ランチェスター戦略とポスティング|勝てる区画の選び方と広げ方

予算が限られている会社ほど、配布範囲を広げたくなります。せっかく配るのだから、できるだけ多くの人に届けたい。ところがこの判断が、最も不利な戦い方になります。
ランチェスターの法則が示すのは、戦力が少ない側は、広い範囲で戦うと不利が拡大するということです。逆に、範囲を狭く区切れば、その中では互角以上に戦えます。
この記事では、この考え方をポスティングに落とし込みます。どの区画を選ぶか、そしていつ隣に広げるか。この2点が中心です。
この記事の結論
- 広い範囲での競争は規模の差がそのまま以上に効きます。予算の少ない側は不利
- 範囲を狭く区切れば、その中では投入量の差が縮まります
- 選ぶべきは「大きい市場」ではなく「1番になれる区画」
- 広げるのは、その区画で結果が出てから。同時に複数へ手を出さない
- 判断の材料は既存顧客の分布と、前回の配布実績です
記事の目次
ランチェスターの法則とは
第一次世界大戦期に、イギリスの技術者フレデリック・ランチェスターが提唱した、戦闘の勝敗に関する法則です。後にビジネスの競争戦略へ応用され、日本では中小企業向けの戦略論として広く知られるようになりました。
2つの法則の違い
| 第一法則 | 第二法則 | |
|---|---|---|
| 想定する状況 | 狭い範囲での接近戦 | 広い範囲での遠隔戦 |
| 戦力の効き方 | 数の差が、そのまま効く | 数の差が、二乗で効く |
| 有利になるのは | 質を高めれば小規模でも戦える | 規模の大きい側が圧倒的に有利 |
| 取るべき側 | 戦力が少ない側 | 戦力が多い側 |
ここが重要です
第二法則の状況——広い範囲で不特定多数を相手にする戦い——では、2倍の戦力差が4倍の力の差になります。予算で劣る側がこの土俵に乗ると、差は縮まるどころか開きます。
一方、第一法則の状況——狭い範囲で相手を限定した戦い——では、戦力差は数のままです。だから戦力の少ない側は、範囲を狭く区切る必要があります。
ポスティングに置き換えると
この構造は、配布範囲の決め方にそのまま当てはまります。
| 広い範囲に薄く配る | 狭い範囲に厚く配る | |
|---|---|---|
| 該当する法則 | 第二法則の状況 | 第一法則の状況 |
| 1世帯あたりの接触 | 1回だけ | 複数回 |
| 予算差の影響 | 大きく出る | 相対的に小さい |
| その地域での位置 | その他大勢の1社 | 知られている店になり得る |
広く配ると、予算の差がそのまま出ます
市全域に1回配る。同じことを、10倍の予算を持つ競合は10回配れます。この土俵では、勝ち目がありません。
ところが、市内の1つの区画に絞れば話が変わります。その区画に限れば、投入できる量の差は縮まります。相手が全域に薄く配っている間に、自社はその区画に厚く配れます。
選ぶべきは「1番になれる区画」
ここが最も実務的な判断です。市場の大きさで選ぶと、たいてい競合が集中している場所を選ぶことになります。
区画を選ぶ4つの基準
| 基準 | 確認すること |
|---|---|
| 既存顧客がいるか | すでに来ている人が住んでいる区画は、条件が合っている証拠 |
| 物理的に近いか | 「すぐ行ける」が強みなら、行ける範囲でなければ活きません |
| 競合が手薄か | 大手の店舗から遠い、同業が少ない区画 |
| 厚く配れる規模か | 予算内で複数回配れる世帯数に収まっているか |
4つすべてを満たす区画があれば、そこが最初の一手です。すべてを満たさなくても、1番目と4番目は外せません。
既存顧客の分布から始める
推測で区画を選ぶより確実です。直近の顧客の住所を地図に落とせば、集まっている場所が見えてきます。そこが、自社の条件に合っている区画です。
個人が特定できない形の集計データでも構いません。町丁目ごとの件数が分かれば十分です。
「大きい市場」を最初に選ばない
駅前、人口の多い地区、新興住宅地。魅力的に見えますが、そこは競合も同じように狙っています。予算の少ない側が真正面から入ると、埋もれます。
最初に取るべきは、次のような区画です。
- 規模は中程度だが、既存顧客が何件かいる
- 自社から近く、対応がすぐできる
- 大手の店舗から距離があり、同業の看板が少ない
- 予算内で3回以上配れる世帯数
ここで結果が出れば、次の区画へ進む根拠になります。最初の1つで実証してから広げるのが、順序として合理的です。
最初の1区画から、ご相談ください。
商圏と既存のお客様の分布をお伝えいただければ、範囲の切り方をご提案します。
町丁目単位での指定に対応しています。
受付 10:00〜20:00/年中無休
広げる順序
1つの区画で結果が出たら、次に進みます。ここでも順序があります。
1回で判断しません。同じ範囲に複数回届け、反応が安定するまで続けます。
問い合わせ件数、来店数、獲得単価。数字が出てから次の判断をします。
飛び地ではなく、隣を取ります。近いほど配布効率がよく、対応もしやすくなります。
広げたぶん元を止めると、せっかく築いた認知が薄れます。予算が足りないなら、広げるのを待ちます。
どんな性格の区画で結果が出たか。同じ条件の区画を探す基準になります。
同時に複数へ手を出さない
これが最も起こりやすい失敗です。予算を3つの区画に分ければ、それぞれが薄くなります。結果として、どの区画でも第二法則の状況——薄く広くの戦い——になります。
元を止めて次へ、もやめる
Aで結果が出たからBへ移る、という進め方では、Aで積み上げた認知が失われます。広げるとは、足すことです。予算が足りないなら、まだ広げる時期ではありません。
競合と同じ場所で戦わない
他社のチラシが入っているか確認する
候補の区画で、実際にどんなチラシが投函されているかを見てください。自分の家に届いていなくても、知人に聞く、その地区を歩く、といった方法で把握できます。
同業のチラシが頻繁に入っている区画は、すでに競合が力を入れている場所です。そこに同じ量で入っても埋もれます。
手薄な区画に、先に入る
誰も配っていない区画は、1回目から目立ちます。競合が多い区画で3回配るより、手薄な区画で3回配るほうが、記憶に残ります。
ただし、理由も確認する
誰も配っていないのには理由があるかもしれません。世帯数が極端に少ない、投函できない物件が多い、商圏から外れている。「手薄だから入る」の前に、なぜ手薄なのかを確認してください。
実績が判断材料になります
この進め方は、記録がなければ成立しません。
どこに何枚配ったかが必要
反応の件数だけでは、区画ごとの比較ができません。分母が分かって初めて、どの区画が効いたかを判断できます。
弊社ではGPSログ、エリア単位の配布実績、写真付きレポートで配布状況をご確認いただけます。次回の区画選定に、そのまま使える形でお渡しします。
反応の出どころを判別する
区画ごとにクーポン番号やQRコードの遷移先を分けておけば、どこからの反応かが分かります。印刷の段階で決めておく必要があります。
よくある失敗
NG例1:予算を広い範囲に薄く配る
規模の差がそのまま以上に出ます。予算が少ないほど、範囲を狭くしてください。
NG例2:人口の多い地区から始める
競合も同じ場所を狙っています。1番になれる区画を選んでください。
NG例3:同時に複数の区画へ配る
それぞれが薄くなり、どの区画でも埋もれます。1つずつ進めてください。
NG例4:広げるときに元を止める
築いた認知が薄れます。広げるとは足すことです。
NG例5:配布実績を残さない
どの区画が効いたか判断できず、次の一手が決められません。
よくあるご質問
1つの区画だけでも依頼できますか?
町丁目単位でエリアを指定できるため、狭い範囲でのご依頼にも対応しています。小ロットのご相談も承ります。
既存顧客の分布から区画を提案してもらえますか?
可能です。個人が特定できない形の集計データでも、傾向を踏まえたエリア設計をご提案できます。
同じ区画に繰り返し配布できますか?
可能です。前回の配布実績をもとに、時期や範囲を調整したご提案ができます。
区画ごとの反応を比べられますか?
エリア単位の配布実績が記録として残るため、反響と照らし合わせて比較できます。
隣接エリアへの拡大も相談できますか?
前回の結果を踏まえて、次にどの区画へ広げるかからご相談いただけます。
まとめ
ランチェスターの法則が示すのは、広い範囲での戦いは規模の差が拡大して効くということです。予算が限られているなら、範囲を狭く区切るほど条件は互角に近づきます。
選ぶべきは、大きい市場ではなく1番になれる区画。既存顧客がいて、近くて、競合が手薄で、予算内で複数回配れる範囲です。そこで結果を出してから、隣へ足していく。同時に手を広げないことが、この進め方の要です。