チラシのクーポン設計|割引額は粗利から決める

チラシにクーポンを付けると、来店のきっかけになります。ただし、割引額を何となく決めていると、来店は増えたのに利益が残らないという結果になります。
「10%引きくらいなら」「他店が20%だからうちも」。この決め方では、1件あたりいくら失っているのかが分かりません。
この記事では、割引額を自社の数字から決める方法と、値引き以外の選択肢を整理します。
この記事の結論
- 割引額は粗利から逆算して決めます。売価からの何割引き、で決めない
- 値引きは利益がそのまま減ります。売上が同額でも残るものが違います
- 値引き以外に増量・付帯サービス・次回券という選択肢があります
- 期限は短すぎても長すぎても使われません。次の来店周期に合わせます
- 既存のお客様が見ても不公平にならない設計にしてください
記事の目次
割引額は、粗利から逆算する
売価の何割引きにするかで考えると、利益への影響が見えません。基準にするのは粗利です。
値引きは、利益から直接引かれます
1万円の商品で粗利が3千円だとします。ここで1割引き(1千円)にすると、粗利は2千円になります。売価は1割下がっただけですが、利益は3分の1減っています。
2割引きなら、粗利は1千円。3分の2が消えます。割引率と利益の減り方は一致しません。ここを把握しないまま額を決めると、来店が増えても手元に残りません。
判断の順序
売価から原価を引いた額です。自社の実数を使ってください。
粗利のうち何割までを新規獲得の費用に充てるか。ここを社内で固定します。
1件獲得するのにかかった配布費用と、その1件に使った割引額の合計です。
もしくは配布範囲を絞って、獲得単価のほうを下げます。
割引額は単独で決めるものではなく、配布費用とセットで枠に収めるものです。この考え方に切り替えると、判断がぶれなくなります。
値引き以外の選択肢
「お得感」を出す方法は、割引だけではありません。利益の減り方が違うため、比較する価値があります。
| 方法 | 内容 | 利益への影響 |
|---|---|---|
| 値引き | 料金から一定額を引く | 引いた額がそのまま粗利から減る |
| 増量・追加 | 量を増やす、一品追加する | 減るのは原価分のみ |
| 付帯サービス | 点検、相談、延長保証などを無料に | 人件費や時間の負担が中心 |
| 次回利用券 | 今回は通常価格、次回に使える券を渡す | 2回目の来店とセットで発生 |
増量は、値引きより有利なことがあります
1品追加する場合、失うのはその1品の原価だけです。同じ「お得感」でも、値引きより残る利益が大きくなる場合があります。原価率の低い商材ほど、この差が出ます。
次回利用券は、2回目につながります
初回は通常価格で来てもらい、次回使える券を渡す。この形なら、初回の利益を削らずに再来店の理由を作れます。
とくに継続利用が前提の商材——飲食、美容、整体、クリーニング——では、1回目より2回目のほうが重要です。初回を安くして2回目が来ないより、通常価格で2回来てもらうほうが残ります。
既存のお客様が見ても、納得できるか
チラシは、いま通っているお客様の家にも届きます。「新規のほうが安い」と見えると、長く通っている人ほど不満を持ちます。
次のような設計にすると、この問題を避けられます。
- 初回限定と明記する:新規向けであることをはっきり示す
- 既存客向けの特典も同時に用意する:紹介特典、継続特典など
- 値引きではなく付帯サービスにする:料金体系そのものを崩さない
3つ目が最も安全です。一度下げた価格は戻しにくく、「あの時の値段」を基準にされることもあります。
配布範囲と部数から、獲得単価を見積もれます。
商圏をお伝えいただければ、対象世帯数と費用をご提示します。
割引額を決める前の材料としてお使いください。
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有効期限の決め方
期限は必ず入れてください。ただし、長さの決め方には考え方があります。
短すぎると、使われません
「1週間以内」では、その期間に予定が合わない人が使えません。チラシを受け取った日に予定を空けられる人は限られます。
長すぎても、使われません
「3か月以内」では、後回しにされて忘れられます。期限が遠いほど、行動の動機になりません。
目安は、次の来店周期
その商材の利用サイクルに合わせるのが実務的です。
| 商材の性質 | 期限の考え方 |
|---|---|
| 日常的に利用する(飲食など) | 2〜4週間程度 |
| 月1回程度(美容、整体など) | 1〜2か月程度 |
| 季節性がある(工事、点検など) | 需要期の終わりに合わせる |
| 検討期間が長い(住宅、教育など) | 期限より「相談無料」の明示が有効 |
期限は守ってください
期限を過ぎても同じ条件で受け付けていると、期限そのものが信用されなくなります。次回のクーポンも「どうせ使える」と思われます。表示上の問題にもなり得ます。
表示で注意すること
通常価格との比較
「通常5,000円が今なら3,000円」という表示は、その通常価格に販売実績がある場合に限られます。実際にはその価格で売ったことがないなら、書けません。
「限定」「先着」は、実際に限定する
毎回「先着20名様」と書いていて、実際には人数を制限していない。この運用は表示上の問題になり得ます。書いた条件は守ってください。
適用条件を明記する
他の割引との併用可否、対象外の商品、利用できない曜日や時間帯。小さくても書いておかないと、来店時のトラブルになります。
個別の判断については、所管の窓口や専門家にご確認ください。
切り取れる形にする
物理的な扱いやすさも、利用率に影響します。
切り取り線を入れる
チラシ全体を持ってきてもらうより、クーポン部分だけを切り取って財布に入れられる形のほうが、持参される確率が上がります。
紙面の端に配置する
中央にあると切り取りにくく、他の情報も一緒に切れてしまいます。端に寄せて、切り取っても本体の情報が残る配置にしてください。
券面に必要な情報を入れる
切り取られた後、その部分だけが手元に残ります。店名、電話番号、住所、期限、適用条件を券面に入れてください。切り取ったら店名が分からない、という設計は避けます。
回収率をどう見るか
低くても失敗とは限りません
クーポンが使われなかったからといって、配布が無駄だったことにはなりません。クーポンを使わずに来店した人、名前を覚えただけの人も含まれます。
ただし、判断材料としては使えます。回収された枚数と、そのエリアに配った枚数が分かれば、地区ごとの反応を比べられます。
配布実績と突き合わせる
どのエリアに何枚配ったかが分かって初めて、回収率を計算できます。エリア単位の配布実績が記録として残っていれば、次回の配分に反映できます。
券面に区別をつける
エリアごと、配布回ごとにクーポンの番号や記号を変えておけば、どこからの来店かが分かります。印刷の段階で決めておく必要があります。
よくある失敗
NG例1:売価からの割引率で額を決める
利益への影響が見えません。粗利から逆算してください。
NG例2:割引額だけで判断する
配布費用と合わせて、1件あたりいくらかけたかで見てください。
NG例3:既存のお客様への配慮がない
チラシは通っている人の家にも届きます。初回限定と明記するか、値引き以外の方法を検討してください。
NG例4:期限を守らない
過ぎても受け付けていると、期限が信用されなくなります。表示上の問題にもなり得ます。
NG例5:券面に店名や連絡先を入れない
切り取られた後、その部分だけが残ります。必要な情報は券面に入れてください。
よくあるご質問
エリアごとにクーポンを変えられますか?
町丁目単位でエリアを指定できるため、券面を分けた刷り分けに対応しています。
どのエリアから反応があったか分かりますか?
エリア単位の配布実績が記録として残るため、回収状況と照らし合わせて比較できます。
配布範囲から獲得単価の目安を出せますか?
対象世帯数と配布費用をご提示します。想定する反応率と合わせてご検討いただけます。
印刷から依頼できますか?
印刷から配布まで一括で対応できます。切り取り線などの加工についてもご相談ください。
少ない部数から試せますか?
中小企業や地域店舗の小ロットのご依頼にも対応しています。想定部数をお知らせください。
まとめ
クーポンの割引額は、売価からの割引率ではなく粗利から逆算して決めてください。1割引きが利益の3分の1を削ることもあります。配布費用と合わせて、1件獲得するのにいくらまでかけられるかを先に固定するのが順序です。
そして、値引きだけが選択肢ではありません。増量、付帯サービス、次回利用券。利益の減り方が違うため、自社の原価構造に合うものを選んでください。既存のお客様の目に触れることも、忘れずに。
獲得単価から逆算した配布設計を、ご提案します。
商圏と予算をお伝えいただければ、範囲と部数をご相談いただけます。
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