戸建てのみ/集合住宅を含む など 間取り、階数の指定
外観から読めるもの 築年数の目安、駐車場、庭の有無 実際の築年数の正確な数値
個人の属性 年齢、年収、職業、家族構成
行動 購買履歴、ウェブ閲覧履歴

なぜ購買履歴や年収では絞れないのか

これらは個人に紐づく情報です。使うには、その人が誰で、どこに住んでいるかが分かっている必要があります。つまり名簿が前提であり、それはダイレクトメールの手法です

ポスティングの説明で「購買履歴に基づくターゲティング」といった記述を見かけることがありますが、宛名のない配布では実行できません。混同したまま計画を立てると、発注の段階で行き詰まります。

地域の統計は「傾向」までしか分からない

国勢調査などの公的統計を使えば、地区ごとの世帯構成や持ち家率の傾向は把握できます。ただしこれは平均値であり、「この地区の世帯は全員こうだ」ということではありません。傾向として濃い薄いを判断する材料として使うものです。

設計の起点は、既存顧客の住所

どこに配るかを決める最も確実な方法は、すでに来ている顧客がどこから来ているかを見ることです。推測より事実が優先します。

既存顧客の住所を地図に落とす
直近1年分で構いません。町丁目単位でプロットすると、集まっている範囲が見えてきます。
集まっている地区の共通点を言語化する
戸建てが多い、築年数が近い、駅からの距離が同程度、といった住環境の条件を書き出します。
同じ条件の地区を地図上で探す
まだ顧客がいない地区で、条件が似ている範囲を候補にします。ここが伸びしろです。
候補地区に配って検証する
複数の候補に配り、反応を比べます。判別できる仕掛けを入れておいてください。
当たった条件を再現する
反応のあった地区の条件を確認し、同じ条件の別地区へ広げます。

共通点は「住環境の言葉」で書く

2番目の工程が要です。ここで「30代の子育て世帯」と書いても、地図上で探せません。地図で判別できる言葉に置き換えてください

  • 「子育て世帯が多い」→ 築15〜25年の分譲住宅地、小学校の学区内
  • 「高齢世帯が多い」→ 開発から40年以上経った住宅地
  • 「所得層が高い」→ 敷地が広い、駐車場が2台以上ある区画
  • 「単身者が多い」→ ワンルーム中心の集合住宅が集まる区画

言い換えができれば、同じ条件の地区を探せます。探せる言葉になっているかどうかが、実行できる計画かどうかの分かれ目です

既存のお客様の住所から、配布エリアを設計します。

どこから来ているかが分かれば、次に配るべき地区が見えてきます。
商圏の情報をお持ちであれば、そこからご提案できます。

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どこまで絞るか

絞れば絞るほど良い、というものでもありません。判断の基準は明確です。

必要な部数が確保できるか

条件を厳しくしすぎると、該当する世帯数が足りなくなります。反響率がどれだけ高くても、母数が小さければ件数は増えません

目安として、まず必要な問い合わせ件数を決め、そこから逆算して必要な配布部数を出します。その部数が確保できる範囲まで条件をゆるめる。この順序で考えると、絞りすぎを避けられます。

営業が回れる範囲を超えないか

逆に、広げすぎると来店できない地区にも配ることになります。条件は「営業が対応できる範囲の中で」絞ってください

1回で決めきらない

初回から最適な条件が分かることはまれです。少し広めに配って反応の出た地区を絞り込むか、狭く配って反応がなければ広げるか。どちらの方向に調整するかを決めておけば、2回目の判断が早くなります

検証して条件を再現する

エリアごとに判別できるようにする

複数の地区に配る場合、どこからの反応か分からなければ検証になりません。クーポン番号を地区ごとに変える、QRコードの遷移先を分けるなど、印刷の段階で仕掛けを入れてください

配布実績と突き合わせる

反応の数だけでは判断できません。どの地区に何枚配ったかが分かって初めて、地区ごとの反応率を比べられます。弊社ではGPSログ、エリア単位の配布実績、写真付きレポートで配布状況をご確認いただけます。

当たった条件を言葉にして残す

反応の良かった地区に共通する条件を書き出しておいてください。この条件が、次に探すべき地区の検索条件になります。一度言語化できれば、同じ条件の地区は他にもあります。ここから先は再現の作業です。

よくある失敗

NG例1:個人属性で条件を伝える
「40代女性に」では発注できません。その層が多い住宅地の条件に翻訳してから伝えてください。

NG例2:既存顧客の住所を見ずに推測で決める
実際に来ている人の分布が最も確実な材料です。まず地図に落としてください。

NG例3:条件を厳しくしすぎて部数が出ない
必要な問い合わせ件数から逆算し、その部数が確保できる範囲まで条件をゆるめてください。

NG例4:地区ごとに判別できる仕掛けを入れない
どこが効いたか分からなければ、次に広げる先を決められません。印刷前に入れてください。

NG例5:当たった条件を記録せずに次へ進む
再現できなければ、毎回ゼロからの試行になります。条件を言葉にして残してください。

よくあるご質問

年齢や世帯構成でエリアを選べますか?

個人属性での指定はできませんが、その層が多い傾向のある住宅地を選ぶ形での設計は可能です。ご希望の条件を伺ったうえでご提案します。

戸建てだけに絞れますか?

可能です。配布対象を戸建てに限定した設計に対応しています。空き地や集合住宅を含める調整もできます。

配布エリアはどこまで細かく指定できますか?

町丁目単位まで指定できます。GISを用いてエリアを設計するため、「この区画は外す」といった調整も可能です。

既存顧客の住所データがあれば相談できますか?

分布の傾向を踏まえたエリア設計をご提案できます。個人が特定できない形の集計データでも構いません。

どのエリアが効いたか分かりますか?

エリア単位の配布実績が記録として残るため、反響と照らし合わせて次回の配分を調整できます。

まとめ

ポスティングのターゲティングは、人を選ぶ作業ではなく場所を選ぶ作業です。年齢や年収では絞れませんが、そうした層が集まっている地区を選べば、結果は同じところに向かいます。

起点は既存顧客の住所です。すでに来ている人がどこから来ているかを見て、その共通点を地図で探せる言葉に置き換える。ここまでできれば、あとは条件の合う地区へ広げていく作業になります。

エリアの条件づくりから、ご相談ください。

狙いたい層を伺い、地図上で探せる条件に翻訳したうえで範囲をご提案します。

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