DMの成否は名簿で決まる|入手方法と個人情報の取り扱い

ダイレクトメールの反響を左右するのは、デザインでも文面でもありません。誰に送ったかです。
DMは宛名を使って届ける手法です。つまり、名簿がなければ始まりません。そして名簿の質が、そのまま結果になります。
この記事では、名簿の入手方法と、個人情報を扱ううえで確認すべき点を整理します。名簿がない場合の選択肢にも触れます。
この記事の結論
- DMの成否は名簿の質で決まります。デザインより先に確認する項目です
- 自社の顧客リストを使う場合も、取得時の利用目的を確認してください
- 外部から名簿を入手する場合、取得の経緯を確認・記録する義務があります
- 名簿は古くなります。宛先不明で返送される分が費用の無駄になります
- 名簿がないなら、まずポスティングで接点を作るという順序になります
記事の目次
DMは、名簿がなければ成立しません
まず前提を整理します。ダイレクトメールとは、宛名を記載して郵送などで届ける手法です。
宛名があることが、他の手段との違いです
ポスティングや折込は、エリア単位で配ります。DMは、特定の個人や世帯を指定して送ります。この違いから、次のことが可能になります。
- 相手ごとに内容を変える
- 過去の購入履歴に応じた案内をする
- 既存顧客だけに送る、あるいは除外する
- 送付を停止した相手を確実に外す
いずれも名簿があって初めて成立します。裏を返せば、名簿の中身が結果を決めるということです。
電子メールとは、適用される法律が違います
DMを電子メールと同じものとして説明する記事がありますが、扱いが異なります。広告宣伝の電子メールには、特定電子メール法による規制があり、原則として事前の同意が必要です。
この記事で扱うのは、郵送によるDMです。
名簿の入手方法は3つです
| 入手方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社の顧客リスト | 取引や問い合わせで得た情報 | 取得時の利用目的の範囲内か |
| 名簿の購入・レンタル | 名簿を扱う事業者から入手 | 取得の経緯の確認と記録が必要 |
| 公開情報からの作成 | 公表されている情報を集める | 利用目的の通知・公表が必要な場合があります |
① 自社の顧客リスト
最も確実で、反響も出やすい名簿です。ただし「持っているから自由に使える」わけではありません。
確認すべきは、その情報を取得したときに、何のために使うと伝えていたかです。個人情報の利用目的は、あらかじめ特定し、通知または公表する必要があります。
「商品の発送のため」としか伝えていない場合、DMの送付が利用目的に含まれているかを確認してください。
② 名簿の購入・レンタル
ここが最も注意を要します。
個人データを第三者から受け取る場合、提供元の氏名、取得の経緯などを確認し、記録を作成・保存する義務があります(個人情報保護法)。「買ったから使える」という扱いはできません。
また、提供する側にも規制があります。本人の同意なく個人データを第三者に提供することは原則として認められておらず、オプトアウトによる提供には個人情報保護委員会への届出などの要件があります。
入手先が適法に取得・提供しているかを確認してください。確認できない名簿は使わないほうが安全です。
③ 公開情報からの作成
法人の情報など、公表されているものを集める方法です。個人に関する情報を扱う場合は、利用目的の通知・公表が必要になることがあります。
具体的な取り扱いは、個人情報保護委員会の資料や、専門家にご確認ください。
名簿は、時間とともに劣化します
作成した時点では正確でも、名簿は古くなります。
- 転居:宛先不明で返送されます
- 世帯の変化:世帯主が変わっている場合があります
- 法人の移転・廃業:届かない、あるいは無関係な相手に届きます
返送された分は、印刷費・郵送費・封入費がすべて無駄になります。1件あたりの単価が高い手法なので、この損失は無視できません。
対策としては、次のような方法があります。
- 返送分を記録し、名簿から除外する
- 定期的に住所情報を更新する
- 送付停止の申し出を受け付ける窓口を用意する
最後の項目は、実務上も重要です。「不要」と言われた相手に送り続けると、苦情につながります。
名簿をお持ちでない場合は、ポスティングという選択肢があります。
エリアを指定して全戸に配布するため、名簿は不要です。
まずは接点を作るところから、ご相談いただけます。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
名簿がない場合の順序
DMを検討して、名簿がないことに気づく。よくある状況です。
名簿は、買うより作るほうが確実です
購入した名簿は、その人が自社に興味を持っているかどうかが分かりません。反応率が低く、返送も多くなりがちです。
一方、自社で作った名簿は、少なくとも一度は接点があった相手です。件数は少なくても、反応率は高くなります。
接点を作る段階では、名簿は要りません
ポスティングは、エリアを指定して配布します。名簿がなくても実施できます。
ここで問い合わせや来店があれば、その情報が名簿の元になります。この順序であれば、名簿の入手に関する問題も生じません。
名簿は不要です。エリアを指定して配布します。
このとき、利用目的を明示してください。後でDMを送るなら、その旨を含めます。
取得日、経路、利用目的への同意状況を記録しておきます。
既存顧客への案内、再来店の促進など。ここからDMが機能します。
古い名簿は費用の無駄になります。更新を続けてください。
新規獲得はポスティング、既存顧客の維持はDM。この使い分けが基本形になります。
名簿の質を見る観点
すでに名簿がある場合、次の点を確認してください。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 取得時期 | いつの情報か。古いほど返送が増えます |
| 取得経路 | どこで、どのように取得したか |
| 利用目的 | DM送付が含まれているか |
| 接触の履歴 | 最後の取引・来店からどのくらい経つか |
| 送付停止の申し出 | 停止を求めた相手が除外されているか |
件数より、鮮度です
1万件の古い名簿より、1千件の直近の名簿のほうが反応します。しかも印刷費と郵送費が10分の1で済みます。
件数を増やすことより、使える名簿だけに絞ることを優先してください。
セグメントを分ける
名簿があるなら、DMの利点を活かせます。最終来店日、購入金額、購入した商品。条件で分けて、内容を変えられます。
全員に同じ内容を送るなら、ポスティングとの差が小さくなります。宛名がある利点を使ってください。
費用の考え方
DMは1件あたりの単価が高い手法です。その分、送る相手を選ぶ必要があります。
発生する費用
- 印刷費
- 封入・封緘の作業費
- 宛名の印字
- 郵送費
- 名簿の入手費用(購入する場合)
- 返送分の損失
1件あたりの粗利と比べる
単価が高いぶん、1件の受注で回収できる商材でなければ成立しません。低単価の商材では、継続して来てもらう前提で計算してください。
ポスティングとの比較
| DM | ポスティング | |
|---|---|---|
| 名簿 | 必要 | 不要 |
| 1件あたりの単価 | 高い | 低い |
| 個別の内容 | 可能 | 不可 |
| 向いている用途 | 既存顧客への案内 | 新規の接点づくり |
どちらが優れているかではなく、名簿があるかどうかで決まります。
よくある失敗
NG例1:利用目的を確認せずに顧客リストを使う
取得時に何と伝えていたかを確認してください。
NG例2:入手先を確認せずに名簿を購入する
取得の経緯を確認・記録する義務があります。確認できない名簿は避けてください。
NG例3:古い名簿をそのまま使う
返送分は費用がすべて無駄になります。件数より鮮度です。
NG例4:送付停止の申し出を管理しない
不要と言われた相手に送り続けると、苦情につながります。
NG例5:全員に同じ内容を送る
宛名がある利点を使えていません。条件で分けてください。
よくあるご質問
名簿がなくても配布できますか?
ポスティングであれば名簿は不要です。エリアを指定して配布するため、これから接点を作る段階に適しています。
配布エリアはどこまで細かく指定できますか?
町丁目単位まで指定できます。商圏の形に合わせた範囲設計が可能です。
既存顧客が住む地区を避けて配れますか?
エリア単位での除外指定に対応しています。ただし世帯単位での除外はできません。
どのエリアから反応があったか分かりますか?
エリア単位の配布実績が記録として残るため、問い合わせと照らし合わせて次回の配分を調整できます。
印刷から依頼できますか?
印刷から配布まで一括で対応できます。既にお持ちの印刷物を配布することも可能です。
まとめ
ダイレクトメールの結果は、名簿で決まります。デザインや文面を検討する前に、送る相手が適切かを確認してください。
自社のリストなら利用目的の範囲を、外部から入手するなら取得の経緯を。そして名簿は劣化します。件数を増やすより、使える名簿に絞るほうが結果につながります。
名簿をお持ちでないなら、順序が逆です。まず接点を作り、そこから名簿を蓄積してください。その段階では、名簿を要さないポスティングが適します。
なお、個人情報の取り扱いについては、個人情報保護委員会の資料や専門家にご確認ください。