GISでできること、できないこと|配布エリアを地図で決める

ポスティングの説明で「GISを使って精密にターゲティングします」と言われることがあります。地理情報システムを使ったエリア選定のことですが、この言葉だけでは何ができるのか分かりません。
実際のところ、GISは魔法の道具ではありません。できることとできないことがはっきり分かれています。この線引きを知っておくと、業者との話が噛み合い、期待のずれもなくなります。
この記事では、GISで何ができて何ができないかを整理したうえで、発注する側にとっての具体的な利点を解説します。
この記事の結論
- GISは地図の上に情報を重ねて、配布範囲を決める道具です
- できるのは地区単位の傾向を見て、範囲を確定すること
- できないのは個人の属性や購買履歴で絞ること。それは名簿が必要な手法です
- 発注側の最大の利点は「この範囲でいくら、何世帯」が事前に分かること
- 前回の配布範囲を地図に残せるため、2回目以降の調整が可能になります
記事の目次
GISとは何か
GIS(Geographic Information System/地理情報システム)は、地図の上にさまざまな情報を重ねて表示・分析する仕組みです。ポスティングの文脈では、配布エリアを地図上で設計するために使います。
重ねる情報には、たとえば次のようなものがあります。
- 町丁目の境界線
- 公的統計から得られる地区ごとの世帯数や住宅の建て方
- 店舗や施設の位置
- 過去に配布した範囲の記録
これらを一枚の地図に重ねることで、「どこに、どれだけ配るか」を目で見て決められるようになります。
GISでできること
| できること | 内容 |
|---|---|
| 範囲を確定する | 町丁目単位で対象範囲を線引きし、含まれる区画を抽出できます |
| 世帯数を把握する | 指定した範囲に、おおよそ何世帯あるかが分かります |
| 地区の傾向を見る | 公的統計から、その地区の住宅の建て方や世帯構成の傾向を確認できます |
| 商圏を描く | 店舗から徒歩何分、車で何分といった範囲を地図上に描けます |
| 顧客の分布を見る | 既存顧客の住所を地図に落とし、集まっている範囲を確認できます |
| 配布履歴を重ねる | 前回どこに配ったかを記録として残し、次回に反映できます |
いちばん効くのは「顧客の分布」と「配布履歴」
統計データの分析より、この2つのほうが実務では効きます。すでに来ている顧客がどこから来ているか、そして前回どこに配ったか。この2つを地図に重ねれば、次に配るべき範囲はほぼ決まります。
GISでできないこと
| できないこと | 理由 |
|---|---|
| 個人の年齢や年収で絞る | 個人の属性情報は扱えません。分かるのは地区の統計的な傾向までです |
| 購買履歴で絞る | 個人に紐づく情報であり、名簿を前提とした手法です |
| 特定の1軒を狙う | 宛名のない配布では、世帯を指定できません |
| 反応を保証する | 範囲の精度は上がりますが、反応するかどうかは別の話です |
「購買履歴に基づくターゲティング」は成立しません
この説明を見かけることがありますが、ポスティングでは実行できません。個人の購買行動に基づいて配布先を選ぶには、その人が誰でどこに住んでいるかが分かっている必要があります。それはダイレクトメールの手法です。
期待して発注すると、実施の段階で認識のずれが表面化します。できることの範囲を最初に確認しておいてください。
統計は「地区の傾向」であって、個人ではありません
公的統計から「この地区は持ち家率が高い」と分かったとしても、それはその地区の平均的な傾向です。個々の世帯がそうだという意味ではありません。
したがってGISの役割は、可能性の濃い地区と薄い地区を見分けることまでです。濃い地区を選べば当たる確率は上がりますが、全戸が該当するわけではありません。
この前提を共有しておくと、結果の評価も冷静にできます。「絞ったのに全員から反応がない」は、そもそも起こり得ない期待です。
発注する側にとっての利点
技術の話より、実務でどう役立つかのほうが重要です。
見積り前に、範囲と世帯数が分かる
「この範囲でいくらになるか」が、地図を見ながら確認できます。予算が先に決まっている場合、その金額でどこまで配れるかを逆算できるのは大きな利点です。
口頭のずれがなくなる
「駅の東側あたり」「〇〇小学校の学区」といった伝え方は、人によって解釈が違います。地図上で範囲を確定すれば、依頼主と業者が同じ範囲を見て合意できます。配布後に「そこは含まれていなかった」という食い違いを防げます。
除外したい範囲を指定できる
競合店の周辺、既存顧客が多い区画、過去にクレームが出た地域。「ここは外す」という指定も、地図上なら正確に伝わります。
2回目以降の調整ができる
前回の配布範囲が地図に残っていれば、反応のあった地区を厚く、なかった地区を外すという調整が可能です。この積み上げが、回を重ねるごとの精度向上につながります。記録がなければ、毎回ゼロからの発注になります。
地図を見ながら、配布範囲をご相談いただけます。
商圏や店舗の場所をお伝えいただければ、対象世帯数と費用をご提示します。
「この予算でどこまで配れるか」からお気軽にどうぞ。
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設計の手順
すべての起点です。複数拠点がある場合は、それぞれの商圏を確認します。
すでに来ている人がどこから来ているか。推測より確実な材料です。個人が特定できない形の集計データで構いません。
徒歩何分、車で何分。業種によって適切な広さが変わります。
範囲に入る区画と、そこに含まれる世帯数を確認します。ここで部数が決まります。
競合周辺や、配布したくない区画があれば外します。
次回の調整に使います。ここまでが一連の流れです。
2番目が省かれがちです
既存顧客の住所データを用意するのは手間がかかるため、飛ばされることが多い工程です。しかしここが最も精度に効きます。直近1年分でも構いませんし、市区町村レベルの集計でも傾向は見えます。
よくある失敗
NG例1:個人属性で絞れると期待する
年齢や年収では絞れません。できるのは地区の傾向を見るところまでです。
NG例2:範囲を口頭で伝える
解釈がずれます。地図上で確定してから発注してください。
NG例3:既存顧客の分布を確認しない
推測で範囲を決めると、実際の商圏とずれます。まず地図に落としてください。
NG例4:配布実績を残さない
2回目以降の調整ができず、毎回ゼロからの発注になります。
NG例5:地区の傾向を個々の世帯に当てはめる
統計は平均です。濃い地区を選んでも、全戸が該当するわけではありません。
よくあるご質問
配布エリアはどこまで細かく指定できますか?
町丁目単位まで指定できます。除外したい区画の指定にも対応しています。
指定した範囲に何世帯あるか分かりますか?
対象世帯数をご提示したうえでお見積りします。予算から逆算した範囲のご提案も可能です。
既存顧客のデータがあれば相談できますか?
分布の傾向を踏まえたエリア設計をご提案できます。個人が特定できない形の集計データでも構いません。
前回配った範囲は記録として残りますか?
GPSログ、エリア単位の配布実績、写真付きレポートでご確認いただけます。次回の調整にそのまま使えます。
年齢層でエリアを選べますか?
個人属性での指定はできませんが、その層が多い傾向のある地区を選ぶ形での設計は可能です。
まとめ
GISは、地図の上で配布範囲を決めるための道具です。できるのは地区単位の傾向を見て、範囲を確定し、実績を記録すること。個人の属性や購買履歴で絞ることはできません。
この線引きが分かっていれば、期待のずれは起きません。そして発注する側にとっての実利は、「この範囲でいくら、何世帯」が事前に確認でき、次回の調整に使えることにあります。まずは店舗の場所と商圏から、地図を見ながらご相談ください。