AIDMAの5段階を1枚で通そうとしない|回ごとに役割を分ける

AIDMAの法則は、人が広告を見てから行動するまでを5段階に分けたモデルです。注意、興味、欲求、記憶、行動。この5つを1枚のチラシで通過させようとすると、たいてい失敗します。
数秒で判断される紙面に、注意を引く要素も、欲求を刺激する内容も、記憶に残る仕掛けも、行動を促す指示も詰め込む。結果として、どれも中途半端になります。
この記事では、5段階を複数回の配布で分担する考え方を解説します。
この記事の結論
- AIDMAはA(注意)・I(興味)・D(欲求)・M(記憶)・A(行動)の5段階
- 1枚で5段階すべては通過しません。詰め込むと全部が薄くなります
- 紙の強みはM(記憶)を物理的に担えること。手元に残るためです
- 複数回配るなら、回ごとに担当する段階を変える設計が有効です
- 1回目で行動を求めても動きません。その回の目的を1つに絞ってください
記事の目次
AIDMAの5段階
消費者が広告に接してから行動するまでの過程を、5つの頭文字で表したものです。
| 段階 | 内容 | チラシでの役割 |
|---|---|---|
| A(Attention) | 注意を向ける | 束の中で手を止めさせる |
| I(Interest) | 興味を持つ | 自分に関係があると気づかせる |
| D(Desire) | 欲しいと思う | 解決できることを具体的に示す |
| M(Memory) | 記憶に残る | 必要になったときに思い出される |
| A(Action) | 行動する | 電話・来店・問い合わせ |
M(記憶)があるのが、このモデルの特徴です
類似のモデルにはMを含まないものもあります。AIDMAがMを置いているのは、広告を見た瞬間に行動する人は少ないという前提に立っているからです。
実際、チラシを見てその場で電話する人は限られます。多くは「そのうち必要になったら」と考えて、その場では動きません。この空白期間をどう埋めるかが、Mの段階です。
紙は、M(記憶)を物理的に担えます
ここがポスティングの構造的な強みです。
画面の広告は、閉じれば消えます
デジタル広告は、表示が終われば手元に何も残りません。記憶に頼るしかないということです。数週間後に思い出してもらえる保証はありません。
紙は、捨てられなければ残ります
引き出しに入れられ、冷蔵庫に貼られ、テーブルに置かれる。「思い出す」のではなく「目に入る」状態を作れます。これはMの段階を、記憶ではなく物理で担保しているということです。
だから、残す設計に意味があります
- 切り取れるクーポン
- 料金表として使える紙面
- 連絡先が大きく書かれている
- 期限が先に設定されている
「後で使うかもしれない」と思わせられれば、Mの段階は成立します。
1枚で5段階は通過しません
紙面には限りがあります。5段階すべてに対応する要素を入れると、1つあたりの面積が5分の1になります。
詰め込むと、Aで止まります
情報量が多いチラシは、そもそも最初の段階を通過できません。束から取り出された瞬間に「読むのが面倒そう」と判断されます。
AIDMAを意識するあまり、全段階の要素を入れて、結果的に最初の段階で落ちる。よくある失敗です。
その回の目的を1つに決める
1回の配布で狙う段階を絞ってください。「今回は名前を知ってもらう」「今回は問い合わせてもらう」。目的が1つなら、紙面も設計しやすくなります。
回ごとに、担当する段階を変える
同じエリアに複数回配るなら、こういう分担ができます。
- 1回目:A・I。何をしている会社か、誰向けかを伝える。情報量は少なくてよい
- 2回目:D。具体的に何ができるか。事例や条件を示す
- 3回目:M・A。オファーと期限、行動の指示。切り取れる形に
3回目のチラシだけを初対面の人に届けても、知らない会社の割引案内にしかなりません。1回目と2回目があるから、3回目が効きます。
逆に、毎回同じ内容を配ると、何度目でも1回目と同じ状態のままです。
複数回の配布計画を、ご提案します。
同一エリアへの配布を、時期を分けて計画できます。
前回の配布実績をもとに範囲を調整することも可能です。
受付 10:00〜20:00/年中無休
段階ごとに、書くものが違います
A・I の回に書くこと
- 誰に向けたものか(読み手の状況)
- 何をしている会社か
- 場所(近さが伝わる形で)
- 連絡先
この段階では、料金の詳細や実績を並べる必要はありません。「近所にこういう店ができた」が伝わればじゅうぶんです。
D の回に書くこと
- 具体的にできること
- 料金の目安
- 対応の流れ
- 他と何が違うか
1回目で名前を見ている相手なので、読み進めてもらえる可能性が上がっています。情報量を増やせる回です。
M・A の回に書くこと
- 期限のあるオファー
- 切り取れるクーポン
- 行動の指示(1つに絞る)
- 受付時間を含む連絡先
行動を促すのは、この回です。1回目からここをやると、知らない会社からの売り込みになります。
間隔と回数
間隔は数週間から1か月程度
短すぎるとしつこく感じられ、長すぎると前回の記憶が残っていません。商材や検討期間によって調整してください。
範囲を狭めて回数を確保する
予算が同じなら、広い範囲に1回より、狭い範囲に3回のほうがこの設計が成立します。同じ世帯に届かなければ、段階を積み上げられません。
町丁目単位でエリアを指定できるため、範囲を絞った複数回の配布が可能です。どの区画に配ったかが記録として残るので、同じ範囲に届けられます。
1回で判断しない
1回目の反応が少なくても、設計上は想定内です。この方式では、成果が出るのは後半の回になります。1回目の数字で打ち切ると、積み上げた分が無駄になります。
実施の手順
複数回届けられる規模に絞ります。広げるより、同じ範囲に繰り返すことを優先します。
3回程度から始めるのが現実的です。間隔は数週間から1か月を目安にします。
1回目はA・I、2回目はD、3回目はM・A。それぞれ載せる内容が変わります。
回ごとにクーポン番号やQRコードの遷移先を分けます。どの回が効いたかを確認できます。
途中の回だけで判断しません。設計上、後半に成果が出ます。
よくある失敗
NG例1:1枚に5段階すべてを詰め込む
情報量が多くなり、最初の段階で処分されます。1回の目的を1つに絞ってください。
NG例2:1回目からオファーで行動を求める
知らない会社からの売り込みになります。まず何をしている会社かを伝えてください。
NG例3:毎回同じ内容を配る
何度配っても1回目と同じ状態です。回ごとに内容を変えてください。
NG例4:広い範囲に1回ずつ配る
同じ世帯に届かなければ、段階が積み上がりません。範囲を狭めてください。
NG例5:1回目の反応で判断する
この設計では、成果は後半に出ます。3回終えてから評価してください。
よくあるご質問
同じエリアに繰り返し配布できますか?
可能です。前回の配布実績をもとに、同じ範囲へ時期を分けて届けるご提案ができます。
回ごとに内容を変えて配れますか?
対応しています。回ごとにクーポン番号や遷移先を分けた刷り分けも可能です。
どの回が効いたか分かりますか?
判別できる仕掛けを入れておけば、回ごとの反応を比較できます。エリア単位の配布実績と併せてご確認いただけます。
予算内で何回配れるか相談できますか?
ご予算と商圏をお伝えいただければ、範囲と回数の配分をご提案します。
印刷から依頼できますか?
印刷から配布まで一括で対応できます。複数パターンの刷り分けもご相談ください。
まとめ
AIDMAの5段階を、1枚のチラシで通過させることはできません。詰め込むほど、最初の段階で落ちます。
複数回配るなら、回ごとに担当する段階を変えてください。1回目は知ってもらう、2回目は分かってもらう、3回目は動いてもらう。そのためには、同じ範囲に届き続けることが前提になります。範囲を広げるより、狭めて回数を確保するほうが、この設計は成立しやすくなります。