DM業者に依頼する前に|顧客データを渡すときの確認事項

DM業者に依頼する前に|顧客データを渡すときの確認事項

DMの発送を業者に依頼するとき、顧客の氏名と住所を渡すことになります。宛名を印字し、封入し、発送するために必要だからです。

この行為は、個人データの取扱いを外部に委託することにあたります。委託した側には、委託先を監督する義務が生じます。「業者に任せたから」では済みません。

この記事では、発注前に確認すべき項目と、データの受け渡しで注意する点を整理します。

この記事の結論

  • 顧客データを渡すことは個人データの取扱いの委託にあたります
  • 委託元には委託先を監督する義務があります
  • 契約書で取扱いの範囲・安全管理・返却または削除を定めてください
  • データの渡し方も確認事項です。メール添付のまま送らないこと
  • ポスティングであれば、この委託自体が発生しません

データを渡すことは「委託」です

まず、位置づけを確認します。

本人の同意は原則として不要です

個人データを第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。ただし、利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託する場合は、第三者提供にあたらないとされています

DMの発送を委託する場合、これに該当することが一般的です。そのため、個別に同意を取り直す必要はありません

その代わり、監督義務があります

個人情報保護法では、委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことが求められています。委託したことで責任がなくなるわけではありません。

委託先で情報が漏えいすれば、説明を求められるのは委託した側です。取引先や顧客から見れば、契約関係にあるのは自社だからです。

契約で定めておくこと

口約束では監督したことになりません。書面で残してください

項目 定める内容
取扱いの範囲 渡したデータを何に使ってよいか
再委託の可否 さらに別の会社へ渡すことを認めるか
安全管理措置 どのように保管・管理するか
従業者の監督 業者側の社内体制
返却または削除 作業終了後、データをどうするか
事故時の報告 漏えい等が起きた場合の連絡

再委託の確認を忘れずに

発送業務の一部が、さらに別の会社に回されることがあります。封入作業、宛名印字、発送。工程ごとに事業者が分かれている場合があります

再委託がある場合、その先の管理体制まで確認する必要があります。契約時に、再委託の可否と、認める場合の条件を決めておいてください。

作業後のデータの扱い

最も見落とされやすい項目です。発送が終わった後、そのデータはどうなるのか

返却してもらうのか、削除してもらうのか。削除の場合、削除した旨の報告を受けるかどうかまで決めておいてください。業者のサーバーに残ったままになるのが、最も避けたい状態です。

データの渡し方も確認事項です

契約を整えても、渡し方が雑では意味がありません。

  • メールにそのまま添付しない:誤送信のリスクがあります
  • パスワードを別経路で伝える:同じメールに書いては意味がありません
  • ファイル転送サービスを使う場合:期限とアクセス制限を設定する
  • 渡した記録を残す:いつ、誰に、何件のデータを渡したか

また、渡すデータは必要最小限にしてください。宛名の印字に必要なのは氏名と住所です。購入履歴や電話番号まで渡す必要があるかを確認してください。

渡さなければ、漏れることもありません。

顧客データを渡さずに配布する方法もあります。

ポスティングはエリアを指定して配布するため、名簿の提供が不要です。
委託に関する手続きも発生しません。

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業者に確認する項目

発注前に、次を聞いてください。答えられるかどうかが、体制の有無を示します

データの取扱いについて

  • 受け取ったデータは、どこに、どのように保管されますか
  • 作業に関わる人の範囲は限定されていますか
  • 再委託はありますか。ある場合、どの工程ですか
  • 作業終了後、データはどうなりますか
  • 過去に漏えい事故はありますか

作業内容について

  • どこまでを請け負ってもらえますか(印刷・封入・宛名印字・発送)
  • 返送された分の扱いはどうなりますか
  • 発送完了の報告はありますか
  • 最低ロットはいくつですか

返送分の扱いが重要です

転居や宛先不明で返送される分は、必ず発生します。この情報が返ってこないと、名簿を更新できません

返送物を受け取れるのか、リストとして報告されるのか。次回の発送費用に直結する項目です

費用の内訳を確認する

DMは工程が多いため、見積の項目も多くなります。

項目 確認すること
印刷費 用紙・サイズ・色数による差
封入・封緘費 同封物の数で変わります
宛名印字費 データ加工が含まれるか
郵送費 形状・重量・差出方法による
データ処理費 名寄せ・住所整備などの作業
返送分の処理 受け取りと報告に費用がかかるか

1件あたりの総額で比べる

項目ごとの単価を比べても判断できません。1件届けるのにいくらかかるかで比較してください

そのうえで、1件の受注で得られる粗利と比べます。DMは単価の高い手法なので、この計算をしないと採算が読めません。

ポスティングとの使い分け

ここまで挙げた手続きは、すべて宛名を使うことから生じています

DM ポスティング
顧客データの提供 必要 不要
委託の手続き 必要 発生しない
1件あたりの単価 高い 低い
個別の内容 可能 不可
向いている用途 既存顧客への案内 新規の接点づくり

新規獲得では、DMの利点が活きません

まだ取引のない相手に送る場合、その名簿をどこから入手したかという問題が発生します。外部から入手する場合、取得の経緯を確認・記録する義務があります。

一方、ポスティングはエリアを指定して配布するため、個人データを一切扱いません。新規の接点づくりであれば、こちらのほうが手続きが簡潔です。

順序としては

ポスティングで接点を作る
名簿は不要です。エリアを指定して配布します。
問い合わせ時に情報を取得する
このとき、利用目的にDM送付が含まれるかを明示しておきます。
自社の名簿として蓄積する
取得日、経路、同意状況を記録します。
件数がまとまったらDMを検討する
既存顧客への案内なら、DMの利点が活きます。
委託の手続きを整えて発注する
契約、データの渡し方、作業後の扱い。ここまで決めてから渡します。

よくある失敗

NG例1:契約書を交わさずにデータを渡す
監督義務があります。取扱いの範囲と作業後の扱いを、書面で定めてください。

NG例2:再委託の有無を確認しない
工程ごとに事業者が分かれていることがあります。その先の体制まで確認が必要です。

NG例3:作業後のデータの扱いを決めない
業者のサーバーに残り続けることになります。返却か削除かを決めてください。

NG例4:メールにそのまま添付して送る
誤送信のリスクがあります。渡し方も含めて手順を決めてください。

NG例5:必要以上のデータを渡す
宛名印字に必要なのは氏名と住所です。渡さなければ漏れません。

よくあるご質問

顧客データを渡さずに配布できますか?

ポスティングであれば、名簿の提供は不要です。エリアを指定して配布するため、個人データを扱いません。

配布エリアはどこまで細かく指定できますか?

町丁目単位まで指定できます。商圏の形に合わせた範囲設計が可能です。

配布実績は確認できますか?

GPSログ、エリア単位の配布実績、写真付きレポートでご確認いただけます。

少ない部数から試せますか?

中小企業や地域店舗の小ロットのご依頼にも対応しています。想定部数をお知らせください。

印刷から依頼できますか?

印刷から配布まで一括で対応できます。既にお持ちの印刷物を配布することも可能です。

まとめ

DM発送を業者に依頼することは、個人データの取扱いを委託することです。本人の同意は原則として不要ですが、その代わりに委託先を監督する義務があります。

契約で取扱いの範囲と作業後の扱いを定め、データは必要最小限を安全な方法で渡す。この手続きを省くと、事故が起きたときに説明できません

なお、新規の接点づくりであれば、個人データを扱わないポスティングという選択肢もあります。手続きの負担を含めて、どちらが適しているかをご検討ください

個人情報の取り扱いについては、個人情報保護委員会の資料や専門家にご確認ください。

データを渡さない配布方法から、ご相談いただけます。

エリアを指定した配布であれば、名簿の提供も委託の手続きも不要です。

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